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ブームで終わらせない Makers革命の本質をつかむ TechWave塾第14期塾生募集【湯川】

[読了時間:3分]
 東京近郊だけ、テック業界、いや僕の周りだけなのかもしれないが、クリス・アンダーソン氏が書いたMAKERS―21世紀の産業革命が始まるという本が、ものすごくバズっている。最近、僕のところに寄せられるイベントやセミナーも「Makers革命」を見出しに取ったものが多い。

製造業が先進国に戻ってくる!?

 Makers革命の本質って何なんだろう。

 パソコン上でデザインするだけで、その通りの形のモノを作り出してくれる3Dプリンターのような工作機械の低価格化、高性能化が進んでいる。その傾向が続けば、何がどう変わるのだろうか。

 インターネットが、出版や音楽、写真などの領域に大きな変化を与えた。これはだれも議論の余地がないだろう。これらの領域に与えた変化と同じような変化が、製造業の領域にも起こるのではないか、といわれている。つまりこれまではプロや大企業しかできなかったことが、素人や中小企業、個人でもできるようになるということだ。

 消費者のニーズの多様化にさらなる拍車がかかり、その多様なニーズに応えることのできる製品がベンチャー企業や個人でも作れるようになるのだろう。

 また産業用ロボットを中心にした自動製造装置の技術革新がさらに加速すれば、製造業は労働集約型産業から、知的創造産業に変わる。一番大事なのは、パソコンを使ってデザインすることで、あとはボタンを押せば工場の産業用ロボットが製品を製造してくれる時代。そうした未来に向かって技術革新が続けられるのは間違いない。そうなれば、低賃金の労働者を求めて途上国に工場を移転する必要がなくなる。長期的に見れば製造業が先進国に戻ってくるかもしれない。モノづくりが再び日本に戻ってくる可能性があるわけだ。


 ただだからといって、これまでの製造業に必要だった組織体制、従業員スキルがそのままの形で今後も有効というわけではない。新しい時代にあった組織のカタチ、個人のスキルってどのようなものになるのだろう。グローバルな市場競争の中で、どのような企業、個人が勝ち残れるのだろうか。

 恐らく今、ソフトウエアやアプリ、ウェブサービスで始まっているビジネス運営の形が、そのまま製造業にも当てはまっていくのだろうと思う。つまり開発に必要な資金は、クラウドファンディングと呼ばれるようなネット上で支援者を集める形で集められるようになり、開発者もオープンソースのソフトウエアのコミュニティのような形で集まってくるのだろう。消費者のニーズは、ソーシャルメディアを通じて把握するようになり、特定のブランド、製品のファンのオンラインコミュニティが形成されるようになるのだと思う。ソーシャルメディア上での活動が得意な企業、ソーシャルな環境が整っている国こそが、グローバルの競争の中で有利になるのだと思う。

 またこれからのハード機器、モノにはすべて、ネットワーク接続機能が搭載されるようになるだろう。すべてのモノがネットでつながる時代。すぐにはそうならなくても、その方向にイノベーションが進むのは間違いない。そのときには、どのようなプラットフォーム、エコシステムが構築され、その中でだれが最も影響力を持つようになるのだろうか。

 Google、Facebookといったネット上の既存プレーヤーが影響力を持ち続けるのか。それとも新しいプレーヤー群が登場し、戦国時代を迎えるのか。

 また新しい社会の中で、個人が身に付けるべきスキルはどのようなものになるのだろうか。何を勉強し、スキル獲得のためにどこに転職するのがいいのか。どのスキルを持った人とどのように結びつくのが有効なのだろうか・・・。ネット系技術者、マーケッター、デザイナーの職域は大きく変化することになるだろうし、人材派遣業の形も変わるだろう。

 Makers革命は今、急に起こったわけではない。もう何年も前から静かに進行してきた社会変化だ。早くからこの領域でがんばってきた人からすれば「何をいまさら」という感じがあるのだと思う。確かに一時的なブームの様相を呈している側面があることは否めない。

 しかし早期参入者も含め、Makers革命は5年から20年のスパンでみれば大きな変化を社会に与える可能性がある、ということに意義を唱える人はまずいない。

 長期的大変化が間違いないのであれば、そしてすべての産業に影響を与えるのが確実なのであれば、まずはその本質を見極め、その中のチャンスを見極める必要があるのだと思う。

 反対にここまで大きな社会変化が起こっているのに、自分の業態を自ら定義し、その中に閉じこもることほど危険なことはない。インターネットを自分たちとは無縁の領域だと高をくくっていたメディア関係者が、ここにきてもうどうしようもない状況に陥っているのと同じような状況に、だれもが陥る可能性が十分にあるのだ。

 ネット産業、製造業に関わらず、時代の最先端を歩み続けたいと思うビジネスマンなら、この社会変化の本質を見極め、その最先端の近くに身を置き続ける必要があるのだと思う。

 「あのとき歴史が動いた」「あのときに既に勝負は決まっていた」ー。そういう勝負の分かれ目が、もうそこまで来ているのかもしれないからだ。

 わたしが主宰する少人数勉強会TechWave塾では、第14期のテーマを「Makers革命の本質をつかむ」と題して、2月6日から毎週水曜日(一部変更の可能性あり)開催の6週間のカリキュラムを組みました。

TechWave塾第14期 概要は以下の通りです。

【テーマ】
Makers革命の本質をつかむ

【開催場所】
東京駅近くの会社の会議室をお借りします。

【日時・講師】
第1回 2/6 午後7時~9時
『メイカーズ・ムーブメントについて』
講師:TechWave塾代表 湯川鶴章

第2回 2/13 午後7時~9時
『FabLab活動とその精神』
講師慶応義塾大学環境情報学部准教授 田中浩也氏

第3回 2/27 午後7時~9時
『ハードウェアベンチャー事例(1)』
株式会社Cerevo代表取締役 岩佐琢磨氏

第4回 3/1 午後7時~9時
『日本のMAKEの歴史』
情報科学芸術大学院大学(IAMAS) 小林茂准教授

第5回 3/6 午後7時~9時
『ハードウェアベンチャー事例(2)』
株式会社Sassor CCO (Chief Creative Officer)  宮内隆行氏

第6回 3/13 午後7時~9時
『ファイナル・ディスカッション』
TechWave塾代表 湯川鶴章

*講師の都合で日程の変更がある場合があります

【受講料】
15万7500円(税込)
個人参加の方は、3回、5回、15回の分割払いも可能です。

【オンライン参加】
東京在住以外の方は、Googleのオンラインビデオ会議システム「Googleハングアウト」を使って、ご参加いただくことも可能です。

お問い合わせ、お申し込みはこちらから。

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