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一度は事業仕分けの危機に立たされた理化学研究所 計算科学研究機構のスーパーコンピュータ「京」。世界のグラフ計算の能力指標GRAPH500での1位獲得に加え、アプリケーションの実処理性能を評価する性能指標(HPCG)でも1位を獲得するなど、実質的に世界トップの性能を誇っています(スーパーコンピューター「京」の現在と未来、ビッグデータ解析性能のGRAPH500でぶっちぎり1位奪還 【@maskin】)
今回、兵庫県神戸市の理化学研究所 計算科学研究機構で実際に京および京プロジェクトをスタート直後から10年にわたり担当している理化学研究所 計算科学研究機構(AICS)で運用技術部門 部門長 兼利用環境技術チーム チームヘッドの庄司文由氏に話を聞きました。
「京の実用化により、産業利用は確実に増えました。特に平成24年度から27年度の成長はおよそ1.4倍。これまで160社が利用しており、産業全体の国際競争力向上に大きく寄与しました。
材料やエネルギー・ものづくり・防災減災・ライフサイエンス・宇宙など「京」によって初めて実現した成果があります。さらに現在、今の「京」より最大で100倍のアプリ性能を持つ「ポスト京」の開発が進むものの、さらに「利用者を増やす」という課題はがあります」(理化学研究所 計算科学研究機構(AICS)で運用技術部門 部門長 兼利用環境技術チーム チームヘッドの庄司文由氏)。
問題は、研究者がプログラミングができるとは限らないということにつきます。これだけの規模と性能を持つコンピュータがあれど、スマートフォンのように使いこなすことができないという問題です。
金額も到底手が出ないだろうと思われていますが、実際は以下のような価格体系になっており、計算時間だけで考えれば「使ってみたい」と感じられることもあるかもしれません。
1ノードを1時間使用・・・14.53円
「京」全体を1時間使用・・・約120万円
「京」全体をまる1日使用・・・2800万円
さらに、研究に「京」を使って、その結果を論文などで発表する場合は無料になります(事前の課題審査で採択された場合)。また、SaaS型の利用も可能で、「京」のパワーを使ったアプリやウェブサービスを展開することもできるとのことです。つまり、上記の料金に上乗せして何らかのサービスを展開することができるというわけです。
「京」の力はプロセッサ・メモリ・通信それぞれの性能とバランスによって発揮されています。ただ、スーパーコンピューターは1年で1.8倍性能が向上するため、あと数年もすれば「京」は時代遅れになる可能性があります。世界最高の計算性能を活用するならいま、というわけです。
【関連URL】
・「京」が性能指標(HPCG)で世界第1位を獲得-産業利用など実際のアプリケーションにおける高い性能を証明-
http://www.riken.jp/pr/topics/2016/20161116_1/
・世界最高水準のスーパーコンピュータ「京」を運用する理化学研究所 計算科学研究機構のウェブサイト
http://www.aics.riken.jp/jp/
・京コンピュータ K computer (RIKEN AICS)
https://www.facebook.com/RIKEN.Kcomputer
・スーパーコンピューター「京」の現在と未来、ビッグデータ解析性能のGRAPH500でぶっちぎり1位奪還 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/riken-aics-kcomputer-now-and-future.html
・Infinity Ventures Summit
http://ivs.strikingly.com