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(結果速報)LAUNCHPAD SaaS まとめ #LAUNCHPAD2020 @ivs

日本を代表するスタートアッププレゼンテーションイベントとして知られる「LaunchPad」が、カンファレンス&ネットワーキングイベント「IVS(Infinity Ventures Summit)」からスピンアウトとする形で本日(2020年12月18日)初めて開催される。

今後、年2回に開催されるIVSイベント中に加え、年2回単独の「LAUNCHPAD」が開催される。今回は「LAUNCHPAD SaaS」としてSaaSに特化した内容。

このピッチイベントは投資家や経営者らによる審査(書類審査・プレゼンテーション・Q&A・メンタリング)を経て選ばれた14社が最終審査に挑むもので、最終プレゼンテーションでは「新規性/ユニークさ」・「市場性/将来のスケーラビリティ」・「プレゼン力/構成力」といった観点で評価採点する仕組み。

今回は過去最高の応募者とのこと。どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?登壇企業計14社による6分間のプレゼンテーションのサマリーとレビューをお伝えする。

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IVS2020 ONLINE「LaunchPad」審査員

審査員はANRI 佐俣 氏、大和証券 丸尾浩一 氏、freee 武地健太 氏、ALL STARS SAAS 前田ヒロ 氏、弁護士ドットコム 元榮太一郎氏、、DRONFUND 千葉功太郎 氏、グノシー 木村新司 氏、フリークアウト 本田謙 氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ 高宮慎一氏、SmartHR
宮田昇始 氏、PayPayキャピタル 堀新一郎 氏、Wantedly 仲暁子氏、

スポンサーである「サイバーエージェントグループ・サイバーエース」・「株主総会クラウド Kepple」・「大和証券」・「SIBAZIBA」・「AWS」・「REGAINグループ/animalogy」から各種副賞が授与されます。

「LAUNCHPAD SaaS」 14社のレビュー&コメント

  1. テレワーク・テクノロジーズ株式会社 荒木賢二郎
    テレワークのためのワークスペースシェアリング「テレスペ」
     

    飲食店が簡単に潰れないようにしたい。テレワークで使える空きスペースを7秒で検索できるサービス。LINEトークから機能を使用。空席だけを検索可能で、予約などの必要はなし。店舗についたらチェックインをして、使用後チェックアウトしてオンライン精算をする。店舗側は空いているスペースを提供するだけで、初期コストがかからず、提供可能とする時間も自由に指定できる。手数料は30−50%。現在β版で1400人が利用。2021年1月中旬に正式版公開予定。

    蛇足)
    COVID-19の収束後のテレワークがどういった形になるか、まだまだ見えない部分があるが、多様なワークスタイルが定着しつつある中で、施設スペースの効率利用にどこまで食い込めるか期待。

  2. 株式会社NIMARU TECHNOLOGY Sae Hyung Jung
    自由に動いて、自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice」
     

    現在浸透しつつあるテレワークの中で、コミュニケーション不足に悩まされている企業が多いとし、それを仮想的な空間を使って解消するというもの。現実的なオフィスのメタファーを活用し、人との距離や個室などをボイスチャットに応用している。いわばディテールにこだわったRemoといってもいいだろう。2500円でイベント開催可能。アクティブユーザーは5000人

    蛇足)
    インターネットが一般に普及し始めた1990年代、メタファーにこだわったデザインのウェブサイトが大量に誕生した。ただ、それがオンラインでやるべきか疑問に思うことも多かった。ただ、oViceの場合、ゲームのようなこだわりがあり、そこに滞在することの楽しさがあるようにも思える


  3. 株式会社SOUSEI Technology 乃村一政
    大切な家の管理をスマホ1つで「マイホームアプリknot」
     

    家探しの情報のオンライン化が進む中、現場に近づくほど情報共有やプロセスが旧態依然としている。工務店で注文住宅を手がけてきた中で、施主に対する作業の負担や情報の行き違いといった問題が多数あることに気付きサービスを開発したとのこと。利用料金は月額1万8000円から。現在全国800社が利用。

    蛇足)
    スマートフォンやインターネットが浸透し、コロナ禍で使用頻度が高まるにつれ、現場における知見の活用がフォーカスされている。こうした発想は現場に立つ人にしかわからないことで、導入効果は高いのではないだろうか。この領域の波は今後大きくなるように思う。

  4. 株式会社アスキャスト 高田雄大
    インテリアコーディネートを効率化する日本初のコーディネート用SaaS「Amour」
     

    インテリアコーディネート業務を支援するツール。オフィスや飲食、商業施設、ホテルなど30万から1億円という幅広い規模で受注する仕事でコミュニケーションコストが高いわりに、紙のカタログや注文書など手間も多い。このサービスを使えば、それらの手間のほとんどがスマート化される。時間は3分の1まで圧縮される。カタログ情報や見積もり、提案情報の作成、図面の作成もオンラインで完結する。Amourは販売売り上げの粗利20%、一人当たり3000−1万5000円の利用料金。

    蛇足)
    業界特化型のアプリケーション。卸売りの市場を取りに行くことでプラットフォームとしての強みを最大化しようとしている。チャレンジングだが、突破できたら横展開も可能になるのだろうか。

  5. conect.plus株式会社 坂井洋平
    IoTアプリケーションSaaS「conect+」
     

    IoTで取得したデータ集めつなげて整理をするといった一連の流れをクラウドで一括管理する。可視化したり、条件によって動きを変えたり、またそのアウトプットを共有出来る状態にすることができるほか外部のサービスと連携できるなど活用可能性を拡大する。「CO2換気」「施設管理」などのパッケージもある。月額5980円から。

    蛇足)
    センサーやスイッチ類が増え、またその使用可能性が幅広いことからこういった簡易ダッシュボードが意外と出てきてなかった。HPなども同種のSaaSを展開しているが、この場合、機能パッケージとしてわかりやすく提供して、利用者がカスタマイズできるようにすることで一般向けにも訴求している点で注目。

  6. 株式会社トルビズオン 増本衛
    空に道をつくる 上空シェアリングサービス「sora:share」
     

    2022年に市街地でのドローン飛行が可能になるが、航空管制を含めまだまだ整理できてない領域がある。このサービスは、空路直下の安全性にフォーカスし、土地の所有者に使用料報酬を支払い保険加入などを推進する。空の価値をドメイン名の様に登録するアイディアを展開。SaaSツール上でドローン飛行の始点と終点を選ぶと料金が計算される。

    蛇足)
    ドローン免許制で解禁に近い動きになると一気に市場が形成される可能性がある。プラットフォームフリーとのことなので、ドローン航空管制を含めどこまで連携し安全性実用性を担保するか興味深い。

  7. 株式会社オンリーストーリー 平野哲也
    決裁者のマッチング支援SaaS「ONLY STORY
     

    一番大きな経営課題は「営業」であり、決裁者に会えないことが最重要課題となる。企業ではなく決裁者に近づけるサービス。無料会員は決裁者本人の定量データと記事を見られる。有料会員は決裁者にメッセージが送付できる。マッチング成立率は20倍以上。月額20万円。

    蛇足)
    決裁者にフォーカスしたメディア&マッティングビジネスと考えるとシンプル。

  8. Qasee株式会社 村田敦
    仕事がみえる みえると変わる 組織課題見える化ツール「Qasee
     

    日報などに依存する会社は多いが、主観的で分先に至らない事も多い。業務状況を自動で抽出し可視化することで、課題などを明確にするというもの。キーボードの操作などの動きを記録し、タスクに紐付けていく。1ID、月額3万円。50人で20万円などボリュームディスカウントがある。

    蛇足)
    欧米などでこうした行動把握ツールは増えている印象。ただ、手を動かしていれば仕事をしていることになるとはいえないケースも多いのと、内容がどこまで把握できるのか?という疑問が生まれた

  9. Junify Corporation 安武弘晃
    軽い社内情報システムで新しい会社と人の関係を「Junify」
     

    他拠点・テレワークなど便利になりつつあるのはいいとして、人が増えるほど、SaaSが増えるといったよくある成長中のスタートアップにあるカオス状態やセキュリティ面の課題を解決。SaaSの認証を一つにまとめ、勤務時間にだけそれらのSaaSアプリを使えるようになる仕組み。認証などはスマートフォンがメインだが、PCと連携して同様に仕様することができる。新しいSaaSアプリの追加などもこのサービスの中で可能になる。管理者としてセキュリティレベルを担保したまま効率よく配布や制限を行うことが出来る。ジオフェンスを使った制限なども可能。現在7000アカウント提供。月額モデルを利用。

    蛇足)
    まさにSaaS時代に求められるサービス。保有しなくなる会社の在り方にフィットしたツールになるように感じる

  10. 株式会社SpiderLabs 大月聡子
    国内最大級のアドフラウド対策ツール「Spider AF」
     

    コロナ禍でオンライン広告が伸びている一方で不正広告の話題は尽きないのが現状。広告クリックを不正に増やす手法で、世界で2.3兆円の被害があった。東京とポルトガル・リスボンに支社を持つ。使用方法は特定のコードをサイトに貼るだけ、さまざまな不正を防ぐ機能。ディスプレイ広告のコストで6%減するなどの実例がある。月額9万円〜

    蛇足)
    いたちごっことなっている世界かもしれないが、アドフラウド不正を着実に抑え、コストで目に見える形で還元されている点で大きな一歩だと思う。

  11. 株式会社Tsunagu.AI 森隆晃
    “デザインを理解するAI”で、フロントエンド開発を自動化「FRONT-END.AI
     

    フロントエンドデザインでは、デザイナーと技術者との橋渡しが属人的な作業になっている。そこで、デザイナーが作ったデザインファイルを読み込み、エンジニアが作業できる状態に変換するツールを開発。レスポンシブデザインにも対応。

    蛇足)
    ウェブが普及してからずっと壁となっているデザイナーとエンジニアの壁。さまざまな取り組みがなされてきたが、有効なものは存在していない。どれくらいの精度で吐き出されるのかじっくり試したい。

  12. 株式会社STANDS 露木 諒
    プロダクト体験をノーコードで変革し、LTVを最大化する「Onboarding」
     

    サービス体験の不満が企業収益の20%減へと繋がっているという話がある。そこでサービス事業者とエンドユーザー双方の満足℃を高めLTV(ロングタイムバリュー)を最大化するサービスを開発。ノーコードで、操作ガイドを搭載することができるようになる。ユーザー数に応じた従量課金となる。月額10万円〜。プラットフォーム化することで、より幅広い領域で活用データを獲得する考え

    蛇足)
    世界中の類似サービスがあるが意外とちゃんと使えるものが少ない。オンボーディングで全てが解決できるわけではないだろうけど、活用ログを活用する未来像が描かれている点が興味深い

  13. 株式会社カミナシ 諸岡裕人
    現場の業務フローをデジタル化する!ノーコードツール「カミナシ
     

    業界業種によって紙に依存した職場がある。ミスが多発し、作業負担も多い。このツールは、作業項目のチェックやレポート作成といった紙のフローを、ノーコードでオンラインに変える。デイリーのアクティブ率が90%。アカウント数による課金で月額6万円から。

    蛇足)
    非常に単純でシンプルな業務フロー支援ツール。オンラインマニュアルに加え、こうしたツールをいれることで、多くのミスと作業負担が解消されるかもしれない。データ化による可能性も計りしれない

  14. セルン株式会社 豊川竜也
    デジタルオンデマンド・サプライチェーン・プラットフォーム「BOOKSTORES.jp」
     

    電子書籍が成長し続けるものの、出版市場は23年間で半減。雑誌は23%にまで減少という出版市場。オンデマンド出版を使って書店を開設し、書籍を販売出来るようにする。書店にも流通可能。1冊から1万冊まで世界中の製本工場とのネットワークを使って制作可能。基本料無料・従量課金。白黒380円から。送品は全国180円。

    蛇足)
    オンデマンド出版のキラーサービスとなりそうな内容。普及に期待したい

結果発表

5位 株式会社アスキャスト 高田雄大
インテリアコーディネートを効率化する日本初のコーディネート用SaaS「Amour」
 

4位 株式会社SpiderLabs 大月聡子
国内最大級のアドフラウド対策ツール「Spider AF」

3位 株式会社Tsunagu.AI 森隆晃
“デザインを理解するAI”で、フロントエンド開発を自動化「FRONT-END.AI

2位 Junify Corporation 安武弘晃
軽い社内情報システムで新しい会社と人の関係を「Junify」





優勝 株式会社カミナシ 諸岡裕人
現場の業務フローをデジタル化する!ノーコードツール「カミナシ
 

チームの皆さんおめでとうございます!

【関連URL】
・[記事] IVS LAUNCHPAD

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