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eスポーツの真実、東京ゲームショウ2017は世界への入り口となるか #tgs2017

「eスポーツ(eSports)」、それはオンラインゲームで対戦するスポーツ競技です。世界には5500万人以上の競技人口があると言われており、年間の賞金総額が1億円を超える人もでてきています。

これまで日本におけるeスポーツの盛り上がりはいまいちでしたが、現在開催中(2017年9月21日〜9月24日(一般公開日は23〜24日))の「東京ゲームショウ2017」の初日、関係者だけで入場できるビジネスデイ初日の段階から“eスポーツがすごい”という声をあちらこちらで耳にするようになりました。

東京ゲームショウ2017における「eスポーツ」の動きは主催者の企てによるものでした。特設エリアを設置し、「e-Sports X(イースポーツクロス)」という巨大な対戦ステージを2つ「PlayStation presents BLUE STAGE」(ステージ協賛:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)と「Samsung SSD presents RED STAGE」(ステージ協賛:日本サムスン)」を用意し、そこで連日競技を繰り広げるというものです。

競技は以下のゲームタイトル

「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」
「モンスターハンターダブルクロス Nintendo Switch Ver.」
「カウンターストライクオンライン2」
「ストリートファイターV」

それぞれで日本国内外のトップ選手やチームを招へいして以下のようなスケジュールで対戦が行われるということです。

2017年9月23日(土)の内容

[PlayStation presents BLUE STAGE]

11:00~12:30
「ファンタシースターオンライン2」
「アークスバトルトーナメント エキシビションマッチ(予定)」
運営:セガゲームス

13:00-14:30
「ウイニングイレブン 2018」
運営:コナミデジタルエンタテインメント

15:00-16:30
「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェアSCARZ vs Rush CLAN TGS2017頂上決戦」
CoDで数々の名勝負を繰り広げてきた2チームが東京ゲームショウ2017で激突!Professional eSports Teamの「SCARZ」とCoDの有名クラン「CLAN Rush」によるエキシビジョンマッチを開催いたします。強豪プレイヤーたちのスーパープレイを見逃すな!
大会運営:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

[[Samsung SSD presents RED STAGE]

13:00-14:30
「モンスターハンターダブルクロス Nintendo Switch Ver. トップハンター最速決定戦 in TGS」
モンスターハンターダブルクロス Nintendo Switch Ver.
トップ選手によるエキシビションマッチを展開予定です。
Gzブレインがプロデュースする「ファミ通セレクト」ステージです。
大会運営:Gzブレイン(協力:カプコン)

15:00-16:30
「パズドラレーダー最強バトルトーナメント決定戦」
大会運営:Gzブレイン(協力:ガンホー・オンライン・エンターテイメント)


2017年9月24日(日)の内容

[PlayStation presents BLUE STAGE]

14 :00-17:00
「ストリートファイターV 昇龍拳(SHORYUKEN)トーナメント」
ワールドワイドで活躍するトッププレイヤー8名を招待したシングルトーナメントマッチ。優勝賞金100万円 2位50万円をめぐり、真剣勝負を繰り広げる!
大会運営:カプコン

[[Samsung SSD presents RED STAGE]

11:00-13:00
「OMEN by HP presents OVERWATCH ドリームマッチ TGS 2017」
人気ゲーム『OVERWATCH』の公式大会「World Cup 2017」のグローバル公式パー トナーであり「Championship Series」の推奨PCであるOMEN by HPが、「World Cup2017」の日本代表を中心としたドリームチームと「Championship Series」優勝チームを招聘し、スペシャルマッチを開催!激戦に注目せよ。
大会運営:日本HP(協力インテル)

14:30-16:00
「カウンターストライクオンライン2 エキシビションマッチ』(仮)」
トップ選手によるエキシビションマッチ。カウンターストライクシリーズのレジェンドプレイヤーnoppo氏率いる「noppo選抜チーム」とプロeスポーツチーム「DetonatioN Gaming」が対戦!マッチモード(爆破)はもちろん、9月に実装予定の新モードもプレイ!
大会運営:ネクソン

すべてプレイヤーを招へいしてのエクシビジョンマッチではありますが、世界で注目されるプレイヤーが実際に対戦をする枠もありその雰囲気を伝えようという意気込みが伝わります。

日本におけるeスポーツ

日本でも競技性の高い対戦型ゲームは昔から存在していましたが、今、世界で起こっている「eスポーツ」の流れはPCベース。日本はたびたびPCゲームの率の低さが取り沙汰されており、海外からみるとeスポーツにおける日本は存在感が全くありません。実際、Dota2など主要な「eスポーツ」タイトルのランキングをみても、上位リストに日本人プレイヤーの名前を見ることは滅多にありません。

今回、東京ゲームショウ2017で繰り広げられる「e-Sports X(イースポーツクロス)」では、日本発のタイトルである「モンスターハンター」や「パズドラ」がミックスされています。世界のPCベースのeスポーツへの感心を高める呼び水としてのバランスを整えつつ、日本独自の流れを強めたい考えが見受けられます。また、世界で突出して成長するスマホの対戦ゲームを「eスポーツ」として採用するという動きもすくなからず出てきている状態です。

スポーツか虚構か

「eスポーツ」は、欧米では本当のスポーツのように高額な放映権のやりとりが成されており、テレビ中継も行われるようになりました。そのため優勝賞金が10億円を超えるようなことも起こっているという状況です。より大規模かつ、世界規模でトップ争いをすべく、eスポーツの選手に「P1ビザ」を発行することで、国をまたがった規模の「eスポーツ」競技が展開できるようになったという経緯があります。

ただ、「eスポーツの地位向上が十分なわけではない」「全ての大会に共通するプロライセンスがあるわけでもない」と東京ゲームショウ2017の初日基調講演「日本におけるe-Sportsの可能性」のトークセッションで海外ゲストらから発言もありました。市場全体で見たときに、大きな利益を得ているのはパブリッシャーだけという厳しい見方もあります。eスポーツの選手を増やすことの重要性はあるものの、プロとして生計を立てられるような社会保障などの整備が不可欠で、それらのバランスを取りながら健全な競技としての成長が求められています。

再び日本に関連するところでいうと、2018年と2022年に中国・杭州で開催されるアジア競技大会の公式種目に「eSports」を採用することが決まっています。アジアオリンピック評議会(OCA)が、中国のアリババグループが設立したスポーツ団体「Alisports」と協力して実現したことです。

こうした近隣諸国の流れを受け、日本でも一般社団法人「日本プロeスポーツ連盟」が立ち上がっており、国際eスポーツ連盟に加入するほか、日本で行われるeスポーツ競技会に参加する韓国の選手にアスリートビザを発行するなどの活動がすで始まっています。さらに、今回の東京ゲームショウ2017では、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)・一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)・一般社団法人日本eスポーツ協会(JeSPA)・一般社団法人e‐sports促進機構・一般社団法人日本eスポーツ連盟(JeSF)の5団体がeスポーツ団体の統合・新設に向けて取り組みを開始するという記者発表(PDF)がありました。

「eスポーツ」はスポーツではありません。しかし競技性のあるものである。ということは間違いないといえます。たかがゲームとはいえ、努力を重ねなければ勝利することはできませんし、才能や運も必要で、それが多くの人を魅了する理由なのですが、それを理解できる世論はまだまだ整備されていないというのが現実のようです。

これから始まること

日本では、2017年6月にカヤックがeスポーツ専門会社「ウェルプレイド」社を子会社化したり、CyberZが2017年9月18日に大規模なeスポーツイベント「RAGE vol
.5 シャドバフェス」を東京ビッグサイトで開催する動きがありました。さらにフジテレビが2017年11月18日~19日、お台場フジテレビ本社ビルを大々的に使った初のeスポーツイベント「いいすぽ!presents Tokyo E-sports Festival」を開催する予定で、いよいよeスポーツがテレビ中継される日がくるのかもしれません。

東京ゲームショウ2017のeスポーツ関連展示ブースでは、eスポーツ先進国である韓国発の100人対戦ゲーム「プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ」を出展。このタイトルはグローバルタイトルでありながら日本のプレイヤーも多いということで、新たな動きとして期待されています。もう一つは、「DREAM TEAM」という東欧のeスポーツ選手マネジメント企業が出展しており、日本の選手を獲得しようとしています。

【関連URL】
・「e-Sports X(クロス)」ステージ
http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2017/public/event/esportsx/index.html
・TechWave的「東京ゲームショウ2017」まとめ、ゲームの深化とVR
http://techwave.jp/archives/summary-of-tokyo-gameshow-2017.html
・カヤックが国内唯一のeSports専門会社を子会社化
https://techwave.jp/archives/post-28743.html

蛇足:僕はこう思ったッス
 PCゲーム市場のあおりを受けて、ゲーミングPCは世界で成長を続けている状態。日本でもMSIやエイリアンウェアなどがゲーミングPCを積極的にアピールしているのを見受けられると思う。なぜPCゲームか?というと、例えば同じタイトルでもPC向け(SteamなどのPC向けマーケット)は価格が安いということもありそう。とはいえPCだと十分なスペックを持つものは20万円程度はかかるのでどっちもどっちかもしれないですが、PCはゲーム以外の用途でも使われるわけで、総合的に見るとPCゲームの方の魅力が増しているのかもしない。あとeスポーツはリビングでみんなでやるものではないから、個室で集中するにはPCゲームの方がフィットするのだろう。あと、eスポーツそのものについて、FPSなどはまったことがある人はわかると思うけど、確かに競技性は高いと思う。ただ、世界eスポーツシーンでも問題になっているように、リアルのスポーツにあるようなドーピング的な問題も横たわっている。
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