- 「ソラコム」がスイングバイIPOを実現、東証グロース市場上場承認 - 2024-02-22
- (更新)結果速報 LAUNCHPAD SEED#IVS2023 #IVS #IVS @IVS_Official - 2023-03-09
- 「始動 Next Innovator 2022」締め切りは9月5日(月)正午ー経産省・JETRO主催のイノベーター育成プログラム #始動2022 - 2022-09-01
音楽視聴にストリーミングというビッグウェーブが到来したことにより、人々のミュージックライフに変化がもたらされたのは間違いないでしょう。今や誰もが同じテレビ番組を見て、有線放送で流れるヒットチャートを聴く時代から、よりパーソナルなものへと変容しているのは確実といえます。音楽体験はスマートフォン・アプリを軸に、新たなステージへと向かおうとしているのかもしれません。
そんな新たな潮流を予見させる動きが世界トップ5に入るミュージックアプリ「Spotify」と「Shazam」に起こりました。まず、ラジオやテレビ、街角で流れている楽曲をスキャンしてその楽曲を検出する「Shazam」についてです。彼らは2015年からARのプロモーションプラットフォームとして音楽以外のものをカメラスキャンする機能を拡充させています
上の写真は、Shazamが提供しているARコンテンツのサンプルで、彼らは2017年3月6日に米Zapparと協力して米Beam Suntory,Inc.のテキーラのプロモーションを行うと発表しています。
単なるAR体験をプロモーションに使うということになると英Blipparの存在が強い状況。とはいえ、Shazamの10億ダウンロード、MAU1億3000万人というプラットフォーム規模からすれば圧倒的な価値を創出できる可能性も考えられます。
一方で、有料会員が世界5000万人を突破したばかりのSpotifyは2017年3月7日、楽曲などを検出する技術を持つスタートアップ「Sonalytic」の買収を発表しました。Shazamが強みを持つ楽曲検出技術をサービスに取り入れるという話です。
実際のところ、「Sonalytic」の技術は、Spotifyのプレイリストなどの機能に組み込まれていくという説明がされていますが、Shazam同様の楽曲検出サービスも新たにリリースされると見られています。
「Sonalytic」の技術は、楽曲の完全一致のみならず、ミックスされている状態や、楽曲一部(たとえばボーカルのみ)でも検出することができる高度なもの。ビッグデータの蓄積および人工知能技術での解析を通じて、メタ情報やリコメンデーション情報をより的確に掲示することが可能となると考えられます。
「Spotify」はAPI公開により多様なサービスやデバイスと連携をしています。音楽検出アプリのSoundHoundとも、Spotifyプレミアムユーザー向けに検出した楽曲をその場で再生する機能などを提供していますが、今後、そうしたパートナーとの関係がどうなるかはわかっていません。
コンテンツエコシステムへのテコ入れ
では、なぜ、こうしたエンターテイメントテクノロジーのリーディング企業が楽曲検出やAR領域に注力するのでしょうか。
考えられるのはタッチポイントの多様化です。昔のように誰もがチェックする音楽ヒットチャート番組がなくなりました。利用者それぞれが価値観でプレイリストを選ぶだけに止まらず、自ら作成し、時にはソーシャルメディアで共有します。世界にばらまかれるナノヒットチャートをいかに価値にし、音楽の発見の機会を創出していくか。それが「Spotify」のミッションであり、今回の「Sonalytic」の買収劇です。
Shazamの場合は、音楽検出の機会をARを活用することで外向けに多様化しようとしていると考えるのが自然でしょう。ラジオや公共の場で偶発的に流れる音楽には限りがある。音楽とからむARプロモーションを展開することで、スキャンという行為から音楽との出会いを創出しようとしていると考えられます。
【関連URL】
・Spotify Acquires Sonalytic
https://news.spotify.com/us/2017/03/07/27384/
・Shazam Launches First Scaled Augmented Reality Solution for Brands Worldwide
http://news.shazam.com/pressreleases/shazam-launches-first-scaled-augmented-reality-solution-for-brands-worldwide-1842402