サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

人工知能でコーデ写真から商品を探してくれるアプリ「PASHALY(パシャリィ)」公開、サイジニアがビジュアルコマースに賭けるその理由とは @maskin

写真などから類似するモノを探すサービスといえばAmazonの商品検索だったり、Googleの画像検索だったりというものがしばらく前から存在し、近年の人工知能の浸透により精度が高まるといった機能向上が顕著になっています。

日本のサイジニアが2017年2月13日にリリースしたiPhone用アプリ「PASHALY(パシャリィ)」は、単なる画像検索ではありません。写真に写った人物が着用しているファッションアイテムを、アウターやパンツ、シューズ、ストールといった具合に分類し、かつそれぞれにおいて実際にECで販売されているものの中で類似するものを提案してくれる機能を持っています。

このアプリはサイジニアがマーケティングなどに活用できるデータ分析技術ラインナップの一貫として誕生した「デクワス.CAMERA」という技術を使用したもので、人工知能分野のディープラーニング技術によりコーデ写真から何を着用しているか識別しています。

実際、タレントのりゅうちぇるさんが自身のブログに掲載しているコーデを「PASHALY(パシャリィ)」で撮影すると、どのようなファッションアイテムを着用しているかを分析して、そのジャンルごとにボタンが表示されます。(?が付いているのは、確実性が不足していると認識エンジンが判断している場合。また現時点でF1層(20歳から34歳までの女性)を対象としているためそれ以外の層のアイテムはマッチ度が甘い傾向が見受けられます)

例えば「トップス?」をクリックすると、約60万点のECデータベースから類似するファッションアイテムを探し出してくれる仕組みです。この場合、全く同じものは見つかりませんでしたがどれも雰囲気が似ています。これらの商品情報をクリックするとECサイトに遷移し、直接購入することが可能です。

ブログやInstagram、SNS、雑誌やフライヤー、広告など「素敵なコーデだな」と思っても名前が解らなくて買えないといったシーンの救世主となるだけでなく、画像認識の確実性が増せば わざわざキーワード検索をせずとも、日常のコミュニケーションの中で商品に出会う機会が増えると考えられます。

複雑ネットワーク理論からビジュアルコマースへ、参入のなぜ?

スマートフォンの普及率は20代半ばを中心に依然として向上し続けており、SNSへの投稿は写真を加工したりスタンプを活用したりとビジュアルが欠かせない存在となっています。特にファッションアイテム消費者の主役であるF1層(20歳から34歳までの女性)におけるビジュアル重視志向は強まるばかりで、多くのEC等がビジュアル系SNSの活況ぶりを取り込もうと模索を続けています。

「PASHALY(パシャリィ)」は、写真などのビジュアル素材をECに結びつけるまさに新時代のコマース=「ビジュアルコマース」のエンジンとして投入されたものです。北海道大学大学院とサイジニアの共同研究の成果として誕生しました。現時点ではF1層を中心に展開。今後、提携するECサイトやブランドを拡大し、国内はもちろん海外で流通しているファッションアイテムすべてを対象としていく考えです。

サイジニアは、工学博士である代表取締役CEO 吉井伸一郎 氏率いる企業です。物事の事象に関する普遍的な法則・原理を見い出すサイエンスと、人間が直面する課題を解決するエンジニアリングの融合を標榜しています。同氏は「目に見えるものすべてを購入可能にし、 ビジュアルコマースでオンラインショッピングの習慣を変えていく」とこの分野への注力を力強く語ります。

サイジニアは、インターネットや人間社会の複雑な構造を、数学的に分析・解析する先端科学理論「複雑ネットワーク理論」を活用し、消費者の行動を分析していました。探さずども出くわすという意味から「デクワス」というラインナップをオンラインからオフラインまで幅広いチャネルで展開してきました

デクワスのラインナップからすると「PASHALY(パシャリィ)」の母体であるデクワス.CAMERAは異色の存在です。なぜなら、他のサービスがネット上の行動履歴を分析ものだったのですが、「PASHALY(パシャリィ)」=デクワス.CAMERAはビジュアルをディープラーニングで分析しているからです。

「既存のデクワスは「行動履歴」の解析に基づいていました。行動履歴解析というのは、過去から次のアクションを予測することで、新着商品の鮮度が重要なんです。「PASHALY(パシャリィ)」がターゲットとするファッションアイテムは流行の最先端にあるもので、こうしたデータを反映させることでデクワスの解析能力向上に貢献できるだけでなく、デクワスサービスラインアップを拡張することが可能となります。

今後、サイジニアは「目に見えるものすべてを購入可能にする」ことでビジュアルコマースでオンラインショッピングの習慣を変えていきたいと考えています」(サイジニア 代表取締役CEO 吉井伸一郎 氏)

(了)

【関連URL】
・写真で買えちゃうファッションアプリ PASHALY (パシャリィ)
http://pashaly.com
・デクワス.CAMERA
http://www.deqwas.com/service/camera.html
・サイジニア 写真で買えちゃう、人工知能ファッションアプリ『PASHALYパシャリィ』をリリース
http://www.scigineer.co.jp/news/20170210/2317/

蛇足:僕はこう思ったッス
 人工知能技術を積極的に搭載
汎用のリコメンドエンジンというと、「これを購入した人は、こちらも買ってます」という同時に購入される確率の高い商品を提示するというものが古くから普及しているが、これでは誰もが同じようなものを購入することになりがち。サイジニアが製品群で全面的に取り入れている複雑ネットワーク理論は、人と人、人とコンテンツ、コンテンツとコンテンツの関係性を高い精度で分析・解析することで、それぞれの間にある(彼らがいうところの)「運命の赤い糸」を発見することができるという。例えば、一見、ランダムで複雑な情報の中から趣味嗜好の似ている情報やユーザー群を抽出するといった具合。彼らはディープラーニングなどの技術を導入するだけでなく、それをクライアント企業の課題解決への結びつけている。
モバイルバージョンを終了