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『短期集中プログラミングキャンプ』TECH::CAMP運営のdiv 代表取締役 真子 就有氏インタビュー【@masaki_hamasaki】

 これまでに2500人以上の卒業生を輩出している短期集中プログラミングキャンプのTECH::CAMPを運営する株式会社div、代表取締役の真子就有氏のインタビューを行った。

 真子氏は、1989年生まれ。青山学院大学に在籍時代からエンジニアとして複数のITベンチャーに勤務後、在学中に起業。複数のサービスリリースを経験しており、KDDI ∞ Laboの4期生でもある。2015年11月Forbes誌「注目のUnder30起業家10人」に選出されるなど、注目の起業家である。

「プログラミング版ライザップ」TECH::CAMPの設立経緯

 真子氏自身がエンジニアで、学生時代、専門書を使いながらプログラミング学習を進めていた。しかし、サービスを作れるレベルになるまで約1.5年ほどの年月がかかった。一方で、自身の会社に所属するインターン生は、未経験にも関わらず2ヶ月ほどでプログラミングスキルを習得。「この違いは何なのか」、と考えた時に「とにかく手を動かしてわからない時にすぐに聞けること」が成果をあげることに大切なポイントだと気付いたとのこと。

 自身の実体験もあって、最高のプログラミング学習環境をつくりたいと考え、TECH::CAMPをスタート。運営の工夫としてTECH::CAMPでは講義が一切ない。従来の大学や、既存のスクールの授業は講師がホワイトボードの前で話す講義形式だ。なので、質疑応答や実践の量も多くなく、実践的なスキルが身につかない。その問題点を解決するためにも、『質問をつけるたびに更新される実戦形式の最高の学習教材』と『質問に即回答する体制』をつくっていった。

 『最高の学習教材』は今まで5000回以上アップデートしてきたとのことだ。『質問に即回答する体制』は土日祝日も含めて11時〜23時まで、オンラインでも提供する教室でも質問を受け付ける。

 その体制を支えるのが約70名にもなるメンターたちだ。メンターとは指導者、助言者の意味。メンターになるためにも試験があり、その合格率は10%で、メンターの9割がTECH::CAMPの卒業生とのこと。サービスを充実させるためにもメンターの方々のロイヤリティーや、技術力を高めることは不可欠。メンターには、拠点がある東京都と大阪市にメンターハウスという家を借りて無償提供しているとのこと。寝食を共にしながら、技術研鑽に励んでいるようだ。

真子氏が組織運営をしていく上で大切にしていること


 div社では毎朝社員同士で「昨日の感謝」を社内のチャットツールに投稿するようにしているとのこと。また月次総会では、サプライズワークをしたメンターに向けて「サプライズ賞」の授受を行っている。それは序列をつけるものではなくて、全社員、全従業員へのアンケートがあるとのこと。そのアンケートを元に会議を行う。また表彰のタイミングでは、参加者それぞれが感謝の言葉を3名ずつに書く。書いた手紙は本人に手渡されるようだ。

 「幸福度と生産性の向上には相関がある」と考え、取り組んでいると真子氏は語る。組織を運営していく上だけでなく「自分が存在することによって生まれた人々の幸せを少しでも大きくしたい」という真子氏自身の理念が組織に反映されているのではないか。「自己肯定感がやる気を出す。ここには居場所がある、自分は認められている。そう感じることは幸福に繋がる。」とも語った。

 真子氏は「母親が人に喜んでもらうために行動を惜しまない人間なので、その影響もあるかもしれません」とのこと。インタビュー中に印象的だったのが「正しいことをする人たちが白けてしまうような世界にしたくない」という発言だ。社内で誰かが陰口を言っていれば、その場で注意をする。

 元来の性格もあるだろうが、TECH::CAMPに取り組むまでには一緒にやってきた仲間との別れもあった。その中で多くのことも学んだという。

 「当時は自分が正しい、という意識が少し強かったかもしれません。ですが、TECH::CAMPに取り組んでいく中で、評価されるメンターの姿や周りの手助けの中で、より素直になってきました。今も照れくさく中々言いづらいですが、直接ありがとう、ということは大切にしています。」

「人生にサプライズを」という理念の実現


 仲間集めの方法について尋ねると、「創業時から会社理念である『人生にサプライズを』という理念に共感し、一緒に高みを目指して挑戦できる仲間達を探し続けてきた。」とのこと。それを求めるのは経理や総務、営業でも同じで、「同じ理念をもつ仲間と高みを目指して挑戦し続けることこそが人生の最大の価値であり、財産であるという思想でおります。そのため、理念にフィットする仲間達をこだわって採用してます。」と語った。

 今後の事業展開としては、一般の方々向けにプログラミング教育サービスを提供してきたものを、今後はデザイン教育や法人研修にも力を入れていきたいとのこと。また、「TECH::CAMPで学んだスキルを卒業して終わりにするのではなく、仕事の面でも支援をしていきたい」と語る。2015年3月1日には、プロトタイプ開発に特化したクラウドソーシングサービスTECH::WORKという事業もスタートさせている。

父親も経営者という真子氏に、起業当時と現在で変わった部分を尋ねると、「優秀なメンターや社員たちと触れ合う中で、人間としての成長を遂げられたと思っております。」とのこと。「いかに部下の力を引き出してあげられるかも大切なことの一つ」と語る真子氏は、クールな印象の中で熱く語ってくれた。

蛇足:僕はこう思いました
 インタビューでは多くの言葉が印象に残ったが、「自分が存在することによって生まれた人々の幸せを少しでも大きくしたい」といった言葉が頭に残る。真剣な顔で、恥ずかしがらず、率直に言葉を述べる姿からは心底思っているように感じた。

 インタビューに同席してくださった先日取締役に就任した中山紗彩氏にも、真子氏について尋ねると「自分の理想像の具現化に向かって、本当にストイックに行動する経営者です。”人生にサプライズを”という理念を、会社でのみなく自分の人生を通じて体現しているからこそ多くのひとが惹きつけられるのだと思います。」と語ってくれ、真子氏の人柄が伝わってきたような気がした。

 月次で350名以上もの申し込みがあるようで、事業も大変順調のようだ。プロトタイプ開発に特化したクラウドソーシングサービスTECH::WORKでいうと、フルサポート型クラウドソーシング 『ITプロクラウド』など、スキルある人材を多く集めて他の新規事業に展開してくことは今後も増えていくのだろうか。

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