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「世界を獲りたいのなら5年前から人材を育成せよ」大前研一氏・#IVS講演から【湯川】

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 日本のインターネット業界の最大級のイベント「Infinity Ventures Summit2012 Fall」に経営コンサルタント大前研一氏が登壇し、集まったネット業界の経営者数百人に対し「世界で勝つ方法は人材しかない。ただ人材育成には時間がかかる。世界に進出したいのなら、その5年前から外国人を積極的に雇用し人材を育成すべきだ」と語った。


 大前氏によると、人材育成の重要性を理解していない経営者が多く、海外進出を決めてからその国の人材を採用しようとする企業が多いと指摘。「メーカーは全部それで失敗している。現地で優秀な人を採用するものの、会社の文化と合わずに最後はクビ。その後また現地で採用。クビ。これを繰り返している。日本の会社は回転ドアとまで言われるほどだ」と語った。「事業にはすぐにできることと、時間がかかるものの2つがある。国際化の人材育成には5年、10年の年月がかかる。今後進出したいと思う国の人を今すぐに雇用し、5年、10年と社員として同じ釜の飯を食べて一緒にがんばって初めて、その国に進出できるようになる」と言う。

 また同氏によると「経営のコツは異なる人材を集めること」。「仲のいい友人を集めた経営の末路は2つのパターンしかない。仲違いして割れてしまう、もしくは一緒に倒れる。この2つのパターンしか見たことがない。死ぬまで仲良くやっていたというケースは見たことがない」と指摘。生まれも育ちも全然違う人生を送ってきた人を集め、組織力、人材力で勝てる経営を目指すべきだと語った。

 また若くして成功すると自分は経営者だと思い込む人がいるが「目をつぶってバットを大きく振ったらホームランになっただけのこと」。謙虚に先人から教えを受けるべきだと指摘した。

 具体的には、これはと思う経営者には会いに行くという方法に加え、松下幸之助氏、YKKの吉田忠雄氏、本田宗一郎氏などの伝記を読むべきだという。「彼らの血はみなさんの中にも流れている。日本が貧しかった時代に世界に挑戦した経営者の話は、今世界に出ようとしているみなさんの参考になるはずだ」と語った。

 このほかにも「3年に一度は事業を見直し、上場などのイグジットを目指すべきか、規模拡大を目指さないライフワークにするのかを決めるべき」、「エスタブリッシュメントとつきあうな。エスタブリッシュメントの経営者の集まりはみなさんにとって害にはなるがメリットにはならない。若いうちにそういうところに入ってはだめ。入るのなら墓場に行く10年前か、もしくは自分の孫の世代で入るのはいいが、自分の代で入る必要はない」といったメッセージを若い経営者に送り、会場から大きな拍手を受けていた。

蛇足:オレはこう思う

 やはりこれまで数多くの企業を見てきた大前氏の言葉は重い。「このパターンしかない。それ以外見たことがない」と断言されれば、思わずうなってしまう。来年は70歳というお歳にも関わらず、最新の事例、それもインターネット業界の事例にも精通しているのはすごいと思う。
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