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米国新事情 ー 本物の選ばれし者だけが参加を許される、マーケティングサロンの芽生えを探る

謎のベールに包まれたプロフェショナル集団

ASCENDANT NETWORKとは、完全招待制エクスクルーシブの、マーケティング業界のプロフェショナル集団で成り立つサロンである。年に2回開催されるカンファレンスでは、各社のCクラスのエグゼクティブが、2日間議論に集う。今回は、ニューヨークで開催された2つの集会(RETAIL ASCENDANT, DIGITAL ASCENDANT)に特別参加させてもらった。SNSへの投稿や、メディア取材は一切禁止であるため、セッションでの会話などは掲載できないが、まずは開示可能な概要をお伝えしたい。

参加者は各イベントのキーノートスピーカー

このサロンに参加希望をする人は、厳しい審査を経て厳選される。参加者の面々には、各グローバルカンファレンスのキーノートスピーカー達も多い。それ以外のいわゆる一般マーケターは、内容を知ることすらできない敷居の高さだ。1.5日のプログラムで構成されているが、参加者レベルの高さゆえに、議論のレベルが非常に高い。スピーカーと参加者が一体となっているのが特徴だ。

ご参考までに参加者の一部をご紹介

(公式HPのキャプチャより引用)

CITI、GAP、Nordstrom、LEVI’S、TUMI等、グローバル企業のCMO/CDOが並ぶ。これら事業会社に加えて、Facebook、Amazon、IBMの global headも参加する。日本人マーケターからみても、海外イベントのキーノート記事などで、おなじみの人物も多いのではないだろうか。

デジタルを軸に、RETAIL、MARKETINGを語り尽くす2日間

カンファレンスは、2部構成となっている。前半は、小売、コマース業界のキーパーソンが集うRETAIL ASCENDANTが1.5日間、そのRETAIL終了後、マーケティングとデジタルの可能性全体を語るDIGITAL ASCENDANTが開催される。参加者はそれぞれ80名程。参加者が企業のマーケティング全体を担うエグゼクティブであるため、責任範囲が広範囲に及ぶ。ゆえに、約半数が、RETAILとDIGITALそれぞれに通じて3日間参加していた。

日本で例えるならば、それぞれ、コマースサミット、ブランドサミットの超・上位互換版を想像してもらえると良いかもしれない。

イベント概要:

1. RETAIL ASCENDANT
時期:2017年4月25-26日
場所:IBM Watson Place, New York

2. DIGITAL ASCENDANT
時期:2017年4月26-27日
場所:eSpace, New York

誇り高きASCENDANT NETWORKメンバーと質の高いコンテンツ

カンファレンスは朝9:00に始まり、夜のネットワークまでコンテンツはタイトに盛り込まれ、メンバーは高い集中力をもって参加する。ハイレベルなコンテンツと並び、1対1のコーチングセッション、ネットワーク機会を通じて、メンバーが違いの影響力を高め合う。コーチングセッションとは、事前予約制の面談のような制度だ。サロンメンバーはお互いの情報を閲覧することができる。たとえばA社のCMOがインフルエンサーマーケティングに悩んでいるとすると、その道トップ企業であるB社のCEOと会期中に面談アレンジができる仕組みだ。メンバー間であれば、そこに費用は発生しない。

ASCENDANT NETWORKのサロンメンバーであることは、米国マーケティング業界のエグゼクティブ達にとっては、誇り高い名誉となっている。

5タイプから解明する、CMOの役割とは?

コンテンツは、AI、ブロックチェーン、VR/AR、roboticsなどの最新テクノロジーから、ストーリングテリングやブランドビルディングの話、2020年の市場動向予測、CMOの役割、そして働き方を問いかけるメンタリング的な内容にいたるため、非常に多岐にわたる。いわゆるペケペケ解説&説明のようなプレゼンテーションは皆無だ。スライド使用はなく、ハイレベルなスピーカーが早速本題から入る。共通前提が整っているので、各パネルディスカッションは30分程でサクサク進む。質疑応答も嵐のように飛び交うので、生半可な気持ちで参加するとあっという間に置いてきぼりになるだろう。

Founder + CEOのSusan MacDermid氏

遊びココロもたっぷり。最新テクノロジーと触れあう機会

カンファレンスは丸一日集中勝負だ。夜は切り替えて、周辺の人気企業や施設への訪問の時間がある。RETAIL ASCENDANTでは、カクテルパーティをRent the Runawayの新店舗にて行った。ここは新進気鋭のファッション企業だ。サブスクリプションモデルで、ハイブランドのドレスやアクセサリーをレンタルすることができる。完全にIoT化されたショーケースで社長を囲みながら、シャンパンを交わし合った。一方DIGITAL ASCENDANTでは、AOL BUILD studioに訪問。番組に出演したハリウッドスター著名人も気軽に訪れる、ハイエンドはクリエティブナレッジサロンだ。当日はふらっとTim Armstrongが立ち寄ってくれたり、さらにディープなビジネストークが弾んでいた。

Rent the Runaway, NewYork店

最後に

次のカンファレンスはシリコンバレーで10月に開催される。もしも、日本でこのサロンが成立するとすれば、誰がメンバーとなるのだろうか。あえて名前を上げるのは失礼にあたるのでイニシャルで想定してみたい。化粧品のO氏、飲食のA氏、消費財ではK氏…、RETAILでは外資系からは(元)N氏、日本企業からO氏…などなど。きっと日本でも、実現される日は近い。

【関連URL】
・Ascendant Network
http://www.ascendantnetwork.com

蛇足:あたしこう思うの
 今回は特別に、レポート特派員ではなく、イベントスタッフとして参加してまいりました。写真撮影及びスピーチ内容もすべて外だしNGのため、事務局OKのとれた内容のみ掲載しています。個人的には、IBMの講演内容で、ブロックチェーンの話をかなり深堀っていたのが印象的でした。看板のない飲食店のような感じで、この「謎のベール」感、流行りそうですね。
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