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IVS2021 Spring LAUNCHPADまとめ #IVS2021 @ivs

IVS2021Spring LaunchPad

日本を代表するスタートアッププレゼンテーションイベントとして知られる「LaunchPad」が、カンファレンス&ネットワーキングイベント「IVS(Infinity Ventures Summit) 2021 Spring」内のプログラムとして形で本日(2021年3月19日)開催された。

このピッチイベントは投資家や経営者らによる審査(書類審査・プレゼンテーション・Q&A・メンタリング)を経て選ばれた15社が最終審査に挑むもので、最終プレゼンテーションでは「新規性/ユニークさ」・「市場性/将来のスケーラビリティ」・「プレゼン力/構成力」といった観点で評価採点する仕組み。

これまでにLaunchPad出場企業は22社が上場を果たしている。どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?登壇企業計15社による6分間のプレゼンテーションのサマリーとレビューをお伝えする。

IVS2021 Spring「LaunchPad」審査員

審査員は、Wantedly 仲暁子氏・千葉道場 千葉功太郎 氏・Gunosy 木村新司 氏・大和証券 丸尾浩一 氏・フリークアウト 本田謙 氏・クラウドワークス 吉田浩一郎 氏・PayPayキャピタル 堀新一郎 氏・グロービス・キャピタル・パートナーズ 高宮慎一 氏・STRIVE 根岸奈津実 氏・イーストベンチャーズ 金子剛士 氏・AppWorks Ventures ジョセフ・チャン 氏・Cherubic Ventures Tina Chen氏。

スポンサーである「AWS」・「NTT DOCOMOベンチャーズ」・「Wantedly」・「富士通アクセラレーター」・「freee」・「野村不動産」・「エンジャパン/AMBI」・「大和証券」・「Telecy」から各種副賞が授与されます。

「LAUNCHPAD」 15社のレビュー&コメント

  1. WASD株式会社 盛島昇太
    接客現場のデジタルトランスフォーメーションSaaSサービス「デジちゃいむ」
     

    。適切な応対ができない店舗など接客の現場の問題を、スマートフォンを経由して解決する。店内に掲示されたQRコードをスキャンし、オンラインで接客対応をするというもの。売り上げは平均1.8倍上がる。1店舗あたり月額5000円から。ARPUは5万円超。現時点ではアミューズメントや家電量販店や飲食店で利用。デイリーの利用率は93.7%を誇る。将来的にトランシーバーサービスに変わる情報共有サービスにも発展したい考え。

    蛇足)
    大店舗向けのサービスとして初速をだしているが、全ての実店舗が抱えている課題を解決できる可能性がありそう。

  2. 株式会社coco 高橋俊介
    接客業務のデジタル化を支援 「coco」
     

    紙に依存し、多くの手間を抱えるカーディーラーのような高単価の接客業向けサービス。QRコードを掲示し、顧客にスキャンしてもらいアンケートに答えてもらうスタイル。SMSなどのコミュニケーションなど接客の効率化を果たすサービスへの進化中。3000店舗がすでに利用済み。店舗あたり月2万5000円。

    蛇足)
    対面だからこそできるコミュニケーションとスマホやPCなどを介した方がいいコミュニケーションがあり、それを美味く使い分けられるようになれば店舗と客相互にメリットが生まれる可能性がある。今後に期待。

  3. 株式会社hacomono 蓮田健一
    月謝制店舗の入会・予約・決済をオンライン化する「hacomono」
     

    スクールやジムなど月額会員性店舗の入会手続きをオンライン化する。入会後は予約や変更・キャンセルなどもオンラインで対応可能。入店もスマートフォン経由でのチェックインが可能、EC展開もできる。店舗側のダッシュボードも機能が充実しており、BIツールによる分析集計が行える。すでに500店舗が利用中で、フィットネス業界では売り上げトップ50社のうち12社で導入済み。MRRは1000万円以上。公共運動施設や高齢者市場への展開も視野に入れている。

    蛇足)
    リアル店舗の効率化という課題を解決しつつ、店舗の新たな可能性を見出す可能性を感じる。

  4. TXP Medical株式会社 園生智弘
    急性期医療現場の業務フローをデジタル化する!病院システム「NEXT Stage ER」
     

    病院に入ってくる患者の3分の1は救急窓口から。現役救急医が立ち上げた会社。過労死ラインといわれる月960時間を大きく越える医師の労働時間の50%を書類作成に費やしている現実がある。情報共有の基本は紙のメモ。それに対しスマートフォンを使い、音声とカメラ画像によるOCRといった多様な入力技術で現場における情報の集約を支援する。全国に病院は8400か所。うち救急医療に力を入れる950院が、救急車の80%を使用している。すでに全国36大病院に使われている。初期費用は250万円、月額15万円。毎年2倍以上のペースで利用が拡大している。蓄積されたデータは病院の業務や医薬会社で活用できることを視野に入れている。

    蛇足)
    非常に重い仕事の現場は想像以上にアナログ依存で非効率のままである。医師自ら立ち上がらないと改善できない現実に悲しさを感じるが、この流れは決して後に戻ることはないと信じたい。

  5. タクトピクセル株式会社 玉城哲平
    オンライン校正検版ツール「プルーフロッグ」
     

    資料など紙面の校正をオンラインで効率化するウェブサービス。校正は特別な手法や経験が必要になるが、このサービスでは修正前と後の文書データを読み込ませることで自動で校正か所をハイライトしてくれる。クリエイティブレビューツール市場270億円市場を皮切りに、一般ビジネス文書の市場にまで拡大したい。サブスクリプションもでるで個人から企業までさまざまな価格体系が用意されている。

    蛇足)
    オンラインではGoogle Docsなどで校正を共有するサービスもあるが、紙面レイアウトやイラストなどのデータ修正は依然効率化されていない。顧客がどこまで校正プロセスの改善に価値を覚えるかが焦点となりそうだが、汎用性が高く一気にニーズが拡大する可能性もある。

  6. 株式会社IB 井藤健太
    保険の請求もれを無くすのInsurTechプラットフォーム「保険簿」
     

    生命保険のみならずクレジットカードに付随している保険など、本当に全ての保険を利活用できているか?実際多数の保険の請求もれが発生しており、このサービスでは保険の情報を一元化し改善していくというもの。一般消費者向けの「保険簿」では保険証書をスマホカメラでスキャンすることでデータを取り込みチェックポイントなどを指摘してくれる。代理店向けアプリでは、加入者の情報やコミュニケーションを行える。代理店だけでも300億円以上のマーケット。

    蛇足)
    インシュアテックは多くの会社が取り組んでいるが、このように日本における顧客が抱える大きな課題と代理店の関係性に注目したサービスは珍しいように感じた。

  7. ガレージバンク株式会社 山本義仁
    持ちモノを、今すぐおカネに変える「CASHARi / カシャリ」
     

    フリマなどで持ち物を売って現金を作ることができるが、このサービスなら持っているモノを手放さずにお金をセブン銀行ATMから受け取ることができる。その後、ユーザーはアイテムを借りることで使用し続けることが可能。最終的には取り戻したり、売却するかを選ぶことができる。現時点の利用者は20〜30代が90%以上。デジタルガジェットの売却が多い傾向。3枚の写真で査定可能。一人当たりの動産資産は27万3000円と試算した上で、市場を拡大中。フィリピン・マレーシア・インドネシアへの進出も計画中。

    蛇足)
    BANK社のCash以降注目されたお金の自由化に挑戦したプロジェクト。金融と査定のプロにより生まれたこのサービスは、どれほどの価値を創出するか注目される。

  8. AIPLUX Technology Co., Ltd. Vincent Chen
    知的財産を守るグローバルプラットフォーム「AIPLUX」
     

    商標の海外登録が遅く、知的財産を守れていない問題を解決を支援する。各地における商標の各種申請項目におけるリスク状況を事前に把握したり、商標をAIで分析することで申請産業選びから言葉の選び方など商標登録作業そのものを支援する。代行会社より44万円コストが抑えられる。通過率は70%以上。日本ではCotoboxが同種の市場の競合となるが、グローバル展開支店では競合はいないとのこと。

    蛇足)
    今の日本はグローバリゼーションが進んでいるのかいないのか掴みにくい状態ではあるが、コロナ禍以降の世界ではこうした知的財産権のリスクを着実に回避する必要が高まるだろう。

  9. 株式会社efit 宮原勝利
    たった5分であなたをプロの投資家にする「QUOREA」
     

    投資に対する大きな障壁がある。自信が無い、知識が無い、負けるのが不安、そのような利用で38%の人が口座を開設しても利用していないという。このサービスは複数の金融機関を横断して、ロボット経由で投資が行えるというもの。ロボットは誰でもノーコードでプログラムを作成できるし、他人が作った高運用率なロボットを選択することも可能。すべてのロボットは成績が開示されており、ロボットによって取引された内容はすべて確認することが可能。初期費用は0円、ロボットによる助言料は0.05%。

    蛇足)
    ロボット投資はさまざまあるがやはり敷居が高かった。宮原氏は「投資のYouTube」といった表現をしているが、投資ロボットを誰もが投稿でき、その成果をみながら誰でもロボットを選んで投資ができるということで「投資の民主化」が本当に実現できるのか?注目したい

  10. Mira Robotics株式会社 松井健
    日本の人手不足を解消する、アバターロボット「ugo(ユーゴー)」
     

    サービス業の人手不足が深刻だ。今後20年で1428万人が減少するといわれる。その不足分をロボットが分業できるようにするというビジョン。市場規模3000億円と言われるビルメンテナス市場が特にが深刻で、その課題解決として警備ロボットを展開している。防災センターにいる警備スタッフがリモートで複数のロボットを操作し立哨や巡回を行うことが可能。これにより人の配置は50%で済むようになる。

    蛇足)
    東京都内のいくつかのビルで、実際に自動循環ロボットを目にしたことがある。実際にトラブル発生時になにができるのか?という疑問を感じるものの、立哨・巡回という意味では十分だし抑止力があると感じた。

  11. Turing Drive Inc. Stephen Liu
    未来の交通を自動運転で変える「Turing Drive」
     

    低速で移動する自動運転車の市場は2025に65億ドルに拡大すると予測されている。安全で用途が見えやすいため、早期に事業としての安定的浸透が見込まれる。台湾では4か月にわたり低速自動運転バスの実験が行われ3000人がこれを利用。車両以外の自動運転に必要なハードウェアからソフトウェアを一つのパッケージにすることで、既存の低速車両をスムーズに自動運転に適用出来るようにする。すでに台湾では4種類の10車両を10拠点で展開中。1キロメートル辺り1万ドルで使用できる都度利用モデルの他、月額600−800ドルで利用できるラインナップもある。

    蛇足)
    目の付け所が素晴らしい。確かに日本でも低速の自動運転バスのニーズが中山間地域などで注目されている。メーカーがこうしたプラットフォームに対応した車両を作れば一気に普及する可能性がでてくる期待がある。

  12. 207株式会社 高柳慎也
    物流ラストワンマイルの非効率を解消する!「TODOCUサポーター/スキマ便」
     

    物流の最終配達先までの1マイル(1.6キロ)にフォーカスしたサービス。この領域の労働者の7割が個人事業主で、配達完了後に成果となる仕組みが問題の原因となっている。配達担当者向けのアプリを提供し、伝票をカメラでスキャンするだけで、自動で読み取られ、届け先が外出かどうかを把握できるようになるほか受取人とのコミュニケーションも支援する。配送員同士で情報は共有される。利用了は月額1600円から。すでに6000人の配達員に利用されている。日本国内20万人の配送員全てに利用されることを目論み、海外展開も視野に入れている。

    蛇足)
    請負ビジネスのスキマを見事に埋めたサービス。駅などの空きスペースを活用し、既存の宅配事業者が用意する流通ハブを越える数のラストワンマイル拠点を用意するという。

  13. 株式会社ジグザグ 鈴木賢
    最短1日で国内ECを海外対応可能にする「WorldShopping BIZ」
     

    リアルのインバウンドは減少しても、オンラインのインバウンドは増加している。その問題は、言語などの壁にあり、このサービスではJavaScriptのコードをECサイトに貼り付けるだけで127か国以上でモノが海外に売れていくという。導入すると、海外からのインバウンドEC利用者向けのポップアップ機能が提供され、輸出に対するさまざまな情報や機能が提供される。購入後の貿易オペレーションはWorldShoppinng BIZ」が行う。初期費用3万円、月額5000円で利用できる。手数料は購入金額の10%。現時点で延べ1000の独自ECストアで利用されている。

    蛇足)
    独自でECを提供しているのであれば一度は利用してもいいサービスかもしれない。日本だけでしか売れないと思っていたモノも、実際海外に知ってもらえると大きく売れるケースが多い。

  14. 株式会社スピークバディ 立石剛史
    日本人のためのストレスフリーなAI英会話「スピークバディ」
     

    日本には膨大な教材がありながら多くの日本人が苦手と感じている。機械翻訳でいいのでは?と思う人が増えている一方、着実に英語習得のニーズは増えている。このアプリは、音声認識で英語が学べ、フリートークも可能、AIコーチが習得レベルなどをフィードバックしてくれる。利用は月額1950円。有料ユーザーは2.5万人を突破。将来的に中国を皮切りにアジアなど世界のマーケットでNo1を狙う。

    蛇足)
    TechWave主催の「アプリ博」に出展していたスピークバディ。当時から比較すると圧倒的な品質を保っている。これはより多くの人に知ってもらいたいと思う。

  15. 株式会社ラングレス 山入端佳那
    自律神経解析から愛犬のこころを読み解くデバイス「イヌパシー」
     

    心拍を解析することでペットのコンディションを読み取る重さ50gの首輪型デバイス。ペットの感情はLEDライトで表現され、連携するスマートフォンアプリでは寄り細かなコンディションを把握できる。価格は2万9800円。現時点で1500のユーザーがおり、家族としてのペットとの関わりが深まっているとのこと。このデバイスから得られたバイタルデータを研究機関の研究に提供することを考えている。

    蛇足)
    「嫌なのかな?」と思っていたことも喜んでいることがわかるなどペットとの意思が通じるという事例があるということをみて刺激を受けた。

結果発表

5位(タイ) TXP Medical株式会社 園生智弘
急性期医療現場の業務フローをデジタル化する!病院システム「NEXT Stage ER」
 

5位(タイ) 株式会社ラングレス 山入端佳那
自律神経解析から愛犬のこころを読み解くデバイス「イヌパシー」
 

4位 Turing Drive Inc. Stephen Liu
未来の交通を自動運転で変える「Turing Drive」

3位 株式会社ジグザグ 鈴木賢
最短1日で国内ECを海外対応可能にする「WorldShopping BIZ」

2位 株式会社efit 宮原勝利
たった5分であなたをプロの投資家にする「QUOREA」





優勝 207株式会社 高柳慎也
物流ラストワンマイルの非効率を解消する!「TODOCUサポーター/スキマ便」
 

おめでとうございます!

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・[記事] IVS LAUNCHPAD

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