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オンライン出店と寄付をつなげ、コミュニティーを笑顔に ”eharvest”

[読了時間3分]

【シリコンバレー】新しいECサイトができた。支払い金の一部が制作者へ、一部がチャリティに募金され、出展者・チャリティ・買い手の三者が喜べるサイト”eharvest”だ。シリコンバレーで起業している中澤佳奈生CEOに取材した。

中澤氏(左)と。撮影場所:SunBridge

どちらがいいですか? 15ドルで商品を買うのと、14ドルで同じ商品を買い1ドルを被災地に募金するのと。

eharvestはeコマースと募金が一つになったサイトだ。
eharvestでの出展者の売上の一部が、チャリティとして募金される。

使い方を紹介する。

東日本大震災で家族を亡くした方への募金活動「ひとつ」を例に挙げる。

まず、「ひとつ」を応援したい人が、自分の作品をeharvestで出す。
例えば”Paper Creations”は、カードをレーザーで彫って出店。下記のように出店ページが簡単に作れる。

この作品は、注文に応じて日時などを入れられる。これを5ドルで売り、その内1ドルが「ひとつ」に募金される仕組みだ。
右下に「ひとつ」のロゴがあり、買い手はどこにいくら募金されるのかが見られる。

こちらはバッグを売る”Peace Child”のページ。

50ドルのバッグの値段のうち、1ドルが募金される。募金先はサンタクララの日本語学校で、新校舎を建てるために使われる。

このように、オンライン出展商品が買われるごとに、売上のうち一定額がチャリティに寄付される仕組みがeharvestである。

・How eharvest works

eharvestのどんな機能により、寄付を集められるのか? 大きく分けて二つある。

一つ目は、簡単に寄付ページが作れる機能。

二つ目は、出店者の利益の一部が寄付される機能だ。

一つ目の寄付ページに関して。

チャリティ団体にとって、高度なネット技術を使いオンライン募金サイトを作るのは難しいことがある。彼らが「無料で簡単に募金のサイトを作れる」点にeharvestの強みがある。


(ログインすれば、誰でも寄付ページを作れる)

上図のように多くのテンプレートから選べ、色や文章も後から変えられる。
中澤氏によると、今まで募金をオンラインでもしたいが技術的に難しかった人たちが、eharvestによって簡単に作れたという。

例えば「ひとつ」はこのリンクのような、募金サイトをeharvestにより作ることができた。

二つ目の機能は、出店者の利益の一部が寄付されることだ。この機能により作品が売れれば出店者も、寄付の受け手も利益を得られるようになった。

加えて買い手にも良いことがある。クラフトを買ったお金で、製作者だけでなくチャリティ運営者にもお金が渡ることだ。あなたなら、15ドルで商品を買うのと、14ドルで同じ商品を買い1ドルを被災地に募金するのとどちらを選びたいだろう?

購買とチャリティが結びつくことで、買い手・売り手・寄付を受ける人の3者が喜ぶことができる。これがeharvestのキャッチフレーズである”make your community a happy place”である。チャリティ・運営者・売り手・買い手の”community”全員が喜べるようにしたい、という意図が込められている。

中澤氏によるとアメリカでは寄付やファンドレイジングは日常的だそうだ。自分のしたいことをするために、自分でお金を集める文化があるという。このような文化が、eharvestの土壌となっている。

・売り手の利益

このサイトでは売り手の利益の一部を、売り手自身の設定した額で寄付できる。しかし、それでは売り手の利益が減ってしまわないか?

中澤CEOによると「自分の募金したい団体に募金ができることがセラーのモチベーションになっている」とのことだ。

現在は、自分の寄付したい団体があり、売り物を作れる人が出店するケースが多いようだ。寄付の目的に共感すればこそ、自分の力で応援しようと思うのだろう。

・活動の原点

中澤CEOがeharvestを作ったきっかけは、スキルがあるのに仕事をやめた友人を見た時だった。
ある時、その友人がアクセサリーを作って周りに見せると「こんな素晴らしいものは見たことがない!」「お金を払っても欲しいくらい」との声が上がり、とても勇気づけられていた。

それを見た中澤CEOは、隠れたスキルを持っている人々が、その趣味をビジネスにし、スキルを活かせる場所がないかと考えたという。これが、オンラインで売り買いできるサイトを作った「原点の原点」(中澤CEO)である。

この石鹸の出店者は、スーパーで作品が売られるほど人気のある制作者。オンラインでも拠点が欲しいと、eharvestでも精力的に売っている。

このような制作者たちの話を聞いていると、彼女らは「自分の好きなチャリティに募金したい」という意志が強いと中澤氏は感じた。そこで、彼女たちの社会貢献のきっかけとなる募金機能をつけた。

こうして、チャリティと作り手を結びつけたeharvestが出来上がった。

・これから

これからは「世界レベルでサポートするつながりがあったらいいのでは」と考えている。例えば、2013年にフィリピンをおそった台風への募金ページがeharvestで作られた。次のステップとして、募金・出店が集まるための広報を行うという。

チャリティと作り手をつなげ、買い手にも喜びを与えるeharvest。今後は世界目線で喜びのコミュニティーを広めていく。

人物紹介
中澤佳奈生

1983 年より、会計システムを中心とした ERP システムの企画、設計、開発、運用サポートに携わる。
2007 年 1 月より、米国での会計及び ERP システムの市場とテクノロジーのリサーチ、米国の日系企業を中心とする管理会計のコンサルティングの業務を行う。
2008 年より、SaaS 事業化コンサルティング、SaaS 技術コンサルティング、SaaS プラットフォーム構築、SaaS サービス・マーケティング支援を行う。
またContents Management System の開発、インターネットサイトの構築から運営まで、インターネットを利用した新サービスの開発研究を行っている。
2012年3月にはチャリティサービスサイトeharvestを立ち上げている。

蛇足:僕は、こう思ったんですよ

起業当初の理念は、方向転換することがある。
中澤氏にも転換期があった。

初めは、女性がクラフト能力を発揮できるきっかけを作りたい、という思いがあったようだ。集まる出店者を見るうちに、クラフトを作るアーティストたちは寄付する心も強いと気付いた。よって、クラフトと寄付を結びつけることになった。

ただ、一貫して変わらない価値観があるのではないか。Happyになる人が増えて欲しい、ということだ。

「このサイトを一言で表して下さい」とたずねた時、しばらく考えてから言われた。「やっぱりつきつめると”make your community a happy place”になる」。eharvestのキャッチコピーを引用された。

クラフトの出店であれ、出店と寄付とを結びつけるのであれ、喜ぶ人が増えることに変わりは無い。起業の形はどうであれ、彼女はこれからも喜びのコミュニティーを広げていくのではないだろうか。

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