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タクシーアプリ 五輪の陣、 英ヘイローが日本サービス開始でどうなる? 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 スマホのGPSを機能を利用してタクシーを配車するアプリの競争が激化している。

 ざっと取り上げても、先陣を切った日本交通のほか、第一タクシーの「モタク」(全国)、東京無線の「配車アプリ」(都心)、大和自動車交通、配車でポイントが蓄積される「ポイタク」(全国)、価格比較ができる「タクシル」(運営:ロジックリン、開発:クリーム、全国)などがある。

 そして2013年9月19日、英「Hailo(ヘイロー)」が国内でサービスを本格スタートした。決済でGMOペイメントゲートウェイ、ジェーシービー、三井住友カードらとタッグを組み、初めは大阪市から北港梅田ハイタク事業協同組合、ナニワ交通、仲川交通、オール大阪交通の約100台でスタートする。年内にも東京をスタートしたい考えだ。

 目玉は「グローバル対応」。五輪開催などで外国人が来日しても多言語対応のアプリである「ヘイロー」ならスムーズに対応できるという。


写真(maskin):ヘイロー・ネットワーク・ジャパン 副社長 下山慶太 氏





 ヘイローは2010年にロンドンで創設。2011年11月にロンドンでサービスインし、2011年11月にロンドンでスタート。ダブリンで2012年5月、米ボストンで2012年10月、ニューヨーク2013年5月、マドリッドで2013年4月などを展開し、今回の日本でのサービスインとなった。今後、北京や香港、ソウル、台北といったアジア展開を検討しているとのこと。

 ヘイローは配車のみならず、決済やコミュニケーション支援、イベント情報、口コミといった多様な情報を集約していることが特徴で、ローンチ1年たらずの2012年10月の段階で、ロンドンのタクシー全体の約25%がヘイロー経由と言われるまでに急成長している。ワールドワイドの登録ユーザーは50万超で、4秒に1配車されているという。
 英ヘイローは現在までに、Union Squre VenturesやAccel、Atomico、Wellington Partners、Richard Branson氏等といった著名な投資家から資金を調達することに成功している。


供給過多か?ニーズのミスマッチか?

 日本のタクシーは2012年の時点で25万1466台。東京は約5.2万台と全国の20.7%を占めている (社団法人 東京乗用旅客自動車協会調べ、2013年4月1日現在)。

 2002年にタクシーの数量規制等が廃止されのを機に増加傾向に入るが、ドライバーの待遇が悪化したとして、2009年に自主的な減車などを促す法律「タクシー適正化・活性化法」が成立。さらに先日、与党と民主党が、タクシーの台数制限を義務づける「タクシーサービス向上法案」に合意した。本保安は2013年秋の臨時国会に提出される見通しだ。

 この背景には、2009年の法律により台数は減少傾向に入ったものの、景気悪化などの影響もありさらに効率化をしなければならないという事情があるようだが、東京23区および三鷹市・武蔵の市の実績値をみてみると、規制の動きが出初めた2009年頃から「稼働率」は向上しているものの、バブル崩壊後減少傾向にあった「輸送人員」や「走行キロ」や「実車率」がさらに激減していることがわかる。

 これらのことから、実は供給が過多だからではなく、市場のニーズの変容との親和性が問題だったとも考えられる。


アプリは、日本タクシー業界をリデザインするか?

 これらのことを加味して考えると、スマホアプリで市場ニーズと配車をマッチさせることで10億円の売上を叩き出した日本交通の功績は大きい。

 同社は、東京23区や神奈川などを対象とした「タクシー配車」アプリのほか、全国47都道府県を対象に2万台のタクシーと提携とした「全国タクシー配車」アプリ、さらにスタートアップ企業Fullerと共同で料金検索アプリ「タクシーおじさん」なども展開しており、全てのアプリ累計で100万ダウンロードを突破していると見られている。

 一方、英ヘイローの日本法人 ヘイロー・ネットワーク・ジャパン は2012年設立。

 代表取締役社長には、元・ルイヴィトンジャパンカンパニープレジデント&CEO、ベタープレイス・ジャパン代表取締役を務める藤井清孝 氏が就任。副社長には、元kmホールディングス 取締役の下山慶太 氏が就任しており、2013年2月5日には、KDDI Open Innovation Fundから総額5000万ドルの出資を受けている。

 日本交通が先行する日本タクシーアプリ業界だが、スマホが浸透するこの数年の動きであり、先行者メリットが作用するかどうか判断しにくい状態。特に、機能が充実しており、多言語対応を果たしているヘイローは、後発とはいえ日本で頭角を表す可能性が十分にある。

 ヘイローは国際性を強みにして2020年の東京オリッピックに勝負をかける考え。日本タクシー各社も国際対応は準備を進めているが、果たしてどうなるか? O2Oマーケッティングという観点でも非常に興味深い戦いとなりそうだ。






【関連URL】
・HAILO. タクシーの配車、予約アプリはHailo(ヘイロー)
https://www.hailocab.com/osaka
・タクシーアプリ「Hailo(ヘイロー)」で決済サービスの提供を開始!
https://www.smbc-card.com/mem/company/news/news0000968.jsp
・日本のタクシー | データライブラリー|東京のタクシー[一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会]
http://www.taxi-tokyo.or.jp/datalibrary/pdf/hakusyo2012all.pdf

蛇足:僕はこう思ったッス
僕自身、タクシーを利用させていただくことが多いのだが、全国色々なところで困りまくっている。「赤ちゃん連れでどうにか乗りたいのにタクシーがひろえない」「夜間タクシーのガラが悪い運転手に困惑」などなど。都心でも地方でもさまざまな問題があるのがタクシーだと思う。じゃあ、バスや電車でいいかというと、ルートも時間も限られてしまい限定的。今後高齢化社会が進むにつれ車依存の地方などは、よりタクシー需要が発生すると思うのだが、なかなか整備されてこなかった。
だからこそタクシーアプリには大いに期待したい。スマートデバイスならではの社会改革がここから始まると思うのワクワクする。
著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演している。現在、TechWaveをリボーン中。中長期プランニングやアドバイザリー活動で定評がある。(@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中)
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