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リアルワールドとクラウドを結ぶ太陽光発電+iBeaconデバイス「FlipCast(フリップキャスト)」

クラウドで会議室を予約しておいても前件が長引いているのに気がつかずドアを開けてしまった、なんてことは誰にでもあるはず。「売店がお休みなのに別棟まで買い物にいってしまった」「会議室の鍵が使われてないかどうかキーボックスを確認してきた」「上司がテレビ会議のコールに反応がないので、わざわざ席まで確認してきた」などなど、検索でもチャットでもこなしきれないことが世の中には多くあります。一人一台スマホを所有しPCまで併用することが当たり前の時代になっても、目に見えるものにすら手が届かないことがあるのです。

ソニックス代表取締役社長 吉澤武則氏は「誰にでも目に見える形でクラウドのサービスを利用することができないか?と思ったんです。例えば、キャンディーのケースを開けたら、サーバーの処理が実行されたりするようにモノに特別な意味を与えられるのではないか」そんな思いから「FlipCast(フリップキャスト)」を開発したそうです。

お菓子サイズの筐体に太陽光発電で動作する高精度傾斜センサーを搭載

「FlipCast(フリップキャスト)」は、ちょうどミントキャンディーの箱くらいの大きさのデバイスです。ここに高精度の傾斜センサーを搭載しており、そのデータをBLE/iBeaconで送信することが可能です。太陽光発電技術を使っているため充電不要で動作し続けることが可能です。

センサーは360度計測に対応する三軸加速度センサーで一般的な傾斜センサーよりも高い制度で計測することが可能です。「このセンサーをエナジーハーベスト(環境発電)による微小な電力で動作させることに知恵を絞りました」(吉澤氏)。

使い方は多様です。スイッチ類が装備されているわけではなく、一定間隔で傾斜データが送信される仕組みです。例えば「FlipCast(フリップキャスト)」の表を「使用中」、裏を「空室
」としてそのデータをグループウェアの会議室利用状況ボードに表示することが可能です。三角錐のような形状にカスタマイズして3種類のステータスを伝えることも可能です。うまく外部サービスなどと連携して、宅配便の集荷依頼を「FlipCast(フリップキャスト)」を動かすだけで自動で行うこともできます。

また、クラウドサービスの運用を「FlipCast(フリップキャスト)」と組み合わせることで一種の起動スイッチのような役割を果たすことも考えられます。ハードウェアに機能を追加したり構造を組み替える余地も残っているためアイディアに併せて柔軟に対応できるとのこと。

モバイル開発の「ソニックス」とシステム運用管理の「インディゴ」が目指すところ

「FlipCast(フリップキャスト)」は、モバイルプロダクトのテスト自動化サービス「Scirocco Cloud」をはじめ、モバイル推進事業を展開するソニックス社が主導していますが、システム運用管理で豊富な実績を持つインディゴ社と知財を共有する形で共同で企画立案およびプロトタイピング開発を行っています。両者はIoT分野でスマートロックなどのプロジェクトを共同で手がけた経験があります。

「FlipCast(フリップキャスト)」はプロジェクト規模100万円台から対応可能です。データ受信ゲートウェイと組み合わせることでより大規模な仕組みづくりが可能となります。予算規模2000-3000万円程度の中・大企業とのプロジェクトを共同で複数社と協議中とのこと。

エナジーハーベスト(環境発電)を使い、スイッチ類がないメンテナンスフリーの構造を持っているからこそ、リアルワールドとクラウドとを結びつける多様な企画に対応できるのが「FlipCast(フリップキャスト)」 の強みといえます。今後1年でメーカー・小売・流通・物流・情報サービスから社会インフラまで10プロジェクト、総額で5000万円から1億円クラスの事業に育てたいとのことです。

【関連URL】
・FlipCast
https://www.flipcast.jp

蛇足:僕はこう思ったッス
リアルなモノをネット上のサービスの起動フックにするというアイディアはCerevo「Hackey」を筆頭に、ArduinoやRaspberryPIの工作でしばしば実験されているが、結局のところあくまでフックに過ぎず現時点ではIoTの本質には迫らないまま収束していしまうような印象がある。「FlipCast」の場合はなぜこの形状に傾斜センサーか?ということに注目したのだが、ポイントはON/OFFのようなスイッチはもちろん、微妙な角度や複数の要素を1つのデバイスで伝達できるという部分にあるように思う。ドアの開閉だった把握できるし、工夫次第でいろいろ検知できそうだ。本体は無線通信が可能で電池不要なわけで、ゲートウェイを追加しさえすればデバイスの個数や適用範囲を拡大できる部分のメリットも大きい。
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