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分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2

ボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

 IBMのレポート「The end of advertising as we know it(われわれの知っている形の広告の終焉)」は、現時点で4つの領域で大きな変化が進行中だという。
 その4つの領域とは「アテンション」、「クリエイティビティ」、「測定」、「広告枠」だ。
 そこで、この4つの領域について考察するというIBMレポートの構成に沿う形で、わたしなりのメディア、広告の未来図を形作っていきたいと思う。
▼技術革新が決める究極の未来の方向性

 さて広告の変化を軸に日本の広告、メディア、ネット業
界、産業界は今後どのように変化していくのかというのが、この本のテーマである。IBMのレポートは大変示唆に富むものではあるが、日本の広告業界の商慣
習は今日でも欧米のそれとは大きく異なるといわれることが多い。IBMレポートの予測は、世界の広告業界の未来予測であるとしているのだが、その予測が日
本にも完全に当てはまると断言されると、抵抗を感じる人は多いことだろう。

 ただ日本の広告業界も、長期的には技術革新の大
きな影響を受けることは間違いない。時間差はあるものの産業革命が世界中のすべての先進国に同じような影響を及ぼしたように、情報技術革命も長期的にはす
べての先進国に同じような影響を与えるであろう。今押し寄せてきている技術革新の波の大きさを考えた場合、ほとんどの文化的特殊性は、最終的にこの大きな
波に飲み込まれると考えていいからだ。ということは日本の広告業界の究極の未来を予測する上でも、
IBMレポートの技術動向をベースにした議論の進め方は有効なはずである。

 究極の未来に文化の差はないとはいっても、日本
の文化的特殊性がどの程度堅牢なのかはだれにも分からない。1度の津波では崩れないかもしれないし、数回津波が押し寄せれば崩れるかもしれない。ほとんど
の場合、究極の未来よりも近未来を予測するほうが、困難なものなのである。

 そこでこのIBMレポートの議論の進め方を借りて、わたしが考えるメディア、広告業界の究極の未来をまず予測してみたい。その上で日本の広告業界の特殊性を考慮し、日本のメディア、広告業界、一般事業法人に関する近未来予測を試みたい。

▼分断される消費者の関心

 アテンションとは、注意、注目のこと。メディア消費のことである。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といったマス4媒体に加え、
ネット、ケータイを中心にいろいろなメディアが登場している。日本でも、YouTube、ニコニコ動画といった動画サイトは非常に人気だし、mixiなど
のコミュニティーを長時間利用する人も多い。あまりに長時間利用が多いので職場でのmixiを禁止している企業もある。またケータイの領域では、ゲームサ
イト「モバゲータウン」が中高生の間で大人気だし、ケータイの日記サイトから生まれたケータイ小説は書籍化されベストセラーリストの上位を占めるように
なっている。

 こうした新しいメディアが次々と登場しても、人間の1日は24時間のまま。つまり消費者の時間、注意、注目をめぐり、メディア間で取り合いが始まっているわけだ。

 IBMのレポートによると、米国ではテレビは「2番目以降のバックグランドのメディア」になっているという。視聴者の最大の注意、注目を引きつけるのは、インターネットであり、チャット(文字による会話)、ゲームである、としている。

 
こういう話をすると、日本人の中高年から必ずといって反論がくる。「それはアメリカの話でしょ。日本とアメリカは違うよ」と。もちろん日本と米国には異な
る点が多い。しかし気をつけないといけないのは、今はメディアの変革期で過渡期であるということだ。社会の中に幾つものメディア消費の形が存在し、自分や
自分と同世代のメディア消費の形が社会の一般的な形であると考えていては、大きく誤ることがある。

 わたしがそう考えるよう
になったのは、メディアの変革をテーマに数多くの講演をするようになってからだ。毎回同じように「今はメディアの変革期である」という主張をするのだが、
その会場によって聴衆の反応がまったく異なるのだ。「そんなことはない。日本ではテレビ、新聞は今後も主流のメディアであり続ける」という反論が飛び出す
会合があれば、「当たり前で陳腐な話。予測でも何でもない」と反論される会合もある。

 どうやらメディア消費の現状認識には何通りかあり、認識の違いは年齢をベースにしているようなのだ。

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