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SIMフリーデバイスの牽引役「ファーウェイ」の躍進、最新フラッグシップスマホはLeicaコラボ 重くならない学習アルゴリズム採用 【@maskin】

この数年で急成長を遂げる華為技術日本(以下ファーウェイ・ジャパン)は2016年12月13日、スマートフォンの最上位グレードモデルとなる「Mateシリーズ」の最新機種「HUAWEI Mate 9」を発表した。(写真:HUAWEI Device Company Japan Korea Regional President 呉波(ゴハ) 氏)

フェーウェイの世界シェアは12.1%と3位。日本においてはタブレット出荷台数で2位(2016年Q3、Apple 41.1%に次ぐ23.3% BCNランキング調べ)、スマートフォンでも4位(2016年1〜11月 BCNランキング調べ)につけている。特に国内ではキャリアの販促スキームに乗らずSIMフリー端末の単独販売のみで勝負を仕掛けていることを考えると、著しい成長を遂げていると言っていいだろう。

今回発表されたフラッグシップ機の最大の目玉は2つ。人気機種HUAWEI P9で好評を得たLeica社と共同で開発した光学技術を使ったダブルレンズカメラを搭載している点、そして学習アルゴリズム採用によるシステムパフォーマンスの自動チューニング機能を搭載している点にある。製品の仕上がりも申し分なく、同社の開発力の高さと品質のバランスが高次元に達したことが伺えるだけでなく、本体価格も同社が強みを持つ500−600ドルラインに乗った市場想定価格で6万800円(税抜)とアグレッシブな設定となっている。販売開始は12月16日。日本の顧客向けに90日間の画面保障サービスが付与される。

横78.9mm x 縦156.9mmの本体に5.9インチの液晶パネルを搭載。iPhone 7 Plus(横77.9mm x 縦158.2mm)と比較すると一回り小さいサイズながら、液晶は(iPhone 7 Plusは5.5インチ)本体全面ギリギリまで液晶パネルが組み込まれている印象。

液晶は1500:1のコントラスト比に96%という高い色再現性を持つ他、動画エンコードにはH.265を採用、4マイクシステムを搭載するなど。OSにはAndroid7.0を採用。2つのSIMスロットではLTEと3Gの同時待ち受けに対応し、そのカバー範囲は217の国と地域で1334通信事業者に及ぶ。

スマートフォン利用者の3つの不満を解消

新製品「Mate 9」においてファーウェイ・ジャパン 呉波(ゴハ) 氏が主張するのは品質。調査などで明らかになっているスマートフォン利用者の不満点である「動作が遅い」「バッテリーが長持ちしない」「カメラのクオリティが低い」という問題を解消するのがこの製品の目的だという。 

スマートフォンのパフォーマンスの中核はプロセッサ。ここにはARM社の最新設計を採用したオクタコアCPUのチップセット「Kiring60」を搭載し、CPUパフォーマンスで従来比18%、電力消費効率も15%アップ。グラフィック性能は従来比で180%、電力消費効率も40%と劇的な改善を実現している。

かつ、ユーザーの使用特性などを学習し、システムパフォーマンスを改善するアルゴリズムを搭載。使えば使うほど重くなるスマートフォンのレスポンス問題を自動で解消。事前の調査では、長時間使用しても一般的なスマートフォンと比較して80%高いパフォーマンスを維持できたという。

バッテリー容量は4000mAhとスマホではトップクラスの大きさ。標準的な利用でおよそ2日以上の連続使用が可能になる。かつ「HUAWEIスーパーチャージ」技術により、20分で1日フルに活用できる容量を充電可能になっている。一方で先のバッテリー火災事件に対し、電圧・電流・温度をモニターし、5重ゲートウェイを設けることで安全性を高めている。

カメラについてだが、Leicaとの共同研究により誕生した光学システムはさらに進化を続けており、今回は同社の第二世代Leicaダブルレンズで構成。手ブレ補正や撮影後にピントが調節できるワイド・アパーチャはもちろん、多様なフォーカス機能などが搭載されている。Mate 9の映像クオリティの決めてになったのは「1200万画素のRGBカラー」「2000万画素のモノクロ」という2つのセンサーの搭載。カラーとモノクロの映像を合成することでディテールのの表現力が50%以上向上したという。

背面の指紋認証機能を兼ねたボタンでシャッタが切れるためフロントカメラでのセルフィー撮影がしやすくなるなどのポイントもあった。

タブレット「MediaPad」とスマートウォッチ「HUAERI FIT」の最新機種も同時発売

「Mate9」の発表にあわせてタブレットのフラッグシップ機およびスマートウォッチの発表もあわせて行われた。発表されたのは米オーディオメーカー ハーマンカードン(harman/kardon)社によるチューニングを施したフラッグシップタブレットシリーズ「MediaPad」の最新モデル「HUAWEI MediaPad M3」(市場想定売価は3万1980円から)および心拍測定機能を搭載したスマートウォッチ「HUAWE FIT」(1万5800円)。いずれも同日予約開始で16日(金)から販売を開始する。

タブレットは手頃なサイズに5100mAhのバッテリーを搭載。プロセッサや基盤の製造プロセスなどにもこだわったほか、harman/kardonのサラウンド技術SWS3.0や旭化成オーディオのチップセットを実装。さらに上位モデルではAKGイヤホンを同梱している。


写真:発表会に登壇した塩田玲子さん。MediaPad&AKGイヤホンの高い音質に没頭。

タブレット「HUAWEI MediaPad M3」の市場予想価格は、WI-FIモデルが3万1980円、LTEモデルが3万7800円、プレミアムモデルが4万2800円。いずれも税抜き価格となっている。

最後はスマートウォッチ「HUAWEI Fit」だ。

これはいわゆる情報デバイスとしてのスマートウォッチではなく、心拍計や各種センサーを搭載したパーソナルトレーニングデバイスという表現が適切だろう。ランニングやウォーキングのトラッキングはもしろん睡眠状態のモニタリングにも対応する。90分間のチャージで6日間使用できるほか、5気圧防水にも対応するなど、24時間365日使用し続けられる製品になっている。価格は1万5800円(税抜き)で16日から販売を開始する。

ずらっとならんだファーウェイ・ジャパンの新製品群。派手さをおさえて品質と技術の向上に注力したいぶし銀のラインナップとなった。

【関連URL】
・HUAWEI Mate9
http://consumer.huawei.com/minisite/jp/mate9/index.htm
・Huawei Japan – ファーウェイ・ジャパン
http://www.huawei.com/jp/

蛇足:僕はこう思ったッス
 

世界に広がる研究開発拠点

ファーウェイのこの10年間における研究開発投資額は370億ドル。世界に16研究開発センターを抱え、36の共同開発拠点を有する。Leicaとの共同研究開発も「Mac Berek Innovation Lab」という拠点発のものだ。ファーウェイ社だけにフォーカスしてもこれだけの規模。中国圏全体の投資可能額は日本の比ではないといわれる状況の中で、さらに差をつけられるのは時間の問題と考えられる。そもそも、スマートフォン分野で世界展開をしている日本企業はソニーだけという状況だが、さらに苦戦を強いられることになりそうだ。

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