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日本のネットベンチャーはなぜ世界を目指さないのか

    Infinity Ventures Summitの二日目、というか正式プログラムの初日が終わった。やはり海外の参加者と話していると、いろいろおもしろい。MarkeZine向けのプレイベントの記事にも登場してもらったフランス人実業家でブロガーでもあるLoic Le Meur氏のプレゼンテーションがあった。非常にフランクでひょうきんな人柄は舞台の上で変わらず、本当におもしろいおじさんだ。多分、僕より年下。ショック!


 そのひょうきんおじさんの発言にイタク共感するところがあった。「日本の経営者は日本というマーケットだけで満足しているところはないだろうか」とひょうきんおじさんは言う。海部美知さんの言うところのパラダイス鎖国に陥っているのではないか、ということだ。
 フランスのネットビジネスの経営者たちも世界展開を考えている人は少ないという。自分の慣れ親しんだローカルマーケットは心地よいし、マーケット規模もそれなりにある。リスクを背負って違う言語のマーケットに挑戦する必要もないのではないか・・・。
 しかしフランスやヨーロッパのネット企業で世界企業として生き残っているところがあるだろうか。ほとんどすべてのヨーロッパのネット企業は、アメリカのIT大手に買収されているのが現状だ、とひょうきんおじさんは指摘する。テクノロジーは国境を越えるのだ。
 「工業化時代には、日本はニッサン、トヨタ、ホンダ、ソニーなど、世界的ブランドを幾つも生み出した。今、ネットビジネスの領域で世界ブランドになりそうな企業は日本にあるのか」とひょうきんおじさんは問う。

 これは何もネット企業の経営者の問題だけではない。教育や産業界を始め、日本社会すべての問題だ。確かに就業人口や総売上高でみても製造業とネット産業は比較にもならない。ある官僚は「ネット産業なんて日本の産業全体から見れば、ゴミ程度の規模」と語ったらしいが、産業規模を比較すれば確かにその通りなのかもしれない。しかし可能性でみればどうなのだろう。
 時代が工業化社会から情報化社会に移行している、という認識は本当の意味でまだ共有されていないのかもしれない。その認識のもと、日本社会全体として新しい時代に向け自己変革に努めているとは、到底思えないのだ。IVSの記事は不要と会社が判断したことに怒って書いているわけではありません。

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