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オンラインショッピングは「便利」から「楽しい」へ、 E-COMMERCE ONE TO ONE FRANCE参加レポート

フランスComexposium(本社)主催のカンファレンス「E-COMMERCE ONE TO ONE FRANCE」に潜入してきました。完全招待制の合宿型でありながらコマース関係者1500名が集うこのイベント、フランス国内でのビジネス従事者という条件があるため国外では謎のベールにつつまれています。今回特別に参加許可をもらったので、レポートします。

E-COMMERCE ONE TO ONE FRANCEの概要

日程: 2017年3月22日〜24日
参加者: 完全招待制1500名(リテイル関係者1000名 – ベンダー500名)
会場: Grimaldi Forum Monaco、モナコ公国
公式HP: https://www.ecommerce1to1.com/

E-COMMERCE ONE TO ONE FRANCEとは? 

フランスのブランド企業のコマース担当者、小売企業、EC企業を中心に、平均倍率5倍で選ばれたテクノロジー企業が集うイベント。宿泊型カンファレンスではあるが、100社が集う展示会場も付帯しており、オフサイトなサミット型のクローズド感と、オープンな展示会感がバランスよく混ざっている。3日間のプログラムでは、大会場でのキーノート、小部屋でのワークショップ、ONE TO ONE(企業一対一、主にリテイルとベンダーの出会いの場)での面談時間、昼夜のネットワーキング時間、レクリエーションが盛り込まれており、参加者は終日大忙しだ。

1. Exhibition

正直言うと、はじめてExhibitionフロアに行ったとき、「あらま、展示会場はとても人が少ないな」と感じた。だが、実はこれは日本的な展示会場ではなく、100社が集う巨大ミーティングスペースなのだ。つまり、この写真の様子で満員。訪問は基本的にオンライン予約制で、ブース1つにつき最大でも2-3組しか来訪はない。ゆえに、執拗なセールスの呼び込みもしない。あくまでも、特定のパートナーと15-30分、じっくり議論を重ねる場だ。

Googleなどのメインスポンサーのブースはにぎやかで、いわゆる展示会的な要素もある。

2. Innovation Square

ここには厳選された25社が出展する。すべて、参加するリテイル企業からの推薦企業だ。体験型ブースが多く、特にVR系は大人気。CESでも話題になっていたが、スタートアップであっても徹底的にブランディングにこだわる、絶対に洗練されたかっこいいを展示をする、フランスらしい意気込みを感じる空間だった。

3. PLENARIES(基調講演)

オンラインショッピングのキーワードは「便利」ではなく「楽しさ」 by Alibaba

オンラインでものを買う理由は、利便性・時間の節約であったが、これからの時代はそれ自体が趣味になる。つまり、オンラインでの買い物が趣味になってしまうくらい、楽しくなければいけない。例として、11月11日のシングルデーにおいて、Alibabaは大規模なフェスティバルを開催した。ファッションショーは、モデルが着ている服をスマホでタップすれば、そのまま購入できる仕組みだ。”SEE NOW BUY NOW”が重要。(参考URL:http://www.alizila.com/live-updates-alibabas-11-11-global-shopping-festival/

これからのショッピングはAR/VRがテーマ。ポイントなどの特典欲しさに店舗に行く(ポケモンGOのようなサービス、マスコットの猫を見つけるとポイントがもらえる)、仮想店舗で買い物ができる。それらはすべて、「楽しさ」につながっている。そのために、Alibaba Picturesでは映画をつくり、优酷(Youku)は中国のYoutubeとして成長している。まとめに、外国人は、中国市場というとまず人口の大きさを想像する。ただ、ポテンシャルはそれだけではなくて、中国はEコマース需要がもともと高く、人々のオンラインショッピングへの捉え方が違う点を理解してほしい、と。「街に出ればなんでも欲しいものが揃う欧米諸国ではオンラインショッピングはデザート(おまけ、のニュアンス)。一方、中国ではメインコース(必需品)である。」とは、創業者Jack Maの有名な言葉だ。

4. Soiree de Gala

毎晩、1500名で一斉ディナー、放射線状に着席して、ワイン片手にアペリティフ、サラダ、メイン、デザートのフルコースをいただく。フランス式とあって、20:30スタートで終わりは0:30過ぎ。大変華やかだが、会話の内容はいたって真面目、お酒が入っても最後までじっくりビジネスの話をする。ランチも同様に円卓で、ここでももちろんワインをたしなみながら、じっくりビジネスの話をする。良質な会話と素敵な食事はつねにセットだ。

最後に

E-COMMERCE ONE TO ONE FRANCEは、CHANELやLVMHの重役と、GoogleやIBMのヨーロッパのVPが一同に会する場。まるで長く続いているイベントのようだが、実はまだ7年目で、初年度の参加者は90名だったというから驚きだ。現在、自国特化型のイベントとして、イギリス、スペイン、オーストラリア、米国へと規模を広げている。日本版は5月30日〜6月1日に開催する。すでに、今回のE-COMMERCE ONE TO ONE FRANCEのボードメンバーも特別に来日が決定している。FRANCEへの参加はなかなかハードルが高いが、まずは日本版で、この世界を体験してみてはいかがだろうか。

日本版: http://imediasummit.jp/commerce-summit/

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