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AbemaTV 山田陸 氏 新しい放送局で目指すテレビとデジタルのこれから【ad:tech tokyo 2018インタビュー(23)】

ad:tech tokyo2018のアドバイザリーボードメンバーは総勢36名。業界のリーダーであるメンバーのみなさんからのデジタル広告、マーケティング業界への問題提起を事務局が連載形式でインタビューします(特集一覧はこちら)。

今回は株式会社AbemaTV広告本部本部長/株式会社サイバーエージェント執行役員 山田陸氏に新しい放送局についてお話を伺いました。

—まずはじめに、山田さんの現在の業務内容を教えてください。

テレビ朝日さんとサイバーエージェントが共同で立ち上げた、インターネットテレビ局 AbemaTVの中の広告セクションを担当しています。当社は新たな事業としてAbemaTVに投資をしてきたので、それを今後いかにマネタイズするかということをミッションにしています。

—以前はAmebaブログを中心としたメディアの広告セクションを担当していらっしゃいましたよね。従来のデジタルメディアとAbemaTVのような新たな放送局という形のメディアとでは、クライアントとの向き合い方などに変化はありますか。

まず、出稿いただいている広告主の業種・業界が変わりましたね。デジタルメディアではダイレクトレスポンスを重視する業界、例えばEC事業を展開するような広告主が多かったです。一方のAbemaTVはテレビと同様にブランド広告主が多く、一緒に媒体を売っていく広告会社の方もweb専門部署の管轄からラテ部門(ラジオ・テレビ部門)に変わりました。文化なども違いますが、私たちに求められるものも当然違います。デジタルメディアはいくつも存在していて、その中からどう選ばれるかがビジネスの鍵だったので、クライアントや広告会社からリクエストをいただくというよりも、自分たちでどんどん新しい商品を開発し提案していくというスタイルでした。それに対してAbemaTVでは、クライアントや広告会社から「もっとこうしてほしい」というご意見をいただくことがとても多いです。放送局は数がものすごく限られていて、在京キー局でいえば5局のみ。なので、テレビの広告に関わっている方々は、その選択肢の中で「何かできないか?こんなことはできないか?」と自ら要望を出すという意識が強いためです。

—クライアントや広告会社からのリクエストで印象的なものはありますか。

「今までテレビに割り振っていた広告予算を全てAbemaTVに投資して、費用対効果を比べてみたい」というクライアントが現れたのには時代の変化を感じました。ただ、その時は、テレビのリーチ力などの強みも正直にお伝えし、テレビと一緒にAbemaTVをプランニングすることをおすすめしました。テレビの強みは引き続き活かして、テレビでは届きにくいところ、例えば10代などに向けた部分はAbemaTVで配信をしていきましょうと提案しました。

—AbemaTVが順調に放送局として新たな立ち位置を築いていらっしゃるのを感じますね。テレビとデジタルメディアの統合プランニングが求められる今、取り組んでみたいテーマはありますか。

やはりテレビとデジタルの共通指標は作っていきたいです。これは1社だけで完成できるものではないので、業界のみなさんで一緒に取り組んでいきたいと思っています。それによってテレビの予算を急激にデジタルシフトさせようなんてことは考えていなくて、企業がマーケティングに振り分けている予算ポートフォリオを科学するために必要なことだと考えています。業界として重要な責務ですし、クライアントは応援してくださるかな、と思います。

—共通指標を作るのに難しい部分はどこでしょうか。テレビ側のデータ取得手段が少ない、などでしょうか。

テレビデバイスでいうと実はもうどんどん解決してきています。ネット系の動画コンテンツが急速に普及していますが、それも大画面で観たい方が多いんです。だから、テレビをインターネットに繋げる率が非常に上がっていて、結果としてテレビの視聴データも取りやすくなってきました。むしろ、難しさはデジタルのほうにあります。デジタルの広告はフォーマットの種類がものすごく多い。テレビは15秒や30秒というフォーマットのみなのでシンプルですが、デジタルはバナーや動画、動画も尺が色々…とフォーマットが多様でそれぞれに起きる態度変容も違う。それらを比べるのは非常に難しいと感じていますが、今後テレビ局のみなさんとも連携して進めていきたいです。

—AbemaTVの広告事例として反響があったものなどはありますか。

新しい地図の3人が出演している『7.2 新しい別の窓』という番組を月に1回、7.2時間生放送していて、その番組内でアンファー様の新しい発毛剤「スカルプD メディカルミノキ5」のCMを初公開しました。インパクトのあるビジュアルだったこともあって、「ミノキ兄弟」というキャラクター名がTwitterのトレンドに上がったり、商品の売上が大手通販サイトで1位になったりと、非常に話題になりました。

—瞬間的に大きな話題になる、というのはとてもテレビっぽい反応です。ところで、テレビを見ていて最近印象的だった番組や企画などはありますか?

最近NHKの「みんなで筋肉体操」という番組がSNSで話題になっていました。筋トレ番組なのですが、トレーニングのレベルがスタートからハイレベルだったりして、SNSでツッコミやすいポイントがたくさん。これは初めから視聴率以上にSNSなどにおける話題化や拡散に重きをおいて番組づくりをしているのではないか、と面白く観ています。テレビ番組の作り方の変化を感じましたね。

—では最後に今年のad:tech tokyoで話題にしたいことを教えてください。

やはり先ほどお話しした、テレビとデジタルの共通指標については議論してみたいですね。クライアントも興味を持っていることですので、業種ごと、目的ごとに指標を作っていくということはやり遂げていきたいと思います。


<プロフィール>
山田 陸
株式会社AbemaTV 広告本部 本部長
株式会社サイバーエージェント 執行役員

2011年株式会社サイバーエージェントに入社。2015年よりAmeba統括本部 広告部門 統括、株式会社サイバーエージェント 執行役員に就任。2016年11月に株式会社AJAを設立し、代表取締役社長に就任。
2017年10月より株式会社AbemaTVにて、広告本部 本部長を務める。

ad:tech tokyo 2018の詳細はこちらから

イベント概要
開催時期: 2018年10月4日(木)、5日(金)
開催場所: 東京国際フォーラム  東京都千代田区丸の内3丁目5−1
公式サイト:http://www.adtech-tokyo.com/ja/

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