サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

[速報] 日本選考結果 ビル・ゲイツ氏入魂の学生技術コンテスト「ImagineCup2017」 日本トップ9チームが最終プレゼン

本日開催された世界規模の学生向け技術コンテスト「Imagine Cup 2017」の日本代表が決定しました。このコンテストにコメられたミッションステートメントとあわせてご一読ください。


Microsoft創業者ビル・ゲイツ氏の声がけにより2003年より始まった世界規模の学生向けITコンテスト「Imagine Cup」。過去に190を超える国と地域から述べで180万人以上が参加しているもので、決勝戦は世界の選抜プロセスをくぐり抜けてきた精鋭が一同に集まるまさに世界大会の名にふさわしい舞台となっています。

2012年にシドニーで開催されたImagineCupの決勝戦の模様・初めて日本チームがソフトウェア部門で世界2位に入賞した際の映像
http://techwave.jp/archives/51752945.html

今年15周年を迎えることになった「Imagine Cup」は、これまで掲げられていた課題テーマ(カテゴリ)設定を排除し、純粋な技術コンテストとして再スタートしています。日本では大学生および高専生の学生が中心に参加し、本日2017年3月22日、選考に残った10チームの最終プレゼン審査会が実施されました。。

ミッションへの回帰

今回の「ImagineCup」のテーマは「世の中にインパクトを与える革新的でクリエイティブなソリューションやサービス」と技術コンテストの位置づけを明確に出しています。

ここにはMicrosoftという企業のミッションが色濃く反映されています。

地球所のすべての個人と
すべての組織が、
より多くのことを
達成できるようにする

Empower every person and every organization on the planet to achieve more.

そのため、今回の評価基準は、テクノロジー 50 %、革新性 20 %、コンセプト 15 %、実現性 15 %という配分になっています。また特に、人工知能や認知機能など最先端のテクノロジーの導入が推奨されています。

なお、参加対象は、16歳以上の高校生、高専生、専門学校生、大学生、大学院生で、チームは3名まで。世界大会への参加は日本からは2チームのみ。2017年7月にシアトルで開催される世界大会で優勝すると賞金10万ドルが進呈されます。

ファイナリスト9チームのプレゼンテーション解説

プレゼンテーションは本番を想定して英語で行われました。今回の発表会までにベルリッツ社の協力を仰ぎ英語の鍛錬が行われてきたとのことです。

チーム:GROOVE(首都大学東京、東京工業大学、東京大学)
作品名:GROOVE

ダンサーのためのスマホ連携グローブ。LEDライトや各種センサーを内蔵したグローブを装着してダンスをすると、スマートフォンと連携して音楽やビデオを最適な形で再生してくれる。身体の細かい動きをこのグローブを通じて拡張することで、ダンスの演出を総合的に向上することができるというもの。グローブに搭載されているセンサーはベンド・圧力・6軸の3種類搭載されているとのこと。本体のLEDは50個あり、その表現パターンはグローブ内にプリセットされている。ディープラーニングにより最適なパターンを発掘しようと努力中だが、現時点では事前にセットした方法の方が的確になってしまっているとのこと。

チーム:Deportare (東京大学大学院)
作品名:Deportare(デポルターレ)

二次元になりがちなスポーツ選手の動きの認識を3次元でできるようにするというもの。光学キャプチャによって、3次元のモデルのクローンを作成。選手視点もキャプチャし、多角的かつ立体的に動きを確認することができる。3Dモデルは、実際の映像にシンクロして表示確認することが可能。

チーム:BOTIO(岐阜高専専攻科、首都大学東京、東京工業大学)
作品名:BOTIO

ラジオパーソナリティBOTが、YouTubeやニュースサイト、SNSなどに投稿される情報を収集し、テキストを読み上げたり音楽を再生したりする。どんな情報を聴いたかを判別してラジオ番組のシナリオが柔軟に変化していく。その人にあった内容に編成されていくのに加え、BOTに対して自然言語でリクエストを送ったりすることで対話しながら作られていく番組なども用意されている。

チーム:TITAMAS(東京工業大学メディア研究会)
作品名:Walky

視覚障碍者向けスマート白杖デバイス。カメラが搭載されており、障害物を認識して声でその存在をさまざまな言語で知らせてくれるというもの。認識距離は2メートル。映像をサーバーに送り分析する仕組みとなった。加速度センサーの搭載により、ブレなく撮影するなどの工夫がなされている。画像を送付して帰ってくるまでは3秒かかるが、デバイス側の工夫などにより改善していきたいと考えているとのこと。

チーム:AZURE EAGLE(京都情報大学院大学)
作品名:老人ホーム自動巡廻ロボット EAGLE113 Azure

50入居者に対し夜間は介護スタッフが2-3人で対応するとのこと。夜間徘徊など、非常に大変な仕事を各種センサーおよび駆動形ロボットでサポートする。監視カメラはプライバシー保護の観点から導入するのが困難。EAGLE113 AZUREは駆動形の巡回ロボットで、複数台導入することが可能。破損への対応のしやすさから導入費の安価なレゴマインドストームEV3を使用。将来は集積データをディープラーニングで解析し、業務を最適化したり医療情報の補助的情報を提供したい考え。

チーム:Team Goods(東京大学、法政大学)
作品名:Repoty

インターネットに分散するお店の口コミを自動収集し、口コミの傾向と店舗間の比較をレポートにしてお店のLINEなどに自動報告するプロダクト。味などは一人の評価では判断しにくいが、口コミのデータを統計的に分析することでお店全体の客観的評価を導き出す仕組み。自然言語も分析していく。お店側としては多数の口コミを確認する手間がなくなる。1店舗あたり月額3000円で使用できる。現時点では危機管理のサービスとして「生焼け」などの問題が投稿されたことを察知して通知することなどが主要機能となる。

チーム:Cyder(明石工業高等専門学校)
作品名:Aktiva

エンターテインメントと技術の融合をテーマに開発されたARダンスミラー「Aktiva」。鏡に向かってダンスをすることで自動でその上手さを採点してくれるというもの。通常ダンスの練習はビデオをみながらやることが多いが、鏡面になっていないと難しい。その点このプロダクトでは鏡の中に擬似的にダンスモデルを登場させ、それを見ながら動くことでダンスを習得しやすくする工夫をしていいる。全体練習・部分練習などを切り替えて練習する機能もある。スマートウォッチとの連携もある。独自のカードシステムがあり、採点履歴をスマホで確認することも可能。カラオケボックスへの導入を狙う。

チーム:The Drone Men(鳥羽商船高等専門学校)
作品名:Mitsubachizu

ドローンを使用して自動で地図および3Dモデルを作成するシステム。現時点では地震や津波を想定した危機回避のための災害地図を作成することを目的としている。ドローン用のiPadアプリを使いエリアやルートを指定することでオートパイロットで動作。移動中にその地域の注意点などをコメントで登録することが可能。収取したデータは機械学習で危険のえるエリアを判断(人間と比較しても80%の正確さで判別可能)。被害前と後で3Dモデルを比較するとその被害規模が把握できる。

チーム:NeuroVoice(東京大学大学院)
作品名:NeuroVoice

いわゆるボイスチェンジャーシステム。マイクに向かって何かを話すと、別の人の声に変換するというもの。テキスト変換をして発生させるのではなく、音声そのものをコントロールして変換する仕組み。誰かが話した音声を特定の人の声で再生することが可能。Amazon Echoなど音声サービスなどとの連携も視野にいれている。リアルタイムで変換するサービスも計画している。事前に人の話し言葉(音素など)を30分くらい学習しておく必要があり、現在は英語が多く学習されており変換エンジンとしてその傾向が出るが、どの言語にも対応可能。現状のサンプリングは16KHzだが44KHzまで上げることを考えている。

世界大会選抜チームは

500StartUps賞は「Walky(TITAMAS:東京工業大学メディア研究会)」。LINE賞は「NeuroVoice(東京大学大学院)」。リクルートホールディングス賞「Walky(TITAMAS:東京工業大学メディア研究会)」。オーディエンス賞は「NeuroVoice(東京大学大学院)」という結果。

そして世界大会へ出場できるチームは

Walky(TITAMAS:東京工業大学メディア研究会)


NeuroVoice(東京大学大学院)


なお、優秀賞を受賞した2チームは、今後、プレゼンテーション内容やプロダクトそのもののブラッシュアップ、英語力向上などの準備をし、2017年7月24日に米シアトルのMicrosoft本社で決勝戦に挑みます。

【関連URL】
・Imagine Cup | マイクロソフト 教育機関向け
https://www.microsoft.com/ja-jp/education/imagine-cup.aspx

蛇足:僕はこう思ったッス
 2012年のシドニー大会はまさに世界の技術者がしのぎを削る空間だった。当時全日程に参加したが、あらゆる国と地域の学生に共通するのは、どこも何らかの光る部分があるというところ。十代とは思えない意欲と技術、そして語学を含めたプレゼンテーション能力を研鑽し続けてきた痕跡が彼らの表情に出ていた。僕とは年齢はかなり離れているが、当時出会った学生達とは今も交流を続けている人も多い。当然、今日の学生達もトガっていたし輝いていた。こうした世界を一つにするコンテストは貴重だと思う。
モバイルバージョンを終了