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「管理者だけではなく営業現場にも役に立つSFA」マツリカ 代表取締役 黒佐英司氏インタビュー【@masaki_hamasaki】

SPEEDAの営業開発チームを立ち上げる

 株式会社マツリカの代表取締役社長、黒佐英司氏のインタビューを行った。黒佐氏は、積水ハウス株式会社に勤務後の2011年、企業・業界分析のためのオンライン情報プラットフォーム『SPEEDA』や、経済情報に特化したニュースサービス『NewsPicks』を提供する株式会社ユーザベースに入社。

 当時の社員は20人ほどで営業開発チームを立ち上げ、営業部門、マーケティング部門及び顧客サポート部門の統括責任者を歴任。SPEEDA販売促進・保守、営業・マーケティング戦略の立案及び執行を担当後、2015年に株式会社マツリカを設立。

 株式会社マツリカは4名で共同設立されており、代表取締役は黒佐氏と飯作供史氏の2名。取締役は金井大氏と佐藤利博氏が務めている。

株式会社マツリカのビジョン

共同経営者との出会い

 もう一人の代表取締役、飯作供史氏は、アビームコンサルティング株式会社に勤務後、株式会社ユーザベースへ技術統括執行役員として参画。プロダクト運営、製品開発、新事業立ち上げ、採用等のプレーヤーおよびマネージメントに従事した後、2015年に株式会社マツリカを共同設立。

 金井大氏は、大成建設株式会社に入社後、デロイト・トーマツ・コンサルティング株式会社(現:アビームコンサルティング株式会社)に勤務。株式会社ダヴィンチ・アドバイザーズ、アイアクシス株式会社を設立後に、2013年よりSPEEDAの開発運営に参画し、2015年に株式会社マツリカを共同設立。

 佐藤利博氏は、近畿日本ツーリスト株式会社に勤務後、株式会社リンクアンドモチベーションに転職。組織人事領域のマネジャー職を歴任し、人材育成や組織変革に従事した後、2015年に株式会社マツリカを共同設立。

 黒佐氏と佐藤氏は幼馴染で、高校時代から一緒に事業をやりたいと話しており、一方で飯作氏と金井氏は一緒に事業をやろうとしていたとのこと。黒佐氏と飯作氏は同僚で、一緒にプロジェクトをするようになり、話す機会が増えていった。二組で会う機会も増え、議論していく中で解決したいと思う課題で出てきたのが、現在提供するサービス『Senses』

 『Senses』は、営業管理だけではなく営業プロセスを支援するSFA(Sales Force Automationの略で、営業支援システムのこと)。従来の営業支援ツールは「管理」の効率化が目的だったが、『Senses』は管理だけではなく組織ナレッジの活用にも着目しているとのこと。

 特徴として挙げられるのが、人工知能を活用した営業プロセスの支援だ。『Senses』は、全ての営業組織に対して、『いつ』『誰に』『何を』『どのように』アクションを行うか、気づきを提供する。

 具体的には、営業案件ごとのアクションを記録し、Senses内の企業データベース(企業基本情報、ニュース、財務情報などの企業関連情報)と連携して、過去に対応した類似案件から次のアクションを提案する。

Sensesの開発経緯

 『Senses』は2015年10月頃からクローズドベータ版(試作版を限られた方にのみ提供)を出し、検証を重ねた上で2016年2月には限定的な有料販売を開始した。

 検証をしていく中での気付きは、営業の方から行動予定を入力がされないことだった。UIなどの課題もあったが、そもそも予定を入力することに慣れていない人が多く、改善を重ねていく中で段々と入力は増えていった。

 サービス誕生のきっかけは、黒佐氏自身がずっと営業を経験してきたことから起因している。従来のSFAは管理する側に向いており、営業側に向いていないと感じていた。従来のSFAだと運用のための事前設計にも時間がかかり、初期導入のコストもかかるし、営業の方も入力負担が大きかった。

 しかし、『Senses』では自動的に情報が溜まっていくので、入力作業の負担も軽減される。情報は管理側にも使えるし、営業側の人にも使えるものがある。グループウェアと連携しており、スケジュールが『Senses』のカレンダーに自動的に入るようになっている。どのお客さんに何回メールを送ったのか、どんなメールを送っているかなどのデータも保持し、提供が可能とのこと。

 先日東京証券取引所マザーズ市場に上場した株式会社PR TIMESや、ベンチャーに特化したオフィス移転サービスを提供する株式会社ヒトカラメディアなども利用しており、中堅・中小企業を中心に導入をしていっているとのこと。黒佐氏自身がスタートアップにいたこともあり、スタートアップにフィットするSFAを提供したいという思いもあるようだ。

 また世界展開も視野に入れており、米国シリコンバレーと東京に拠点を置くDraper Nexus Venturesや、アーリーステージのB2B(B2B2C含む)スタートアップ特化型ファンドを運営するアーキタイプベンチャーズ株式会社からも出資を受け、更に拡大をしていくようだ。

マツリカのミッション

 株式会社マツリカは、『世界は祭り化する』というミッションを掲げている。

 どんな状態かというと、人々が物事に夢中になってゾーンに入っている状態のことを指す。例えば、学校の文化祭だったり、勢いのあるスタートアップなどは正にゾーンに入っているのではないか。そんな瞬間をテクノロジーによってつくっていきたいとのこと。

 営業は、苦しく、しんどいというイメージがある。そんな営業の方々も「祭り化させたい、気づきをあげたい」と思いを持っており、営業の方が楽しいと思える瞬間、営業が提案などを考える時間を作り出したいとのこと。サービス名である『Senses』も、気づきを与えたいという思いから名付けた。

 世界全体を『祭り化』させるためにも「自分たち自身が『祭り化』していることが理想だ」と語っている。「組織として自由だが規律が取れていて、夢中になって人生を楽しめている集団をつくっていきたい」とのことだ。

蛇足:僕はこう思いました

終始、インタビューの中でもご自身の原体験が元となってサービスを作っていることが伝わってきた。ミッションがあって、サービスを作っている。組織もミッションに紐付いている。その一貫性を感じた。黒佐氏ご自身は、愛媛県の出身で地方創生にも関心があるよう。現在は『Senses』に注力しているが、ゆくゆくは旅行関係のプラットフォームも検討しているとのことだ。スタートアップの中で大きく成長に貢献し、あらたなスタートアップを立ち上げる流れは、今後も加速するのかもしれない。

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