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総応募数466作品の「Mashup Awards 8」で勝ち残った7作品・総まとめ!【鈴木まなみ】

[読了時間:3分]

11月15日(木)、リクルートが主催するMashup Awards 8(マッシュアップアワード)の「Mashup Battle FinalStage」が開催された。速報は既に上がっているので、今回は事務局の一員としてイベントを盛り上げた鈴木まなみさんに、その詳細レポートしてもらった。(本田)

鈴木まなみ
(@rin2tree)

 Mashup Awards とは、日本最大級のウェブアプリ開発コンテスト。

 8回目を迎えた今回は、写真+音声アプリの「Voicepic」が見事最優秀賞に輝き、賞金100万円を手に入れた。

Mashup Battle FinalStage発表作品

 今回、466もの応募の中から「Mashup Battle FinalStage」まで勝ち残り、当日プレゼンされた作品を紹介したい。
 

①Voicepic

 Voicepic(ボイスピック)は、写真に音声をつけてソーシャルメディアに共有することが出来るサービス。世界を視野にサービス展開しているため、直感的に操作が出来るシンプルで分かりすいデザイン、そしてハイパフォーマンスという点にこだわっている。

 使い方として出されたのは、

 「文字にすると同じ「グッドモーニング」でも、Voicepicならどうなるのか?」「写真に音声をつけるという新しい文化を創りたい」という想いが詰まった作品で、今後はJPEGの拡張領域に音声データを埋め込む新しい画像フォーマットの策定や、APIの公開などを検討しているとのこと。

に加え、こういった今後の展開(夢)も大きく評価されての授賞である。

②寝顔認識めざまし FACE KICK

 寝顔認識めざまし FACE KICKは、寝顔を判断し起こしてくれるAIRアプリ。アプリが寝顔と判断すると、3つの方法で睡眠を妨害する。今回の被験者は頓知・の井口さん。左のカメラは監視される人の画像。右側の数値は目の開き具合の数字。右目、左目、平均値の順番。平均値が30以下になると居眠りと判定され、目覚ましモードになる。

  1. 30秒:寝顔の写真が本人のFacebookで流れる
  2. 1分:「起きないとタライが落ちるよ」という電話が掛かり
  3. 2分:タライが落とされる

 井口さんから一言「タライって本当に痛いんですね」。最高のエンターテインメント!

③シャチクノミカタ

 Facebookは日本国内ではビジネスで利用することも多く、上司の投稿に「イイね!」していないために上司の機嫌が悪く、困っている人もいるはず。そんなシャチクのために、特定の上司のFacebook投稿に対して自動で「イイね!」「シェア」などの反応を細かく設定できるサービスがシャチクノミカタ

 全ての投稿に対して反応するのではなく、ネガティブな書き込みには「イイね!」をしない、ネガポジ判定も実装。誕生日に一番早くコメントを残す「自動お誕生日おめでとう機能」、上司がシェアした記事と「イイね!」したページをメルマガ配信する「日刊上司マガジン」も新機能として追加された。

 今後の追加機能としては、位置情報の偽造アリバイ機能などを考えているとのこと。

④コトバノモリ

 Mashup Awards史上初の女性ファイナリスト。コトバノモリは、言葉から連想されるキーワード(サーチエンジンとソーシャルメディアの検索結果)を木としてビュジュアル化して表現するサービス。 ドラック&ドロップして言葉を地面に落とすと、それが種となり、樹木となり、ソーシャルメディアで話題になっている言葉が「葉」として生成されていき、ある言葉に関連する言葉の関係を可視化する。

 同じような作品やアイデアは前からあるものの、言(コト)の葉という本質的な意味に乗せた「種→樹木→葉」に展開していくUIが注目を集めた。

⑤おーいおまえ ねむっTEL

 おーいおまえ ねむっTELは、受験勉強の追い込みや仕事中など、寝てはいけないシーンで居眠りしてしまった時、電話を掛けることによって起こしてくれるガジェット。受験勉強中に居眠りして手が止まると、監視(うさぎ)の目が光り、電話が鳴って起こしてくれる。電話をかけても起きない場合は、隣の部屋で寝ている両親のところへ「おまえの息子寝てるぞ」っと電話で知らせてくれる。

 この作品はMashup Awardsのアイデアソンというイベントの中でアイデアが生まれ、その日のうちに家にある部品でプロトタイプを8時間で作ってしまったという作品。Mashup Awardsがなかったら生まれなかった作品。

⑥SoMoX

 Mashup Awards初の高校2年生のファイナリスト。自分のTwitterやFacebook、mixiといったソーシャルメディアサービスのアカウントをまとめたページを作るサービス。「ネット上の名刺」や「プロフィールの詳細」として利用出来る。SoMoXは「Social Media Box」の造語。自分なりの個性の演出のために、背景画像を選べるよう機能追加したとのこと。

 「自分が欲しいものだから、誰かに使ってもらいたいと思ったから作れた。それはものづくりにとって、とても大切な部分だと思っています」と力強く語った。

⑦melocy

 Mashup Awards史上初の2年連続ファイナリスト。 melocyは、iPhoneアプリで録音した演奏に、他のユーザーが演奏を重ねて録音でき、WEBで公開できるサービス。プレゼンでは、iPhoneから公開されているドラムの音を選び、それに偶然(?)持っていたギターで音を重ねる、というパターンを実演。また、最初に音を録音するパターンに関しては、JASRACからの許可をもらっており、既存のCDなどの楽曲の録音でも既存の曲を自分で演奏・公開しても大丈夫とのこと。

 「音」に国境はなく、海外のユーザーとも「Mashup」出来そうだ。最後はVoicepicと最優秀賞を競り合い、惜しくも2票差で敗れた。

Mashup Awards について

 8回目の今回は、よりMashupを高めるために、以下のようなコラボレーションを行った。

  1. TechCrunchTokyo2012とのMA8受賞式の共催
  2. 各地域で行うイベントをそれぞれの地域に根ざした様々なイベントパートナーと共催
  3. 電子工作コンテストとの連携
  4. 学生主体メディアであるTech-Tokyoとの連携

 また、参加基準を緩和し、指定APIの利用条件の撤廃も行った。その結果、首都圏外からの応募割合は30%→35%に増加し、22歳以下の若者からの作品も48件→96件に増加した。
 

他の開発イベントとの違いは、オフラインイベントの多さ

 Mashup Awardsの「Mashup」はAPIのMashupだけを指すのではなく、いろんなもの・こととのMashupを創出する「出会いの場」になって欲しいとの想いが込められている。

を生み出すため、オンラインだけでなくオフラインで出会う機会を多く設けている。オフラインイベントから生まれた作品もいくつか応募されており、FinalStageにまで勝ち残った作品もある。(おーいおまえ ねむっTEL)

 今回は地方にも多く足を運び、札幌、東京、福井、塩尻(長野)、名古屋、大阪、京都、広島、福岡の9都市で21回のイベント、それ以外に8回の予選(地方4、東京2,学生1・2次予選1)を実施した。また、オフラインの場でつながりが生まれ、そのつながりの中で生まれた関係が継続されている。Mashup Awardsでは、一過性ではないつながりが数多く生まれ、一つのコミュニティが形成されている。

地方に住むクリエイターに発表する機会を創出したい!

 事務局の伴野は抱負をこう語る。

「47都道府県でイベントを開催したいため、興味をもった団体や企業がいたら連絡が欲しい。地方は受託の企業が多く、自分のものづくりの時間が確保できている人が少ないので、そのいいきっかけになりたい。
 昨年、チャンピオンに輝き、今年もファイナルステージまで残った”中西さん”は福井県に住むクリエイターである。今回最年少でファイナルステージまで勝ち残った”伊藤さん”は、札幌に住むクリエイターである。
 地方に住むクリエイターさん達に発表をする機会を創出し、二人のように、FinalStageのような舞台に出てもらい、地方クリエイターさん達に勇気を与え、Mashup Awardsにも刺激を与えてほしい。」

 さらには地域にいる素晴らしい技術やアイデアを持った人たちを、世界に発信する枠組を作っていきたいという野望もあるそうだ。今年は、期待したほど地方からの応募が増えなかったが、各地域にパートナーが出来たので、来年からはもっといい形で開催出来そうという感触はもっているとのこと。
 参考:地域のパートナーと成功事例を共に – MA8の総括と全国展開への展望 | finder

クリエイターたちの自由な表現の「場」であり続けるための”参加のしやすさ”

 Mashup Awardsは参加条件がほぼない。今回から、指定APIの利用条件も撤廃され、あるのは、昨年と全く同じ作品はNGということぐらいだ。同じ作品でも改善されていれば応募可能である。

 また、審査基準も以下となっており、事業性などは入っていない。
<審査の基準>
 ・アイデア・・・独自性、新規性、優れた着眼点、発展可能性
 ・完成度・・・実用性、ユーザビリティ、エンタテインメント性
 ・デザイン・・・芸術性、優れた表現技法

 この「緩い参加条件」は、気軽に参加してもらい、人と会って話し、自分のアイデア、作品を発表することで刺激を受けてほしいと考えているからだ。しかし、最近では似たような作品が増えているという問題意識もあり、刺激を与えるために様々なコラボレーションを試みたそうだ。学生主体メディアであるTech-Tokyoとの連携を実施したのは、柔軟に物事を考える若者の作品は、参加者へ刺激を与えるのではないかと考えたからだ。

 Mashup Awards は、クリエイティブだけれども発揮する場がないクリエイターたちの自由な表現の「場」というのを大切にしている。作品を作り応募するだけでなく、表現する(人と話す、発表する)ことも大切にしているのだ。それが、モノづくりに携わってくれる層を厚くしていくと考えるからだ。

 また、Mashup Awards は、開発が出来なくても、作品を応募しなくても気軽に「場」に参加出来る。参加することで、アイデアの刺激を受けるかもしれないし、仲間が出来るかもしれない。気軽に参加出来る「場」をたくさん設けており、来年はもっと多くの参加者、そして様々なタイプの作品応募を期待している。

蛇足:めんどくさいこと言うよ

 私はTechwave塾のコミュニティに参加していますが、そこですごく思うことは、発信することの大切さ、人と繋がることの大切さです。編集長の湯川さんは「チャンスは人がもってくる」とよく言っています。そして、発信することで自分のやりたいことを人が理解し、話しがやってくる。・・・と。私自身、ブログを書いて発信することで、同じ興味の人と繋がることが出来、そのことによっていろんな情報が入ってきたり、仕事が舞い込んだりしています。

 Mashup Awards 8はたくさんのリアルイベントを実施し、かつ地方でのイベント開催を積極的に行いました。それは、発信する場を増やしていると同時に、人との繋がる場を作っていました。そして、その次に来るのはきっとチャンスだと思います。「FinalStage」などに勝ち残れば発信能力は高くなるけど、勝ち残れなくても参加するだけでも十分な発信になり、チャンスが来る可能性を広げていると思います。そして、私はその「場」の提供を、地方で積極に行いたいという事務局の想いに共感し、今回お手伝いをさせてもらいました。

 今回MA8の事務局のお手伝いをして感じたのは、作品発表の際、みんながすごく暖かい空気感を醸し出しているってことです。すごくいい雰囲気だったんですが、辛口コメンテイターが一人ぐらいいてもいいかなって思いました。いろんなサービスを知っていて、似たようなサービスもうあるよー。って言っちゃうような人w。そんなスパイスもあったらいいなって思いました。

 参加して下さったみなさま、お疲れ様でした。

著者プロフィール:鈴木まなみ

2000年からITの世界に入り、 地図、乗換と生活に密着した便利系サイトのモバイルプロデューサーと、経営企画や新規事業企画などを担当。 今の興味はコミュニティ、地域活性、ホントの意味でのO2O(新しい購買体験)。

位置情報サービス/O2O関連の企画、コンサル、執筆、講演します。連絡先はrin2tree[アットマーク]gmail.comまで。

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