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メディア企業のさらなる参加を! 効率化からクリエイティブ&コンテンツの質へ【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.12】

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回はライオンの小和田みどり氏が登場。デジタルとリアルの施策を統合していくうえで必要な効果測定のあり方や、コンテンツの質の重要性について語ってもらいました。

ライオン株式会社 宣伝部長小和田 みどり氏

ーここ数年で、広告主側の仕事のやり方が大きく変わっているように感じますが、貴社ではいかがでしょうか?

当社について言えば、いままさにマーケティング手法を変革する過渡期にあたります。その背景にあるのが、商品のコモディティ化の加速、情報過剰による消化不良です。その状況で、我々が扱う日用品カテゴリーについては、無関心な層が増えています。それは都市圏で顕著で、よく言われていることですが“従来の広告が効かなくなってきた”ということを実感しています。

これまでは、生活者にメッセージをどのように届けるのかという手法やタイミングに注力してきました。様々な経験を積んだことで、効率的に届けることについてはある程度やり方が見えてきています。今はそのうえで「何を伝えればいいのか」というクリエイティブの質に注目しています。

ー届けるコンテンツに注目するようになると、メディアを見る目も変わるのではないですか?

確かにそうですね。例えば、テレビCMなどは、デジタルとの比較やCM飛ばしといった課題面ばかりが目立って語られがちです。しかし私としては、テレビ局の方々に視聴者が観たいと思う魅力的なコンテンツを制作して「土壌を耕してほしい」と思っています。そこでの興味・関心が高ければ、その先のテレビCMが見られるかどうかについては、企業側のクリエイティブの責任だと思っています。もちろんCMを流すタイミングはテレビ局側が決めることなので、そこでの工夫はしていただきたいです。ただ、我々が商品の品質向上に力を入れるのと同様、テレビ局側も、恐れずに質の高いコンテンツ作りにチャレンジしてもらいたいと思っています。

ーテレビの視聴方法もさまざまになり、良いコンテンツであれば多くの人が見るようになりました。

だからこそ、今の視聴率の測定方法には課題があると感じています。誰が、どのデバイスで、どのタイミングで、どんな視聴態度なのかを測定できる環境も整っているだけに、現在の数値が現実離れしてしまっているように思います。真実の測定結果と向き合うことはある意味怖いことかもしれませんが、いつまでも現実とかけ離れたデータを元に話をしていては、発展は望めません。最近、アドテックにはテレビ局の参加も増えてきましたが、広告にかかわる人ばかりでなく、もっと編成部門の方たちにも来ていただいて、コンテンツの質や視聴率のあり方などを一緒に議論できれと思います。

ーテレビ局だけでなく、ほかのメディアの方にも参加いただきたいですね。

そうですね。あとは、テレビ局、雑誌社、新聞社、ラジオ局といったマスメディアの企業が、デジタル時代にどのように顧客を取り込もうとして、どんな施策をしているのかにも興味があります。先ほど、企業から発信するコンテンツの重要性についても話しましたが、当然メディアの方々の視聴者・読者を増やすためのコンテンツ作りや情報発信も変わってきているはずです。今年のアドテックにはそうした面での充実も期待したいですね。

ー広告主側に向けて、ほかにメッセージはありますか?

広告主側も「すぐに効果が出る」といった、テクニック的な話ばかり気にするのではなく、テクノロジーそのものがもたらすことにもっと関心を持たなければいけないと思います。また、もっとマーケティング全体にかかわる立場の人が、アドテックに参加するとよいと思っています。私自身、ほかの広告に関するセミナーやイベントに参加することも多いのですが、アドテックで会う人たちとは層が異なると感じることがあります。アドテックで語られるような内容は、もっと広告主側の社内で共有するべきだと思いますので、ぜひほかの部門にも積極的に参加を働き掛けてほしいですね。
そうして参加者の層が厚くなると、例えば「メーカーがバイヤーとの商談で使用できる新しいマーケティングコミュニケーションの共通指標とは?」など、デジタルとリアルが結びついたテーマのディスカッションが深まっていくと思います。

ー我々も、より幅広い参加を募るように情報発信していきたいと思います。ありがとうございました。

小和田 みどり
ライオン株式会社
宣伝部長

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