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テレビ朝日 谷口洋一 氏 デジタライゼーションで実現する、テレビ地上波起点のグランドデザイン【ad:tech tokyo 2018インタビュー(16)】

ad:tech tokyo2018のアドバイザリーボードメンバーは総勢35名。業界のリーダーであるメンバーのみなさんからのデジタル広告、マーケティング業界への問題提起を事務局が連載形式でインタビューします(特集一覧はこちら)。

今回は株式会社テレビ朝日営業局タイムマーケティング部部長の谷口洋一氏が登場します。デジタライゼーション施策の中で、AbemaTVとの協業も始めたテレビ朝日の掲げるスローガン「テレビ朝日360°」とはどのような戦略なのか伺ってきました。

—谷口さんはテレビ朝日ご入局以来、視聴率の最大化を目指す編成という部門に長くいらしたんですね。

スポーツ番組の現場からキャリアをスタートし、その後編成で地上波番組の企画編成全般に携わってきました。いわばずっと番組制作という「アナログ畑」で育ってきましたので、2016年の7月に営業局メディアマーケティング部に異動し、「AbemaTVをサイバーエージェント社と一緒にやっていくぞ!」となった時は本当に驚きました。会議に出れば聞きなれないデジタル用語の嵐で、会話が英語に聞こえるぐらいのギャップでしたね。テレビ業界にいる自分たちが知らない間に世の中がデジタライゼーションされて、ガラッと変わってしまっていた。

—2016年7月ということは今から2年弱前ですが、当時はまだテレビ局のデジタル化というのは進んでいなかったのでしょうか。

正直なところ、60年間培ってきたビジネスに対する誇りとプライド、特にコンテンツパワーでは負けないという自負があって、頭ではわかっていても、本当の意味で視線がデジタル化には向いていなかったと思います。そこで、テレビ朝日は局全体で「テレビ朝日360°」というスローガンを掲げ、地上波だけでなく、デジタルを中心とする様々なメディアへのコンテンツ展開の意識づけを行うようにしたんです。つまりデジタル業界をリスペクトしながらも、自分たちの強みを活かすための取り組みを始めたんですね。

これはもう本当にゼロからの取り組みでして、私も着任早々、WEB解析士などデジタルマーケティング資格の勉強から始めましたよ。20年間デジタル業界がやってきたことに追いつかないと失礼ですし、何しろ広告主企業のみなさんのデジタライゼーションが進んでいるので、最先端を勉強し続けてきた方々に自信を持って提案を行うためには必要なことでした。デジタル部門に来たばかりの頃は、「テレビはハイターゲットメディアですね」と言われてすごくショックを受けていたんです。でも、若年層のリアルタイム視聴離れはもう数字として出てきてしまっていますし、そこはAbemaTVなどでしっかりフォローしながら、メディアプランを意識した提案をしていけばいいんだ、と。

—その提案とはどのようなものですか。

地上波発のグランドデザイン、ということで地上波を起点にAbemaTV、見逃し配信のTVer、自社拡散メディアでのSNS拡散、そしてリアルイベントを統合的に展開していく施策を提案しています。今までも地上波とリアルイベント、という組み合わせの提案はありましたが、地上波とリアルの間にデジタルを経由させることによって、様々なデータが取得できるようになりましたし、マーケターが知りたがるような効果測定の精緻化ができるようになりました。

360°的な施策のわかりやすい例としては、例えば国内最大級の夏イベントとして毎年開催している「テレ朝夏祭り・サマーステーション」を活用した展開などがあげられると思います。このイベントは普段から様々な形で地上波にご出稿いただいているお客様を中心にご協賛いただいているのですが、地上波だけでなくリアルイベントにもご協賛いただくことで、イベント会場での露出はもちろん、このイベントを取り上げた地上波各番組での露出も見込まれるようになります。そしてその番組動画や関連コンテンツがTVerや、若年層から圧倒的な支持を得ているAbemaTVなどのデジタルメディアで展開され、さらに自社の記事配信メディアによってSNSにも拡散されることで、可視化できる指標も得ることができるようになります。そしてそのデジタル拡散がリアルイベントへの集客につながり、消費者の方々と各協賛社様のより強いタッチポイントを作り出していく。これまでの単純な「テレビ提供」「イベント協賛」という概念ではなく、目に見えるエンゲージメントまでつなげていくことができる。

さらに付け加えるならば、このイベントにご来場いただいたお客様に、テレビ朝日コンテンツのファンとなって頂く事で、また地上波視聴に回帰してもらい、そこで提供者様のコマーシャルに触れ・・・、と360°にメディアを行き来しながら、より効果的な、効率的なプロモーションループを作っていく事が可能になると考えています。

—そこまで来ると、「マス」と「デジタル」と領域を分断して考えている場合ではないですね。

だからテレビにはまだ夢も未来もあると思っています。テレビ朝日という局は番組作りに対して非常に真面目で、番組の方向性が真面目なのもさることながら、「1秒1秒を丁寧に作る!」という意識が強いんです。その積み重ねが今効いてきていて。TVerでクリッカブル広告を導入したら、非常に送客効率がよかった。それはもともとテレビ朝日のコンテンツは、VI値とAI値と呼ばれる「どれだけテレビの前に視聴者がいたか」「どれだけ集中して番組を視聴していたか」といった指標が非常に高いから、ではないかと思っています。視聴者が真剣に見てくれるものを作れているから、しっかり広告もクリックしてくれる。この1〜2年でweb動画自体が重要視されるようになりましたので、マスメディアがデジタルを理解していけばもっともっと強くなれる、と感じているところです。大谷翔平選手が周囲に「無理だよ」と批判され続けても二刀流になったように、テレビ界もアナログとデジタル、マスとデジタル、といった二刀流にならないと。もちろんテレビの現実もわかっていますが、「未来もある」と伝えたいんです。

—では、最近気になっている技術などはありますか。

5G通信は非常に気になる技術です。まずは映像革命、そして自動車の自動運転ですね。先日、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に視察へ行きました。そこで最初に見たのが自動運転の展示で、度肝を抜かれました。自動運転って聞いてどんなことを考えますか?私は自動運転が発達して人間が運転する必要がなくなれば、移動時間にもっとテレビや動画を見てもらえるからそこをどうデザインしようかと考えていた。それがもう裏切られちゃいました。展示されていた自動運転の車に乗ったら、窓がディスプレイになっていたんです。車の中がそのままスマホになっていたというか。同乗者同士でそのディスプレイをタッチして、一つの窓では「どのお店に行こうか」と検索して、別の窓では「花火の動画を見よう」なんてことをしている。出展者に詳しく聞くと「2030年には日本でも普通に走っていると思います」なんて言われてしまって、そのスピードにも驚きました。他にも見ていくと、AIにしろ何にしろ、かつてSF映画で描かれたような未来の技術は空飛ぶ車以外ならもう大抵全部実現できそうな雰囲気です。ただ、そんな様々な技術やアイディアの真ん中に、常に「テレビモニター」が存在していたことに、とても希望を感じました。テレビという機械を使って行われている地上波放送、そのリアルタイム視聴離れは確かにあるかもしれない。でもテレビコンテンツ自体は様々なデバイスを通じて接触率が高まっている。そこをテレビ局がどう価値の最大化をさせていくのか、考えていきたいですね。

(聞き手:事務局 堀)


<プロフィール>
谷口 洋一
株式会社テレビ朝日
営業局タイムマーケティング部 部長
1993年、全国朝日放送株式会社(現・株式会社テレビ朝日)入社。
スポーツ局にて、プロ野球・サッカー中継・番組等のディレクター・プロデューサーを歴任。
2008年に編成制作局に異動後、スポーツビッグプロジェクト担当部長、総合戦略部長を経て、
2012年から編成部長に就任。地上波編成の責任者として、番組編成・企画全般に携わる。
2016年より営業局メディアマーケティング部長として、様々な企画セールス展開、AbemaTV等デジタルメディアのセールス戦略を統括。
2018年7月から営業局タイムマーケティング部長に就任し、地上波、デジタル、イベントなどの総合的なセールスを統括。

ad:tech tokyo 2018の詳細はこちらから

イベント概要
開催時期: 2018年10月4日(木)、5日(金)
開催場所: 東京国際フォーラム  東京都千代田区丸の内3丁目5−1
公式サイト:http://www.adtech-tokyo.com/ja/

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