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踊る、バズワードの「GrowthHack」。
GrowthHackって言うから、何かバイラル的な新規ユーザー獲得のテクニックの話が多くなりがちですよね。もちろんそれも大事な一部ではあると思いますが。
本質的に大事なのはサービスをいかに“持続的に”成長させられるか。
因数分解すると、
いかに新規獲得を増やして、いかに離脱を減らすか。それを持続的に。
これに尽きます。もの凄く普通のことですが、この認識大事。
割と派手なオフェンス(新規獲得)のテクニック=GrowthHackと思われがちですが、ディフェンス(離脱改善)こそが肝だと思います。Product Market Fit(PMF)という言い方もしますが、サービスがトラクション(しっかり地面に粘着)状態になってはじめてオフェンス(新規獲得)に徹することができる、つまりバケツの穴を十分に塞いだ状態ではじめて大量に水を流し込むことができます。
そこで、ディフェンスにおいて一番大事なことは何か。
それは正しい改善KPIの設定だと思います。どのKPIを改善することが最も「サービスの継続率=成長の傾き」を高めることができるか、これを突き止めることが何よりも大事なGrowthHackだと思います。それはサービスによって異なる特殊解なので、様々なデータと文脈から絶妙な仮説を導き出すしかありません。具体的なステップは以下のように考えます。
1.最も粘着しているユーザーに共通している振る舞いを探す
2.その振る舞いをKPIに落としこむ
3.KPIが改善すると思われる仮説を実装する(大事なのはMVPマインド!)
4.その施策でKPIが改善するかを確認、改善すれば5へ、しなければ3へ戻る
5.新規ユーザーにおいて3の前後での継続率の変化を確認する
ここ1を便宜的にUser behavior for Sustainable Growth(以下USG)と呼ぶことにします。先ほども書きましたが、この自社のサービスにおけるUSGを見つけることこそ、GrowthHackにおいて一番大事なことだと思います。
以下に、簡単にFacebookとTwitterの有名なUSGをサクッと紹介します。
【事例1】ユーザーのつながりに着目したFacebook
Facebookの場合、USGは機能でもコンテンツでもなく、ユーザーの繋がりに根ざしたものでした。つまり、継続率が高いユーザーに共通しているマジックナンバーを以下のように見つけたのです。
【USG】登録から10日以内に7人以上の友人と友達になること
そこで、10日以内に7人以上の友人と友達になる割合をKPIとして設定し、このKPIが改善する施策のみに全リソースを投入したそうです。男前。
[参照]Greg Buckner shared: Andy Johns’ “The Case for User Growth Teams”
【事例2】こちらもユーザーのつながりが大事だったTwitter
Twitterにおいてはどれだけツイートしたかではなく、どんな人をフォローしたか、それが高い継続率を生むユーザーの共通点だったそうですね。
【USG】最適なユーザーを5〜10名最初にフォローすること
Sing upする時に最初にユーザーを5人以上フォローさせるのはこのUSGによる施策。この精度をいかに高めるかが獲得したユーザーの継続率を高め、無駄無く成長するかの鍵になるわけです。
USGの発見によるセンターピンとなるKPIの設定、そのKPI改善のための最適な施策。これが実現できてはじめてGrowthHackにおける完璧なディフェンスが完成します。あとは一気に攻めるだけ。オフェンスはその時代のプラットフォームなどにも依存しますが、ディフェンスはある意味自らの身体と向き合う普遍的なメンテナンス作法。万全な健康状態にする術を見つけ、実行することことが優れたGrowthHackと言えるでしょう。
2006年東京農工大学大学院修士課程卒(ビークルダイナミクス専攻)。卒業後、U社にて協業でのモバイル公式サイトを複数立ち上げ。2008年ECナビ(現VOYAGE GROUP)へ転職し、2010年5月にスマートフォン専門に開発を行う株式会社ジェネシックスを設立。2013年12月に同社を退職し、同月株式会社スマートニュースへ参画。
ブログ / Twitter @tommygfx90