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エンジニア+エンジニア=起業?「株式会社まちクエスト」の示すOver35歳キャリア【@itmsc】


[読了時間: 3分]

漫才のコンビがボケとツッコミの2役で成り立つように、スタートアップの立ち上げはCEO(代表)とCTO(エンジニア)の2役からはじまることが多い。
そんな中で位置情報を使ったスマホ向けクイズゲームを展開する「株式会社まちクエスト」は石原淳也氏と小川智史氏の2人のエンジニアで成り立っているスタートアップである。
両氏ともに40代のエンジニアであり、家族を養う立場でもあるのだが、まちクエスト社が2013年の年末にEast Venturesの主催するエンジニア向けアクセラレータープログラムに採択され、来るべきデモ・デイに向けて準備をしていると聞き、インタビューをさせて頂いた。


– ここ最近「まちクエスト」を取り巻く状況が大きく変わっているようですね。

石原「以前からサービスを大きくするためにどうしたらいいか考えてはいたのですが、ツイキャスというウェブサービスを運営している赤松さんが知り合いで、今後について相談しにいくというか、資金を調達するということがどんなことか聞きに行きました。そこからツイキャス社が支援を受けているEast Venturesさんを紹介してもらって、ちょうどエンジニア向けのアクセラレータープログラムが開催されていたので、検討して頂いた、という流れでしたね」

– East Venturesのエンジニア向けプログラムの内容を教えて頂けますか?

石原「シリコンバレーのYcombinatorや500startupsのプログラムと似ています。一部の株式と交換する形で資金を提供してもらいます。あとはアドバイスをもらったり、オフィスを利用できたりするようなプログラムです。これまではプログラマーとして受託開発の仕事を引き受けながら、まちクエストをはじめとするウェブサービスやスマホアプリを運営していましたが、今は受託の仕事を止めて、デモ・デイに向けてサービスをブラッシュアップしている最中です」

– デモ・デイでは大きな資金調達を目指しているのでしょうか?

石原「正直大きな資金調達が今の自分たちに必要なのかどうかは明確な判断を下していない状態です。サービス自体は自分たち2人で作れるし、お金さえかければユーザーやクエストを増やせるわけでもないと思っています。『世界中のどこへ行ってもまちクエストで遊べる』というところまで大きくしたいとは思っていて、200万クエスト(ユーザーが作ったクイズの数)くらいを目指していますが、そのために資金が必要と思えば調達を進めるし、そうではない方法も考えています」

– 石原さんは東京、小川さんは沖縄と離れた場所で仕事をされているそうですが、どんな役割分担になっているんでしょう?

小川「今まちクエストを支えるような第2のサービスを自分が作っていて、まちクエスト本体を石原さんが作っているという分担にしています。それぞれが別のプログラムを書いていて、作り方で迷っている点についてお互いに相談しあうような感じです」

石原「別々の場所で働いていますが、1人だけではこのサービスは完成できなかったと思います。相方に『いついつまでに、これをやる!』と宣言して退路を断つこと、同じサービスに対して内容を理解しつつ自分とは違う視点で意見を言ってくれる人がいるということに2人でやるメリットを感じますね」

– 2人はいわゆる「プログラマー35歳定年説」でいうと定年を迎えたシニアエンジニアであるわけですが、年齢とプログラミング、ウェブサービスでの起業、ということについてどう感じていますか?

小川「年齢によってプログラムを書くことへの問題が出てくるとは思っていませんね、年齢より個人個人のセンスの問題だと思います。家族がいて若い人より多めに収入が必要となる状況もありますが、それまでの経験や人のつながりがありますから、なんらかのお金を稼ぐ手段は考えやすいんじゃないかと。

あとはエンジニアが起業というか、サービスを立ち上げる際に必ずしもそれまでの仕事をやめる必要はないかな、と。2つ目の仕事というか、平行して作ってみればよいですよね。やる気というか、ノリの問題というか1ヶ月くらい寝る間を惜しんで制作をすれば最初のサービスは立ち上げられる。シニアなエンジニアの方が仕事の自由度というか、時間の確保の仕方も上手かもしれませんよね」

石原「確かに技術的に高いレベルのプログラミングでは活躍するのに若さが必要かと思います。でも多くのケースでは若さ以上に『積み重ね』が大事なんじゃないかと感じますね。経験があると『こういう状況になってうまくいかないんじゃないかな?』というマイナスの予想もつきますけど、逆に『こうやればうまくいく!』というヒントも知っているわけで。

ステレオタイプというか『起業は20代の若者がするもの』というイメージはありますが、じゃあ40代はおとなしくしてなきゃいけないのか、というとそれは面白くないな、と。その例外に自分たちがなれたら面白いですね」

蛇足:僕はこう思いましたー。


自分もOver35歳のエンジニアであるわけだが、個人的には年齢よりも『子どもを育てる』という状況になって、働き方を変える必要性を感じたと思う。好きなときに好きなだけ働くという無尽蔵さはなくなり、やるべきことの優先順位を考えたり、手が回らないことを取りこぼしてチームに助けられることも増えた。そういうことを逆に機会と捉えて起業した石原氏と小川氏には是非楽しみながらサービスを大きくしていって欲しいと思う。「子どもと一緒に楽しめるサービスは、家族を持っているからこそ作れるサービスなんです」というコメントが印象的だった。
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