サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

「次の50億人市場」を攻める起業家から日本のエンジニアへのメッセージ @maskin

「カンボジアなど途上国では、広大な面積の農地があるにもかかわらず、その栽培の実態も流通経路までもがブラックボックスでよくわかってないんです。複雑で入り乱れた利害関係、氾濫する仲買人により地方にいくほど物が高くなるという現象すらある」。

AGRIBUDDY LIMITEDのCEO 北浦健伍 氏は、「だからこそ、見える化することで現地の人を豊かにする道筋を作っていきたい」と話します。

彼がチャレンジする事業「AGRIBUDDY(アグリバディ)」は、まさにリアルの世界をITでより良くしようとする壮大な取り組み。ところが、現在、社員はカンボジアに集まっている16名のみ。特に開発リソースが不足しており、この資金調達を機に積極的に採用していきたいと考えているのですが、日本人は対象と考えていないといいます。

「AGRIBUDDY(アグリバディ)」は日本でも大きな注目を集めました。日経FinTechのイベントでの受賞を皮切りに(日経FinTechイベントで最優秀賞「AGRIBUDDY(アグリバディ)」、農家を束ね力にする世界インフラ 【@maskin】)、今月も日本総合研究所と三井住友銀行が主催する「未来2017」という事業支援プログラムコンテストの最終審査会(2017年2月13日開催)にて「IT融合部門 最優秀賞」「SMFG賞」をダブル受賞しています。

農家が自分の農地を計測したり、栽培状況をレポートできるスマートフォン用アプリは2万4000回ダウンロードされ、非スマートフォンユーザーの農家を支援する「Buddy」とよばれるユーザーは4900人にも上ります。

「AGRIBUDDY(アグリバディ)」を使ったレポートは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 准教授 神武直彦 氏と共同で進めているクレジットスコアリングなどの研究により、ユーザーの作付けに必要な資金(種や肥料、工作機械)の貸付に活用される仕組みです。まさに、リアルとIT、そしてユーザー主導で「ネットの農協」が実現しつつある状況です。

また、2017年2月8日には、第三者割当増資により既存投資家である加藤順彦氏ら個人投資家およびiSGSインベストメントワークスなどの法人・ファンドから総額73万USドルの資金を調達し(プレスリリース)、現在展開中のカンボジアのみならずインド、アフリカへと拡大しようとしているところです。

世界のフラットな土俵へ

現在必要なのはサービスをより高い品質へとブラッシュアップする開発部隊のリソース。しかし、北浦 氏は「採用はインドで行います。日本人ではないですね」と言います。

「なぜなら、マネジメントができる技術者がいないんです。日本は良い意味で統率が取れていますから、マネジメントする必要がないんです。ところがカンボジアもそうですが、新興国ではどんな人物がくるかわからないし、何がおこるかわからない。それぞれの担当分野を明白に定義してルール化したり仕組み化していかないとプロジェクトは進まないんです。それが日本人にできるかというと、そうは思えません。

日本では、安定的に仕事が得られる環境で、いろいろな経験をすることができるかもしれませんが、逆にいえばお山の大将がいる空き地で言うことを聞いていればいいわけで、「AGRIBUDDY(アグリバディ)」が挑戦しようとしているような多様で混沌とした領域では通用しないんです。

また、例えば現在展開をしようとしているインドの都市ではそこだけで60万人とか人口がいて、マネジメントできる技術者がいるんです。そう考えると日本人を採用する理由がありません。

あえて日本のエンジニアにメッセージを送るとしたら、世界のフラットな領域に出て勝負してほしい、そう思うんです」(北浦 氏)。

【関連URL】
・AGRIBUDDY
http://agribuddy.com

蛇足:僕はこう思ったッス
  日本の状況を「お山の大将」と指摘するのはMITメディアラボ所長の伊藤穣一さんもそうだった。個人個人の資質は別として、確かに日本ではチームワークというのはあってないようなもの。いろいろな意見を取り入れて決めていくよりは、「これはこうだから」と誰かが勝手にルールを決めたり、しれっと決断したりするのが日本。現代においても外野が決める、当事者や現場の末端は泣き寝入りという状況。これは海外から見ると非常に奇妙な慣習として目に写るのだ。北浦さんは「多様性のある中でスピード感を持っている、かつ人口も多い新興国等の勢いには勝てないのでは?」と危惧する。同感である。
モバイルバージョンを終了