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アプリがプログラミングなしでつくれる『Yappli』運営のファストメディア 代表取締役 庵原 保文氏、取締役 佐野 将史氏のインタビュー【@masaki_hamasaki】

 プログラミングや専門知識が一切不要のアプリ制作プラットフォーム『Yappli』を運営するファストメディア株式会社、代表取締役 庵原 保文氏、取締役 佐野 将史氏のインタビューを行いました。

 『Yappli』はiOSとAndroidのアプリをブラウザで簡単に制作できるサービス。

 お話を伺った代表取締役の庵原 保文氏は、出版社、ヤフー株式会社、シティバンクのマーケティングマネージャーを経てファストメディア株式会社を創業。

 取締役の佐野 将史氏は、ヤフー株式会社に新卒で入社後、Yahoo!ファイナンスのiOSアプリやスマートフォンサイトを開発し、庵原 保文氏と取締役の黒田 真澄氏と3人で創業しました。

 ファストメディア株式会社は、2015年の9月1日にグロービス・キャピタル・パートナーズ、Salesforce Ventures、YJキャピタル、個人投資家でDeNA共同創業者の川田 尚吾氏を引受先とした総額約3億3000万円の第三者割当増資を実施。

 サービスを利用する企業は大手企業を中心に200社以上を超えています。『Yappli』のサービスページに行くと、豊富な導入事例が掲載されています。

 アパレル関係だけではなく、GYAOでは採用目的で活用しており、新生銀行などの銀行でも導入がされているようです。

アプリ開発ツールではなく、マーケティングプラットフォームになりたい

 
 インタビューで印象的だったのが、「私たちは、マーケティングプラットフォームになりたいと思ってプロダクトを開発しており、開発ツールを作る会社ではない」という発言。

 「設立当初から、いろんなブランドに導入してもらっていた。」

 「みんなアプリを作りたいわけではなく、マーケティングの課題を持っている。そういった課題をアプリで解決しますよ、と提案している。」

 「アプリのテクノロジーを使って、ソリューションを提供したい。マーケティングの課題解決エンジンになりたい。」

 「アプリのテクノロジーを使って、WEBではできないマーケティングの手法を提案していきたい。」

と語った。

Yappliの利用ユーザー。そして、海外展開

 『Yappli』の利用ユーザーは、ファッションブランドをはじめとする小売通販の企業が多い。最近では、メディア系のアプリや、オウンドメディアとしても活用され始めているようだ。大手企業にも導入がされており、ソフトバンクや東芝など社員共有のアプリにも使われているとのこと。

「ファッションブランドは、商品回転率が高いことからリピーターの育成に各社注力している傾向がある。アプリの場合、プッシュ通知の配信やサクサク動く操作性で、スマホサイトに比べてユーザーのアクティブ率が非常に高いことから、ロイヤルカスタマーを増やしていきたいという方や顧客の囲い込みを行いたいという方に最適なマーケティング手段。そのため、リピート重視のファッションブランドとの親和性が高い。」

「スーパーやドラッグストア、飲食店などでも、スマホを使ったマーケティングは販促のキーポイントになってる。チラシの電子化やお得情報のプッシュ通知など、来店・購買促進を目的としてアプリを導入される方が多い。」

「また今後は海外展開も視野に入れており、マーケティングを考えた時に、アプリの利用率が高い場所として北米、中国などを考えている。」と語った。

今後のサービス展開

 創業当初はコンシューマー向けに提供していた製品だったが、ニーズがそこまで強くなかったこともあり、エンタープライズ(企業)向けの戦略に変更をしたとのこと。

 直近では、株式会社ライトオンが運営する「Right-on」にオムニチャネル対応アプリの提供を開始。

 オムニチャネル(実店舗やオンラインストアなども含めて、販売チャネルや流通チャネルを統合すること)の流れにも合わせて、『Yappli』へのポイント連携機能も追加したようだ。これにより、店舗ポイントカードをアプリに統合することができる。

 「業界の流れとして、ユニクロもポイントカードレスにしており、Yappliではポイントのプラットフォーム機能を作っている。アプリを利用することで、会員に紐付いて、ターゲティングのプッシュ通知を打つことができる。顧客情報と、行動履歴を取得することで、アプリを活用してのオムニチャネル化を促進していく予定。」

 今後は、アプリ版のCRMとして機能追加を行っていき、会員連携のプッシュ通知や、チャット機能やお気に入り機能なども追加予定とのこと。更には多言語化対応も準備しているようだ。

 以前よりニーズの高いチャット機能は夏頃を目処にリリース予定。更に、プラットフォームのオープン化を考えており、外部の機能との連携も積極的に進めていくとのこと。。

 従業員は、4月時点でアルバイト含めて30名ほどで、営業、開発、制作の3部署あり、それぞれで増えているとのこと。2015年の9月に増資を受けてから、人材への先行投資、マーケティングの先行投資を続けているよう。またアプリ市場も非常に盛り上がってきているようだ。

 「アプリを使ったマーケティングは、まだまだこれからで、今年に入って凄い勢いで引き合いが増えている。4月よりセミナーを始めたが、毎回100人以上の応募があり、大盛況だ。」

 「アプリ市場はこれまでゲームが牽引していたが、一般企業のマーケターの方も自社のオウンドメディア利用を考える中で、アプリ利用が増えている。」

 また、サービス作りへのこだわりはとても強いようだ。

 「個別に開発するのではなく、各企業のビジネルを加速させるためのマーケティングプラットフォームを作る。アプリのテクノロジーを使って企業のマーケティングの課題を解決する。どの企業もやっていない領域なので、日々わくわくして取り組んでいる。」

■関連URL
アプリ開発・制作をクラウドで実現するYappli(ヤプリ)

蛇足:僕はこう思いました
インタビューをしていく中で、一貫してテクノロジーへの強い思いを感じた。海外への強い思いも感じた。実際に既に、International Versionのプロモーションビデオも用意されている。プログラミング無しで作れるアプリ開発ツールとしては、アプリビルダーや、アプスタなどあるが、これだけ企業利用されているのは、『Yappli』以外にないのではないか。野村総合研究所の調査によると、国内の企業と消費者間の電子商取引市場は、2014年度の12.8兆円から2021年度には25.6兆円に達する見込みとのこと。
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