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[結果速報] EO Tokyo INNOVATION PROGRAM 2019 最終プレゼン

EO Tokyo Innovation Program

年商1億円を超える企業を経営する若手起業家の世界的ネットワーク「EO]
- Entrepreneurs Organization(起業家機構)の日本支部「EO Tokyo」は本日(2019年11月14日)、メンバーの経験やノウハウを元にスタートアップを半年に渡り支援する「EO Tokyo INNOVATION PROGRAM」参加企業の最終審査会を実施しました。このプログラムは昨年に続き2回目の開催です。

EO Tokyo INNOVATION PROGRAM

EOとは何か?

EOは1987年に設立された国際的な若手起業家のネットワーク。参加できるのは年少1億円を超える企業を経営しているということ。現在58か国に渡り1万3000名以上のメンバーがいます。

「EO Tokyo」はその日本支部として1995年10月、グロービス堀社長を中心に設立。現在第24期では311人の創業起業家が在籍し、互助的な活動で続けられています。

EO Tokyo INNOVATION PROGRAM

「EO Tokyo INNOVATION PROGRAM」は、EOメンバーの高年齢化(70%が40代以上)しているのを受け、若年層創業者のイノベーション発生を支援し、社会課題の解決に向けIT/AI/IoT/XR/Robotics/Drone/次世代インフラといった次世代の技術にフォーカスした創業者の育成に乗り出すべくスタートしたスタートアップ・アクセラレーションプログラム。

参加条件は、まず「人が嫌がることを率先してやっている」「1000%を目指す」「楽天家」であるという人的資質のハードルがあり、さらに創業5年以内で39歳以下の創業者であることが必須条件。また、プログラム終了後、年間売り上げ1億円達成時に翌月EO Tokyo入会することなどが条件となっています。

前回のプログラムでは、採択24社中、87%が資金調達を達成。1社はUUUM社へ売却、1社は時価総額70億を達成。今回もすでに50%が資金調達を達成済みで、100%に向けて活動中とのこと。

審査員

・株式会社メディアドゥホールディングス 代表取締役社長 CEO 藤田恭嗣 氏
・株式会社ファインドスターグループ 代表取締役 内藤真一郎 氏
・株式会社ニューズ・ツー・ユーホールディングス 代表取締役 末松弥奈子 氏
・株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野隆史 氏
・株式会社ラバブルマーケティンググループ 代表取締役社長 林雅之 氏
・株式会社Surpass 代表取締役 石原亮子 氏

8社のレビュー&コメント

採択24社は、7名の塾長によって指導を受けるのに始まり、最終的に8社に絞り込まれ今回の最終プレゼンに挑んでいます。ファイナリスト8社が3分ずつ行います。

  1. 株式会社Splink 青山裕紀 37歳 
    https://www.splinkns.com/

    脳の健康基準を客観化する技術を開発し脳画像から認知症リスクを測定する仕組みを、国内の脳ドック施設に対してオプションとしてSaaS型サービスを提供。

    日本は世界の3分の1のMRIを保有している。健常者の医療データにアクセスできる希有な国であり、その強みをベースにアルゴリズム開発を行い、将来的に検査以外の幅広い分野へのサービスを提供する考え。

    代表はキーエンスで北米やメキシコの現地法人立ち上げなどを経験後、MBAを取得。アメリカのVCで勤務した後創業。すでに資金調達も実施している。

    蛇足)非常に骨太な取り組み。実はお父さんの病気で20年に渡り苦しんだ経験から始めた事業だということ。熱意と深さ両方備えた事業だと思った。

  2. MyDearest株式会社 岸上健人 27歳 
    https://mydearestvr.com/

    VRミステリーアドベンチャー「TOKYO CHRONOS」を初めとするVRアドベンチャーゲームを開発するMyDearest。VRは2兆円市長とかスマホの次になるとか、マーク・ザッカーバーグ氏が「3年以内に1000万アクティブユーザーの市場になる」といった話題が尽きない領域。

    MyDearestは、FacebookのOculusのマーケットでも取り扱われる世界的コンテンツメーカー。VRのIP化を世界で初めて実現。来月にも売り上げ1億達成しEO Tokyoに参加することが決定している。10年後売り上げ1兆円を目指す。

    蛇足)酔い問題が取り沙汰されるVRだが、MyDearestのコンテンツは酔わないし、VRのポテンシャルを的確に狙った多角的ビジネスを展開している。3年後にVRの世界は変わると断言する。

  3. 株式会社イトナブ 古山隆幸 38歳 
    http://itnav.jp/

    創業者は東日本大震災以降、東京から石巻の母校に戻り、次世代を担う若者を対象にソフトウェア開発やグラフィックデザインを学ぶ拠点と機会を提供。起業家がいれば起業家は育つ。しかし、地方部ではIT産業はなく学ぶ機会が無いという問題がある。

    しかしIT人材不足は今後深刻になるわけで、地方に眠っている若手IT人材を発掘し育てることに挑戦をしている。そのために行政と連携して若者を集め、リクルートマッチング・社会貢献活動・広告宣伝などを展開している。

    蛇足)可能性のある若手を発掘する必要があり、そうした人材へのリーチは行政機関を頼りにする必要があるが、マインドへの共感が得られないケースもあるとのこと。

  4. 株式会社LIFELOG 長濱えみな 34歳 
    http://lifelog-japan.com/

    ウェディングムービーカメラマンを経て創業。祖母は出産を機に痴呆になり、言葉を残すことの重要さに注目。人生という物語をビジュアライズする法人向け「posto」および個人向け「LIFELOG」を運営。

    ウェディングムービーを「家族史ムービー」として再ブランディングを実現。ファミリーフォト事業についてもインタビュー動画をタイムカプセルとして提供しリピート率を向上。動画は期限付きパスワードになっており、将来の記念日にみられるようになる仕組みを使っている。

    現在は受託サービス事業としての体だが将来的には葬儀までをもカバーする人生によりそうサービスにしたい考え。

    蛇足)リアル事業にどうITを取り入れていくか、それでスケールするとなれば経営チームの構成も課題。現在は土台を固めている状態だということ。

  5. 株式会社プリンシプル 原田宏人 35歳 
    https://www.principle2007.co.jp

    大切な人が安心して暮らせるようなサービス。しかしセキュリティシステムは高ものがほとんど。

    ディップ社を経て2007年にプリンシプル創業した原田氏は賃貸住宅向けホームセキュリティサービス「スマートルームセキュリティ」を運営。防犯面で心配の多い単身の女性でも使える価格帯で提供を開始するが、2~3年で転居してしまう。

    そこで日本のマンションおよびアパートの高い空室率対し、セキュリティを導入して再募集したところ、これまでの空室期間124日が42日にまで短縮することに成功。来年屋外セキュリティも展開予定。

    蛇足)賃貸にフォーカスするのは低価格を維持するため。昨年代理店が決まり全国展開の足がかりを得ることに成功している。

  6. 株式会社UPTORY 歌川貴之 33歳 
    https://uptory.jp/

    優秀なエンジニアはリモートワークを望む。そこでリモートワークで人材不足を解決する事業をスタート。登録者1500人のうち7割が地方在住。

    リモートワークは適切な人材選びが困難。登録者全員にインタビューを行い動画を配信して、互いの共感度を高めた上でマッチングを行っている。

    リモートワークで共感が繋がる、プロフェッショナルのフリーランスマッチングサービスを運営。音楽プロダクションにてフリー奏者のマッチングと

    フリーランス保険や空き家を活用したコワーキングスペース提供など、福利厚生に力をいれモチベーションが高い人材を集めクライアントの事業に貢献する考え。将来的には他の業界業種にも展開したい考え。

    蛇足)普段のリモートワークは2~3か月で終了。インタビューある場合は半年続くケースがほとんどだとのこと。共感、つまりイマジネーションと相手の理解力の高さは、リモートワークによる価値創造には欠かせないということだと思う。

  7. 株式会社タウンWiFi 荻田剛大 36歳 
    https://townwifi.jp

    このプログラムのフォーラムで「自分が良いと思ったものは、他の人もそう思っている」というメッセージに共感。負担や制限が大きい通信を改善すべく接続可能なWi-FIをアプリが検知し自動接続する「Town WiFi」を開発し運営したことに意義を感じているという。

    「Town WiFi」は650万ダウンロード、300万MAU。メインユーザーは40代で通信量は3GB未満とのこと。来店者の広告IDでネット広告を最適化する、位置情報を使った広告を展開中。来年末までに1000万MAUを目指している。

    創業者は楽天を経て2015年4月にタウンWiFiを創業。元々楽天のサービスとして起案したもの。売り上げ好調につきEO Tokyoに加入決定。

    蛇足)この数年何度か話を伺っている荻田氏。ふつふつと沸く情熱がシンプルなサービスに落とし込まれていると思う。

  8. 株式会社Elaly 大藪雅徳 23歳 
    http://elaly.co.jp/

    人と人との支え合いで生きた経験がある創業者。誰でも機会損失を無くす事業をやりたいと家具の月額制レンタルサービス「airRoom」を運営。安価な価格で配送・処分費用などを含め家具メーカーから直接レンタルが可能。

    家具メーカーはこの15年前後で3分の1程度まで減少している。メーカーと利用者をマッチングしていくモデルで、過剰在庫を無くす効果も期待できる。現在、会員・売り上げ共に好調に成長しており、来期はEO加入条件の年売り上げ1億円に達成できる見込み。

    創業前はdelyにてフードデリバリーサービスの立ち上げとグロースを経験。FiNCを経て2018年5月にElalyを創業。1億円の資金調達を達成している。

    蛇足)シェアリングエコノミーの事業は仕入れがないためどう組織を仕組みを高度化していくかが鍵になる。伸びているとはいえ、家具という扱いが難しく、メーカーとの調整が難しい領域で成長をさせていることに注目。彼は生活インフラ的な要素がある家具が資産としての売り買いされるのではなく、貸し借りによってこの取り組みの信用価値をつくりたいと考えているようだ。

優勝は・・・

会場は満席「俺もがんばるぞ」といった互いに刺激を受けるトーンで最高の盛り上がり。さまざなな創業者・起業家のトークが続く中、結果が発表されました。

オーディエンス賞  

賃貸住宅向けホームセキュリティサービス「スマートルームセキュリティ」
株式会社プリンシプル 原田宏人氏

副賞として月例参加権・賞金15万円が提供されます(使途は来年提供する室外向けサービス開発)

サスティナブル賞  

株式会社Splink 青山裕紀 氏
脳画像から認知症リスクを測定するSaaSサービス

副賞は月例参加権・賞金15万円(使途は“飲みに行きます”)。


EO Innovation Program大賞 

株式会社UPTORY 歌川貴之
リモートワークで人材不足を解決する事業

副賞として月例参加権・賞金30万円、銀座テーラーの高級オーダーメードスーツが提供されます。

おめでとうございます!

【関連URL】
・[公式] EO Tokyo INNOVATION PROGRAM

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