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僕がファッションアプリ「iqon(アイコン)」に期待する理由【湯川】#appex

[読了時間:2分]

 最近アジアに出かけることが多いのだが、日本のファッションやアニメなどの文化こそがこれからの日本が世界に誇れるものになるんじゃないかと思っている。なのでアプリ博の初日の展示をざっと見て回って一番気になったが、VASILYが運営するファッションコーディネートアプリ「iqon(アイコン)」だった。

 アプリを立ち上げると、数多くのコーディネートを見ることができる。米国の画像貼り付け共有サービス「pinterest」のファンション版アプリといったら、使ったことのないネット系ユーザーには分かりやすいかもしれない。


 簡単な登録を済ませると、「人気のコーデ」を見ることができる。帽子や服、靴、バックなどのコーディネートが一枚のページに収められている。個々のアイテムをタップすると、写真が大きく表示される。zozotownなどファッション系ECサイトと連動しているので、その場でそのアイテムを購入することも可能。こうした「コーデ」は、一般ユーザーが作成、投稿するそうで、毎月1000以上の「コーデ」投稿を無料で見ることができるそうだ。

 これを眺めているだけで、トレンドをキャッチできそう。

 アジアでは日本のファッション雑誌が人気のようだが、iqonを眺めているだけで、より旬な日本のファッション情報が手に入るはず。

 ひょっとすると既にアジアで爆発的な人気何じゃないのか?VASILY代表取締役の金山裕樹さんに話を聞いてみた。

 金山さんからは「いや、あと2,3年は日本市場に専念したいです」という意外な答えが返ってきた。

 金山さんは言う。「理由は2つあります。1つは、日本国内にファッションで、これはというソーシャルメディアがまだない、と僕らは考えています。まずは国内のぶっちぎりのトップになりたいんです」。「もう1つの理由は、アジアの購買力がまだ低く、アジアの若者にとっては日本の商品が高過ぎるということ。でもあと2,3年もすればアジアの購買力が上がってくることは間違いない。だから2,3年後に焦点を当てているんです」。

 ではその2,3年の間に何をすべきなのだろうか。

ユーザーの8割は「オンラインで服は買いたくない」

 これまでファッション業界にとってファッション雑誌の存在は大きかった。雑誌が、消費者の購買意欲を喚起してきた。ところが雑誌は、若い女性のライフスタイルから外れ始めた。ファッションの情報は街に出かけて得るしかない。ぽっかりと穴が開いた状態だ。

 そこでそうした若い女性たちに情報を与え、ユーザーとブランドや店舗とを結ぶスマホ時代のプラットフォームになることが、iqonの目指すところだという。

 そのためには、今は何をすべきか。iqonはどこに向かっているのか。

 金山さんによると、iPhone向けiqonアプリのユーザーにアンケート調査を実施したところによると、80%のユーザーが「オンラインではファッションアイテムを購入しない」という結果が出た。ただ2割の「購入する」と答えたユーザーからは、かなりの売り上げが発生し始めている。現在40のECサイトやブランドとアフィリエイトで連携しているが「今年の夏には1社でiqonを通じた売り上げが1億円を超えるところが出そうな勢い」だという。

 もし「購入しない」という8割のユーザーを「購入する」ユーザーに変えることができれば、巨大な市場が開拓できることになる。ソーシャルなつながりを利用して、「購入する」ユーザーを増やすことは可能だろうか。

 金山さんは、本当に仲のいい人間関係、いわゆるリアルソーシャルグラフを使うつもりはないという。「実は、TwitterやFacebookのIDでログインできるようにしているんですが、ID連携する人は少なく、ほとんどの人がiqonでのIDを作成しているんです。アンケートを取れば、自分のセンスがイケてると思っている人は5%しかいない。95%の人は自分がイケてないと考えているので、リアルの友達とつながりたくはないようなんです」。

 なので代わりにモデルやタレントなどの「ファッション・オーソリティ」にコーディネートを投稿してもらったり、ファッション雑誌と連携していくことを考えているという。

 またオンラインで「購入しない」と答えたユーザーでも、リアルのショップでは購入するはず。リアルのショップまでの導線も作っていきたいという。「ショップリストを表示して、ショップに誘導してあげるというようなことはどんどんやっていきたい。今だに夏休みに表参道なんかへ行くと若い女の子が雑誌の切り端を握りしめてショップを探しているのを目にすることがあるので、そういったものの代替物になれば、と思っています」。

 またショップから優良顧客に送るダイレクトメールの代わりに、顧客が購入した商品を含むコーディネートをショップ店員に作成してもらい、顧客に見てもらう、ということも可能なはず。ショップと顧客との関係強化にも使えるのではないか、と金山さんは考えているのだという。

蛇足:オレはこう思う

 金山さんは、Yahoo!FASHIONの立ちあげに関わっただけあって、さすがにしっかりと考え抜いていると思う。すばらしいです。

 これまでのECって、購買を既に決めた人が家にいながら購入できるツール、という程度のものだった。でもネットの力って、それだけじゃないはず。購買意欲を高めるツールにもなりえるはず、と思う。iqonがそれを実証する最初のサービスになってくれればなと思う。やっぱり問題は効果測定なのかなあ。

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