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ベラルーシの首都ミンスクの中心部に、IT業界関係者でにぎわう [SPACE] がある。古い倉庫街の一角を改装したこの場所は、ベラルーシ初のイベントスペース兼コワーキングスペースとして2014年11月に設立された。
古い倉庫をITコミュニティが集う [SPACE] に
オープンしたばかりだったためか、今年3月の訪問時、地元のタクシー運転手などもその存在を知らなかった。また野犬の親子が闊歩していたり、川沿いを老夫婦が散歩していたりと、周辺環境はとてものんびりしている様子。その中に [SPACE] の英語表記の門扉は、ひときわ目立つ。
[SPACE] ではほぼ毎日、イベントが行われている。エンジニア向けのハッカソン、認定スクラムマスター研修、女性向けIT業界でのキャリア構築に関するセミナー、スピーチテクニック講座、HRイベントなどの数十人向けのものから、GoogleやYandexなどが主催する大規模なものまで、規模もトピックも多岐にわたる。
[SPACE] 代表のヤナ・ラシュケビッチ氏は、ベラルーシのITコミュニティのリーダー的存在だ。
「この場所は、ベラルーシ国内のIT企業やエンジニアたちのつながりを強くすることと、ベラルーシ国外のITの専門家と最先端の技術を招き入れることを目的に作ったの。ベラルーシのITコミュニティの家のような存在にしていきたいわ。」
―開催するイベントは、ミンスクのエンジニア向けのものが多くなりそう?
「そもそもベラルーシでは毎年、IT関連の大きなカンファレンスなども年に数回、開催されているのよ。最大規模のものだと来場者は1000人以上、もちろんベラルーシ国外、たとえばロシアやウクライナ、ヨーロッパ各国からも参加者を呼んでね。[SPACE] ではもっとカジュアルでプライベートな10人単位のミートアップから、数百人規模のイベントを開催予定よ。対象はIT業界関係者全般ね。」
―イベントに参加した会社には、どんなメリットがありそう?
「ベラルーシのIT産業を発展させるには、会社単位でのつながりを強くすることが必要だと思ったの。それぞれの会社内での人間関係も大切だけれど、企業の枠を越えた人脈も、産業を強化するトリガーになると考えたから。そうすることで、お互いの利益につながるようなユニークなものの発案とか、プロダクト作りができるようになって…コミュニティの力で、グローバルな競争を勝ち抜けるかなって。」
ベラルーシで人気の職業「ITエンジニア」
ベラルーシのソフトウェアディベロッパーのポータルサイト Dev.by によると、ITエンジニアの給与相場は1598ドル(約19万円)。ベラルーシの平均月収が約200ドル(約2.5万円)前後であるのに対して、とても高額であることが分かる。
この給与の高さは「ITエンジニア」を人気の職業に押し上げ、ベラルーシにおけるキャリア形成や自己研さんにも影響しているという。
「ソフトウェアエンジニアは20代に人気の職業だし、最初のキャリアとして選ぶべきだと広く考えられているよ。最近ではエンジニアとしてキャリアスタートしてから、マーケティングとか経営とかにシフトする人も増えてきたね。ベラルーシでは大学在学中から働き始める人が多いから、キャリアスタートは早ければ19歳。大学を卒業してフルタイムになるときには、すでに3年程度の就業経験を持つわけで、その質で給与や転職先を決めるんだ。」(Wargaming.netの現地社員、20代男性)
「若い世代のエンジニアに人気なのはObjective-CとJavaなどのモバイルアプリの開発言語ね。彼らはO’Reilly 等のアメリカのプログラミング技術の本を、英語のまま読んで学習しているわよ。ベテランエンジニアほどサーバーサイドの知識や、WindowsやMac OSアプリの開発経験など、幅も広くなるけれど、英語の能力は少し落ちるかも。それでもベラルーシ語やロシア語しかできないエンジニアというのは、あまり多くないと思うわ。」(Viberの現地社員、20代女性)
―ソフトウェアエンジニアになるための、大学の学費は高かったりしない?
「大学の学費はほぼ無料。成績にもよるけれど。無料だから頑張らない人もいるし、無料だから大学の授業と仕事を往復しながら、キャリアを考えている人もいるよ。」(前述のWargaming.netの現地社員)
―エンジニアの需要と供給はマッチしてる?
「良いエンジニアはベラルーシ国内でも取り合いになってきているのを、ときどき実感するわね…。主にはepamやWargaming.net、Apalon、Viberの間で。だからハッカソンを主催したり、エンジニアから選んでもらえる会社であるよう工夫しているわ。」(前述のViberの現地社員)
※日本からベラルーシに行かれる際は、日本のベラルーシ大使館であらかじめビザを取得することを強く、強くおススメします。
【関連URL】
Space.by (ロシア語) http://www.eventspace.by/
Dev.by (ロシア語) https://dev.by/
Special thanks to my friends in Minsk – Yana, Artem, Marina and Natalia