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あらゆるビジネスにおいて、コミュニティ運営が非常に重要になる。そういう思いを強くしている。前回の記事「O2OもMakersもNPOも企業も すべてコミュニティが成否を決める(上)」では、O2Oの未来、つまりレストランやリアル店舗の未来について、僕なりの考えをまとめた。今回は、個人が工作機械を持って好きなモノを好きなときに作れるようになるというMakers革命についての考えをまとめてみた。
Makers革命で工作機械が地域コミュニティのハブになる
クリス・アンダーソンの著書「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
まず最初に起こる社会変化としては、ハードメーカーを絡めたベンチャー企業が多く誕生する、ということだろう。3Dプリンターなどを使って試作品を短時間に作れるようになるし、試行錯誤できるようになる。それがハードウェアベンチャー起業の敷居を大きく下げることになる。
MAKERS
僕は、インターネットが最終的にはありとあらゆる業界の形を変えていくのだと考えている。ところが今のところ大きく影響を受けた業界は、出版、EC、メディア、ゲーム、音楽などの業界だけ。なぜ影響を受ける業界がこうした業界に限定されているのかというと、ハードウエアの限界が最大の理由だと思う。これまでネットにつながっているハードウエアといえば、主にパソコンだけだったので、パソコンで使えるデジタルデータを扱う業界だけが影響を受けたのだ。ところがここにきてスマートフォンという新しいハードウエアが普及し始めた。これによりO2Oという新しい波が、レストランやリアル店舗の業界に押し寄せている。このことは前回の記事で述べた通り。スマホというハードのおかげで、1つ別の業界に変化の波が押し寄せているわけだ。そしてSquareという小さな機器が今度は、さらにクレジットカード業界に変化を迫っている。
つまりインターネットの影響は、新しいハードの登場によって、さらに新しい業界に及ぶ。今後Makers革命の波に乗り、新しいハードウエアベンチャーが次々と登場してくることだろう。そのうちの幾つかは、そのハード機器を通じて多くの業界に再編を迫ることになるのだと思う。
こうしたハードウエアベンチャーは、経営チームと少人数の社員、それと彼らを支える開発者、ユーザーコミュニティという形態を取ることが多い。リーンスタートアップという少人数経営で、大手を相手取って戦えるのは、開発者、ユーザーコミュニティを抱えているからこそ。ここでもコミュニティ運営が成否を左右することになる。
さてこうしたハードウエアとネットを絡めたベンチャー企業が数多く登場してくるのが、Makers革命の中短期的に見通しだが、究極のところMakers革命の最大の価値はやはり「個のエンパワーメント」である。ブログやソーシャルメディアによってユーザー一人ひとりが自己表現を始め、社会のパワーバランスが個人へとシフトしていっているように、電子工作機械を通じて社会のパワーバランスが個人へとシフトしていくのだと思う。
先進国では、一人ひとりの個性を表現するようなモノづくりが活発になるだろうし、途上国では各地のニーズに合わせた独創的なモノづくりが行われるだろう。
リサイクル、リペアが当たり前の世の中になり、また分解・再構築を前提としたモノづくりになっていくのだと思う。この辺りの見通しは、MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
そうした時代になれば電子工作機器を取り揃えたFablabのような場所が、地域コミュニティのハブになるだろう。地域コミュニティの中に、モノづくりを中心としたコミュニティをどう作っていくか、ということが地域活性化の重要なテーマに今後なっていくことは間違いない。
ここでもやはり、コミュニティなのである。
【お知らせ】
このコミュニティの未来こそが、今の僕の最大の関心事の1つ。そこで僕が主催する少人数制勉強会TechWave塾で第15期を「21世紀型コミュニティの本質をつかむ」と題して、この問題を徹底的に議論して運営方法などの知見を得たいと思っています。塾生募集中。