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一躍注目を浴びるようになったIoTデバイス。Wi-Fiやスマートフォン経由でインターネットを介することで、家電などの機器を遠隔で制御したり、心拍などを記録したりと、ネット普及以前では考えられなかったようなアイディアが続々と誕生している一方で「この製品がどういう魅力があるのかわかりにくい」という声が多いのも事実です。
ソフトバンクのビジネス開発でIoT分野を担当している 安東慶人 氏は世界で勝負できるIoTデバイス生み出したいと思う一方で「本当に優れたIot製品ですら、知られてない、伝わってない」と危機感をあらわにします。
Future Marketing Unitの誕生
ソフトバンク安東氏は「どう伝え、どう消費者と接すればいいか」を考え、ものの10分でこんなプロトタイプを作成しました。
IoTデバイスはうまく伝えて訴求しないと売れていかない。ならば「動画やスライド、実際の製品のデモなどを通じ、製品の使い方を示したうえで、ユーザーの生の声を取り入れながら取り組むべき商品を見定め、いち早くビジネス化したい」(安東氏)とインタラクティブな展示台を考えたのです。
これを「Future Marketing Unit」プロジェクトとし、安東氏をプロジェクトリーダーとする取り組みがスタートしました。3ヶ月後に出来上がったのがこういったデバイス。カスタマイズされたタブレット2台をタッチパネルとして使用し、展示台の右はじに消費者が製品に対してリアクションできるボタンを設置しました。
パネルには、そのIoT製品の使い方などが動画で流れます。商品に魅力を感じたら右手下の「Goodボタン」を押して貰う仕組みです。もちろんその場で製品の魅力を体験できるようなデモも設置されていますし、購入することも可能です。来場者の動きは記録されており、ボタンを押したり、動画再生途中でその場を離れたりしたといったということを履歴として記録されていきます。
これまでの店頭では購入されたかどうかは把握できてはいるものの、どういった潜在顧客がいるかを把握することでできませんでした。「Future Marketing Unit」では、この展示台の利用状況から、購入に至るまでの潜在顧客を4段階に分析することが可能になるいいます。
潜在顧客の把握
「Future Marketing Unit」は、来場利用者を「単に認知したレベル」→「少しは関心を持ったレベル」→「より深く関心を持ったレベル」→「購入することを検討するレベル」→(購入)という形で分類し、どの商品が、どれくらい規模の、どのレベルの潜在顧客がいるかを把握することができる仕組みになっています。
実際、どれくらいの規模で利用者がいるかということがわかるデータがこちらです。一ヶ月あたりの「Goodボタン」リアクション数ですが、このような形ではっきりと反応の差が見えてくるようになります。リンクというのは商品詳細情報をみるためのボタンが押された数です。
また、こちらは純粋に製品を使ってみたいかどうかをアンケートで収集した結果。製品によってかなりのバラツキがあるのがわかります。
こちらは販売価格を提示した上での購入意思をアンケートで収集した結果。価格の妥当性やデモの的確さなどさまざまなことが予測できるようになります。
ソフトバンクショップとえば、携帯電話などの契約などの窓口というイメージがありますが、いったいどれくらいの規模の来客がありどれくらい反応するのでしょうか?
以下はある店舗の一ヶ月における来場数などを示したもので(数値は丸めてある)、実はソフトバンクの大型店では携帯電話の手続きに訪れるのは6万5000人のうち4600人のみに過ぎません。
最終的には、「Future Marketing Unit」の対応店舗を全国に増やし、各製品のターゲットユーザーに即した場所でこうした取り組みを実施できるようにしたいと安東氏は考えているとのことです。
店頭デモの例
現時点でデモ機設置は都内のソフトバンク5店舗(表参道(7台)・銀座(9台)・東京駅(1台)・六本木(2台)・渋谷(1台))で合計20台が稼働中。(銀座は内装変更中のため一時的に3台)。最近のデモの一連を御覧いただきましょう。
実際のデモでは、一見すると「ただの電池に見えてしまい何の製品がわからない」(安東氏)ものも、実際にミニ四駆にこの製品を入れ、スマートフォンと連携させるような事例を展開し紹介することで関心を持ってもらうことができます。
スマートフォンに設定した時間にカーテンを自動で開ける「mornin’」という製品。こちらも一見するだけではわかりにくいため実際に操作や取り付けのデモも行っています。
タカラトミーのプラレールにカメラを装着してスマートフォンでその映像をみながら操作できる「ダブルカメラドクターイエロー」という製品。
イタリアのスタートパプ2045テックという会社の「floome」という製品。デバイスに息を吹きかけアルコール度数を計測するというもの。内容を理解してもらうためにワインボトルを設置。ターゲットユーザー層にあわせるために六本木・銀座に限定展示。
サンフランシスコのスタートアップの「PetCube」という商品。キューブ状のデバイスにレーザーポイントが搭載された製品。インターネット経由でペットの様子を確認しながら、レーザーポインターを動かしてコミュニケーションを図るというもの。動画は共有して、それを見た人も遊べるという機能があります。
このように自転車のような大きなものをソフトバンクショップを飛び出して展示会(サイクルモード2016)などで展開するケースもあります。3日間でGoodボタンは5000回以上押されたという実績を得ました。こうしたソフトバンク系列以外での展開も積極的にやっていきたい考えです。
こうしたデモを通じ、反応が大きかった製品は、ソフトバンクショップで積極的に販売していきます。これまでに「Petcube」「Virtual Reality Viewer v2.0」「theta S」「Floome」「iremocon」「ダブルカメラドクターイエロー」いった製品が実際にラインナップに乗って販売が開始されています。
Future Marketing Unit プログラム参加は無料、米「b8ta」連携もあり
「Future Marketing Unit」は国内ソフトバンク店舗などのみならず、米国シリコンバレーで新しい形の小売を展開する「b8ta(ベータ)」と提携し、日本のIoT企業の米国展開をサポートする取り組みも行っています。
このプログラムへの参加は無料。応募したIoTメーカーは以下から申し込むことが可能です。
【Future Marketing Unitで展示を希望の法人向けお問合せ先】
Future Marketing Unit (ソフトバンク株式会社)
プロジェクトリーダー:安東慶人
http://goo.gl/forms/JBQDvkBxWd
【関連URL】
・Future Marketing Unit Project
https://www.facebook.com/futuremarketingunit
・日本初上陸&未発売の製品も!最新IoT製品をソフトバンク表参道で展示中
http://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/shop/20160328a/
日本ではどちらかというとO2Oへの関心が多い様相だが、むしろ一等地にあるソフトバンクショップの旗艦店などでは消費者の意向が最も見えやすい場所といえるのかもしれない。すでにこの取り組みで絞り込まれた製品には動きがでているようだが、このプログラムを経て国内はもとより、アメリカでもヒットするようなものが生まれるのだとしたら、非常に有効なマーケティングプラットフォームになりうるように思う。また、ソフトバンクは全社をあげてIoTにフォーカスしているようなので、特にスタートアップとしてIoTに賭けているところは乗らない手はないのではないだろうか?