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(結果)IVS2020 ONLINE 「LAUNCH PAD」まとめ #IVS2020 #LaunchPad

IVS LAUNCH PAD

IVS2020 ONLINE

ITスタートアップ&投資家らが一堂に集あつまるカンファレンス&ネットワーキングイベント「IVS(Infinity Ventures Summit)2020 ONLINE」が2020年7月30日から31日にかけて開催されている。本日最終日(2020年7月31日)、目玉のスタートアッププレゼンテーションコンテスト「Launch Pad」が開催された。

このイベントは投資家や経営者らによる審査(書類審査・プレゼンテーション・Q&A・メンタリング)を経て選ばれた14社が最終審査に挑むもので、最終プレゼンテーションでは「新規性/ユニークさ」・「市場性/将来のスケーラビリティ」・「プレゼン力/構成力」といった観点で評価採点する仕組み。

今回は過去最高の応募者とのこと。どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?登壇企業計14社による6分間のプレゼンテーションのサマリーとレビューをお伝えする。

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IVS2020 ONLINE「LaunchPad」審査員

審査員は弁護士ドットコム 元榮太一郎氏、セプティーニ 佐藤光紀氏、SHOWROOM 前田裕二氏、大和証券 丸尾浩一氏、PKSHATechnology 上野山勝也 氏、East Ventures 金子剛士 氏、アイスタイル山田めゆみ氏、gumi 取締役会長 国光宏尚 氏、Wantedly 仲暁子氏、クラウドワークス 吉田浩一郎氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ 高宮-慎一氏、PayPayキャピタル 堀新一郎 氏、日本マイクロソフト 三上智子 氏。台湾からApp Works Ventures – Joseph Chan 氏、Cherubic Ventures – Tina Cheng 氏。

スポンサーである「freee」「NTT DoCoMoベンチャーズ」「大和証券」「en japan」「AWS」「PLUTUS CONSULTING」「Keaple」「back check」から各種副賞が授与されます。

IVS2020 ONLINE「LaunchPad」 14社のレビュー&コメント

  1. 株式会社Sportip
    オンラインAIフィットネス「Sportip Meet
     

    整体・フィットネスクラブ向けのAI分析サービス。正面側面の身体の写真をスマホで撮影するだけで、重心の位置を含めた身体の状況を三次元規定に把握できる。継続的にデータを蓄積することで身体の不調やパフォーマンスを改善できる。オンライントレーニングも提供。導入することで入会率が78%に向上。BtoBモデルで123社平均3万円。フィットネス300億、整体840億の市場を狙う。

    蛇足)
    スマホでの分析機能と整体・フィットネスをクラウドで結ぶ発想。実は、この領域に限らず、個人レベルの店舗などはLINEなどで似たようなやりとりを行っている状況にあり、市場の要求と仕様がマッチしていれば一定のマーケットを取れるように感じる。

  2. RIM株式会社
    ゲーム大会の開催を世界一簡単に。大会開催プラットフォーム「GameTector
     

    eスポーツなどオンラインゲーム大会を簡単に開催できるプラットフォーム。大会人数などを指定すると設定完了。エントリー受付URLをシェア、参加者が集まったらトーナメントを作成。試合終了後は選手が勝利証明を付けて投稿→管理者が承認。このプロセスを繰り返して優勝者を決める。2019年1月から1万大会実施。新型コロナ下で400%成長(月間1500大会)ー競合(月間200大会)。サービスと関連が深いコミュニティが複数がある。コミュニティが継続利用する理由は戦績の蓄積と共有。ゲーム市場は13.6兆円。

    蛇足)
    ゲーマーにとって必要なツールを提供するというスタンスに共感できる。ただ、ツールとデータだけでは参入障壁にならないのではないか?とも感じる。仮に、大資本が同じサービスを展開した時、どうなるか?勝敗データの権威付け?などどんなことができるのだろう。

  3. 株式会社YOUTRUST
    副業・転職のキャリアSNS「YOUTRUST
     

    採用媒体やリファラル利用が美味くいかない事が多く、優秀な人は転職市場にでてこない。そこで、友達のネットワークの転職・副業の動向を把握できるキャリアSNSを展開。企業ページもあり、転職・副業の投稿を網羅的に把握できるようになる。スカウトも可能で、現在の返信率は60%を誇る。スタータープラン7.5万円からの月額利用料金で利用でき、累計250社が利用中。15通以上のスカウトで90%以上が採用決定しているという。アクティブ率はLinkedInの20%を越える36%。転職市場は1.3兆円

    蛇足)
    Facebookでも転職副業を投稿する人もいるし、eightや日本でも本格転換が始まっているLinkedIn(アクティブ率が今後伸びるとして)とどう棲み分けをされるのかが気になる。優秀潜在層が96%とのことだけど、優秀潜在層とは何か?どう攻めるのか注目される

  4. 株式会社Luup
    電動小型モビリティのシェアリングサービス「LUUP
     

    キックボードの業界団体の会長を兼務するCEO。弁護士版Uber事業を失敗→原因はドアtoドアの移動効率の低さ。路駐問題やバイク普及の低さから浸透しない短距離移動網を、全長110cmで電動小型モビリティで実現する。スマホで解錠して誰でも利用可能。シェアポートも増加中。例えば渋谷では2〜3分歩くとLUUPシェアサイクルを得ることができる。今後、帰省が変わった後、小型サイクルからキックボードに変更する(公道実証は2020年10月予定)。将来は四輪のモビリティも導入する考え。

    蛇足)
    この数年、世界中で爆発的に拡大し多くが消えていったシェアリング型モビリティの規制下日本で展開する計画。利点などは中国企業などのプレゼンとほぼ変わらず、それが日本の中でどう通用し、既知の課題をどう乗り越えられるかが焦点か。

  5. 株式会社tsumug
    企業向け自律分散オフィスサービス「TiNK
     

    スマートキーを開発してきたtsumugのソリューション。家ではリモートワークしにくい。日本は2033年平均空室率31.2%(600万戸)にまで拡大するので、それをスマートキー応用で貸し出す仕組み。設備ユニットなどを設置した上で提供する。パターンは「デスク貸し」「一部屋を月額占有」。施設検索から利用予約、解錠、支払いまでぷりで対応。柔軟に利用できるため面接対応ルームや自宅に近い拠点など新しいオフィスの形が描ける。オーナーは貸し出す曜日などもチューニング可能。

    蛇足)
    地方在住でリモートワークを25年超続けている筆者の場合、都内などにいる場合の咄嗟のワークスペース利用は極めて助けられるが頻度が低い。そもそもシェアワークスペースのマーケットがどこまで拡大するか見えていない。また、家でのリモートワークがしにくいという定義は、働き方の変容は世界中で生まれ続けている状況にどこまでフィットするかと感じた。ただ、空室はあるていど増えるだろうし、その活用という意味ではtsumugのソリューションが利用できる可能性はあるのだろう

  6. 東急株式会社
    アートなポスターで街中をジャックする。「ROADCAST
     

    ストリートアートと屋外広告を両立する広告媒体。市場は約2兆縁。地図から掲出可能場所およびサイズ、金額などをチェックし、デザインを入稿。掲出場所のオーナーの確認を経て掲示する。効果測定も行える。2019年、渋谷で動画配信サービスなどで利用された。2020年度内に東京主張エリア約250か所に提携媒体を含めた500か所に掲示スペースを整備する考え。今後、広告だけでは無く、体験リテールや観光資源開発、街回遊型エンターテインメントなどさまざまな事業への拡大する考え

    蛇足)
    大都市はとこもかく、地方などの町並みをみると、看板型で何かを展開することで景観が変わったり、コミュニケーションが生まれると感じることがしばしばある。もちろんこれは観光地などでも言えることで、スマホなどと組み合わせた新しいエンタメや事業が生まれそうな予感がする。

  7. 株式会社ビズ・クリエイション
    あらゆる家を見学可能にする「KengakuCloud-ケンガククラウド-
     

    住宅建設の広告代理店で12年の経験。家を建てるまでに90%の人が住宅展示場に足を運ぶ。ただ、コストが多く、大手しか出店できない。そこで入居中の家をモデルハウス化する手法をサービス化。これはメーカがすでに展開しているが、営業リソースや予約調整などの手間からオーナー邸のモデルハウス化を企画することがなかなか実現されていない。このサービスを使えば、簡単にモデルハウス公開の告知から見学予約までを一貫して設定できる。オーナーは住宅会社から手数料を得ることができる。全国5000万亭をモデルハウス化することができるという。

    蛇足)
    この10年で、充分過ぎるほどスマホは普及した。大切なのは既存産業へのIT・ネット活用であるが、これはその一端といえるだろう。

  8. クイッキン株式会社
    スマートオペレーションで宿泊施設を支えていく「aiPass
     

    旅行者のスマホを使い、ホテルのオペレーションをオンライン化するサービス。フロントスタッフの業務時間の70%がチェックインだとのことで、そういった運営オペレーションを統一することで、コストを下げ効率化する。宿泊事業者4社と実証実験を行い、どんな基礎機能を組み合わせるべきかを見定めている。月額8万〜のSaaSモデル以外に、宿泊事業120社に対し月額50万円でコンサルティング事業を展開する。

    蛇足)
    新型コロナ禍で注目を集めるニューノーマルは、スマホ普及をベースに既存産業のIT・ネットかだけなく効率化、、コスト削減へと広がっていく。この可能性はとても多い。また、業界業種にフォーカスして掘り下げることで、企業としては強みとして蓄積することができる。つまり、このサービスは、汎用化ではなく、深化によって価値を帯びる新しいモデルとなるように思う。そういう意味では基本機能プラグインの発想はGOOGかも

  9. 株式会社リーナーテクノロジーズ
    コスト削減のための支出管理プラットフォーム「Leaner
     

    コピー費や携帯電話の使用料など全ての企業にかかる間接費は総コストの10%。100以上の費目があり、サプライヤーも多く属人的な相見積もりでコスト削減に結びついていないという現実がある。ERPと連携し、自動で150以上の費目に分類され、定常的か一時的なものかまで分析されるサービス。サプライヤーへの取引状況や問題が把握できるようになる。サービス上で見積もりも可能。SaaSであるため、他の企業の調達傾向などとの比較アドバイスも可能となる。システム利用料は月額3万円から。

    蛇足)
    確かに間接費は思った以上に大きく、それを効率的にコスト削減している組織はなかなか観られない。属人的に判断されるため、担当がかわるとモノが変わるというのは笑えない事実


  10. B2M
    Online cross border commerce platform「B2M
     

    中小企業におけるグローバルペイメントやeコマースをグローバル展開を支援するサービス。大きな問題として7%ほどかかる為替変動対応のコストがある。AIを使ったセミオートのリアルタイムで外国為替変動ヘッジを処理し10分の1のコストで実現する。手数料は少なく無く、トランザクジョンで4.5-7%の利益を出している。

  11. 株式会社アダコテック
    少量のデータでも異常をほぼ100%検出「検査・検品AI
     

    モノ作りの検査・検品を自動化する産総研のプロジェクト。工場で傷をみつける作業は単調かつ能力が必要で、人材が不足している状態。このサービスでは基盤部品を対象に、100%の制度で異常を検知する。大量のデータが必要といわれる中で、正常データ100枚の学習、10万円のPCで導入可能。産総研の技術を応用。自動車Tier1企業などに導入。さらに深化したシステムを国内外の自動車産業に導入していく考え。

    蛇足)
    研究機関には技術イノベーションの卵が多数存在している。ただ、その情報を吸い上げるメディアはほぼなく、事業化についても一部だけ、知的所有権移管機構が機能しているところに限定されている。茨城県つくば市の取り組み、筑波大・研究機関の取り組みが功を奏している動きといえそう。個人的には今、最も注目しているスタートアップ系の動きの一つ


  12. PowerArena
    Computer vision platform for manufacturing and smart city applications「PowerArena
     

    台湾ベースの検査系事業スタートアップ。人による検査を行う製造ラインはコストが高く、ラインのどこに問題があるかチェックがてきいない。そこでビデオカメラの映像をAIモーション分析して、ラインのステータスをリアルタイムで確認できるようにするサービスを開発。ボトルネットを発見し、問題にラベルを付与することで、原因分析を行えるようする。結果として生産性を向上することができる。

    蛇足)
    日本でも定点ビデオ映像を活用してラインの状況をAI分析する企業がいくつかある。製造単価を詳細まで算出したり、作業の課題を分析したり、検品をしたりとさまざま。課題は、事業者がラインについて理解がないと導入できないという点ではあるが、それを乗り越えれば逆にあらゆる応用ができるようになる

  13. AGRIST株式会社
    農業の人手不足を解決するAIと収穫ロボット「L
     

    人手不足が深刻化、効率化やコストダウンなどの問題が多い農業。農作物を収穫するロボットを独自開発、ハウス全体をAI分析で把握し効率化。導入費は150万円、手数料は売り上げの10%。最終的に手がけるトマトの市場は世界で55兆円。5年で売り上げ35億、上場と世界展開で時価総額1000億円の企業を目指す。

    蛇足)
    実は今、農業の方々が熱い。意欲と理念があり、実際、独自の収穫期や運搬機を開発し海外で展開しようとする人達が何人もいるのを知っている。資金も集まりつつあるとのことで、ITスタートアップ業では無いこの流れがスパイラルになることに期待したい

  14. 株式会社AquaFusion
    70年の常識を覆し世界の海を変える革新的な水中可視化装置「AquaMagic
     

    69歳で起業。海の中のどこに魚の群れがいるかを愛で観て分かるようにする装置。船に乗せ、探査波を多数発信する、これまでの常識を越えた仕組みを開発。これにより5cmの魚単体を把握できるようになる。水平100倍、垂直10倍の精度向上となっている。特許は国内4件、アメリカ1件、ノルウェーなどでも申請中。市場規模は魚船とプレジャーボード合わせて4500億円。サービスはクラウド型で、初期20万円、月額は1万円から。養殖向けの展開、1万2000メートルの海底の精緻の画像を得られる商品も計画中

    蛇足)
    計画と技術、あとはマーケットと展開資金があれば一定の成果が得られる領域だろうか。

優勝は・・・

5位 株式会社AquaFusion
70年の常識を覆し世界の海を変える革新的な水中可視化装置「AquaMagic
 

4位 PowerArena
Computer vision platform for manufacturing and smart city applications「PowerArena
 

3位 AGRIST株式会社
農業の人手不足を解決するAIと収穫ロボット「L
 

2位 株式会社Luup
電動小型モビリティのシェアリングサービス「LUUP
 



優勝 株式会社アダコテック
少量のデータでも異常をほぼ100%検出「検査・検品AI


 
おめでとうございます!

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