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米国におけるデモグラフィックの真実とマーケットで成功しているあの日本企業 【米国マーケティング新潮流を追う vol.3】

変化が著しく、かつ様々な分野において最先端の取り組みがなされるアメリカ。ここでは、在米30年で、これまで数々の日系企業の米国進出をサポートしてきた、MIW Marketing & Consulting Group,Inc. の代表 岩瀬昌美氏による現地レポートをシリーズでお伝えします。売り場、現場の最前線で何が起きているのかはもちろん、いまなお米国に在住しているからこそ分かる生活者の反応や日本市場との対比なども交えてお届けします。
3回目は、多くの日本企業が誤解している米国のデモグラフィックデータとターゲティング、そしてその中でも成功している日本企業についてお伝えします。

多くの日本企業は30年前の米国をイメージしてマーケティング施策を立てる

ここアメリカには、アメリカ人に自社の商品を売りたいという日本の企業がどんどん進出してきています。しかし、その中できちんとターゲティングをしている企業は少ないと実感しています。まず、アメリカ人に売る=白人に売る、それもジェネレーションZ世代に、と思っている企業があまりに多いのです。

今やアメリカにおける白人のモード(最頻値)は58歳。これをご存知の方がどれくらいいるでしょうか? 実際のところ、最も多い世代は、ほとんどがベービーブーマーと呼ばれる退職前後の人なんです。どうしてこうなってしまうのでしょう? 30年前のアメリカを経験したマーケターが日本ではエグゼクティブになっていたりするのでしょうか?

一方、日本においては「違法移民が多いのでは」という面ばかりが報道されがちなヒスパニック系。こちらは29.5歳が中央値で、62%のヒスパニック系は英語が第一言語。人口もカリフォルニア州では既に白人を抜いて1位となっています。米系企業はそれを熟知していて、P&Gは実に年間3億ドルをヒスパニック向けの広告費に充てています。

ちなみに、米国における広告出稿上位50社には、AT&T、マクドナルド、ネスレなどのそうそうたる顔ぶれが顔を並べています。その中で日本企業は日産、トヨタ、ホンダの自動車車3社とスプリント(ソフトバンク)のみ。明らかに出遅れています。

最後にとても興味深い話を一つ。米国に展開している日本企業でターゲティングに大成功しているのは、なんとあのYOSHINOYA(吉野家)です。カリフォルニアに100店舗以上もあるのです。メインターゲットは日系人でも東洋人でもなく、ずばりヒスパニック。メキシコ料理を食べたことがある人ならご存知のように、彼らの主食は米と豆、つまりお米を毎日食べるんです!彼らのために、YOSHINOYAの店舗にはメキシカンに出てくるあの辛いサルサがあります。人口も多く、若く、お米を毎日食べるヒスパニック。日本の会社はここをもっとここをターゲットとしないと本当にもったいないです。

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