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LIQUID社の生体認証、世界規模で決済・スマートロックに浸透する可能性

拡大する不正アクセス。いつの間にかパスワードが盗まれ、サービスにログインされてしまったり、 クレジットカードで買い物をされてしまうなどの被害が後を絶ちません。 ネット接続で世界が便利になる一方で、セキュリティ面での不安は拡大しています。

そんな中、金融機関やパスポートの認証、商業施設などと続々と利用・実証実験を展開している企業があります。その名も「LIQUID」。生体のみによる認証・決済を世界に浸透させる目的で、生体認証エンジンやそれに関するさまざまなプロダクトを提供する企業です。初めのプロダクトは決済ソリューションで、 利用者本人の指紋と決済情報を事前に登録しておけば、カード不要で決済や現金引き出し、ポイント蓄積ができるというものです。

決済・本人確認・スマートロック…

すでに長崎県のハウステンボス(2015年10月〜)を筆頭に多くの商業施設で利用されており、イオン銀行のATM(2016年4月〜)認証 でもLIQUIDの生体認証システムが導入されています。また、「LIQUID Regi」という店舗側の生体デバイス& 多用途決済デバイスも提供しています。

決済以外では経済産業省連携プロジェクト「Touch & Pay」とよばれる観光振興策の一環として、観光地区の決済を指紋で行えるようにしたり、外国人観光客の パスポートなどを登録することでチェックインなどの際の本人確認を指紋認証だけで済ませるなどの取り組みを行っています。

さらには「LIQUID KEY」とよばれるスマートロックを指紋認証でコントロールするプラットフォームも展開しています。LIQUIDは、生体認証技術を使った本人認証と決済手段を、商業施設やホテル、オフィス、住居、交通、官公庁・医療などさまざまな生活シーンに浸透させようとしているのです。

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3本~認証で誤認は限りなく0に

では、生体認証であれば、なりすましなどの不正利用を防げるのでしょうか。LIQUIDは「生体認証技術」と「情報セキュリティ」という大きく二つの方向から信頼性を向上しています。

まず「生体認証」については、従来の画像を保存する形ではなく指紋における さまざまな特徴をインデックス情報として蓄積(広範囲な特許を2015年8月に取得)し、機械学習により大規模な指紋データを効率よく高速に検索する技術「LIQUID Engine」を確立しました。

「LIQUID Engine」の指紋認証技術は圧倒的な速度を誇ります。従来型の逐次検索でユーザー100万人のデータから特定の人物の指紋を照らし合わせて認証するまでの時間は500秒から1000秒。それに対し「LIQUID Engine」は0.3秒で認証することができます。他人を受け入れてしまう確率は、従来型だと100万分の1なのに対し「LIQUID Engine」の場合、900億分の1です。

LIQUIDは、この高速かつ高精度の「LIQUID Engine」を、認証する指の本数を増やすことで(指1本毎にand条件で精度が上がる)誤認率を限りなくゼロにしようとしています。また現在、LIQUIDは指1本から3本でのデバイスを展開していますが、 来年には新たな設計の専用デバイスを提供する計画です。

情報セキュリティ面でも、指紋情報などで構成される生体データは取得時に暗号化し、コアサーバーに蓄積する仕組みで、その暗号化情報をキーに連携サービスとのユーザー認証を行います。また、偽造指を排除する機能を持つ特殊な生体認証端末を用いることで、ユーザーのなりすましを防いでいるとのことです。

【関連URL】
・株式会社Liquid
https://liquidinc.asia

蛇足:僕はこう思ったッス
現在、 LIQUIDは、多様な利用シーンでの実証実験および本導入を展開中。最大のものは、インドネシア最大の財閥であるSalim group(サリムグループ)の従業員50万人に対する実証実験で、これで有効性が実証されればインドネシア国民2億3000万人に向けた展開も視野にいれられるようになるだろう。認証システムさえ浸透できれば、誰もが指紋で本人確認ができ決済までできるようになる。ものすごいインパクトだ。気になるのは認証と決済の一体化だが、LIQUID社はあくまでプラットフォームを目指すものであり、認証およびマルチ決済の提供に留まる考え。
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