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mixi年賀状でメディアビジネスの次のステージに

 「次世代マーケティングプラットフォーム
」の中で「メディアはコミュニティーになり、メディアの競争力の源泉はマーケティングに必要なユーザー情報の集積になる」というようなことを書いたんだけど、ミクシィはその競争力の源泉をつかむ方向に一歩コマを進めた。昨日発表のあったmixi年賀状のプロジェクトの発表会に出て、そう確信した。
 もちろんユーザー情報を集めて絶対的な影響力を持つ、とかそういうことを狙ってミクシィはこのプロジェクトを始めたんではないだろう。単にユーザーサービスを1つ増やしたいという思いだろうし、次の展開としては「mixi暑中見舞い」程度のことぐらいしかまだ具体的に考えていない、というのも本当なんだろう。
 しかし匿名ユーザーが圧倒的に多いmixiというコミュニティーの中で、株式会社ミクシィはユーザーの住所、氏名という情報を入手するのである。今日、ユーザーの住所、氏名などの個人情報を入手するのは簡単なことではない。もしミクシィが「住所、氏名をお知らせください。いろいろなサービスに利用できますから」とユーザーに頼んでも、それだけではだれも応じないだろう。しかし「あなたのマイミクがあなたに年賀状を送ることを希望しています。受け取る場合は住所、氏名をお知らせください」というメッセージが送られてきて、それに「ノー」と答えるユーザーはほとんどいないのではないだろうか。

 今後ネット上の物販サイトの数は大手2、3社に収れんされるのではないかと思っている。なぜならもしどのサイトでも同じような品物を売っているのであれば、信頼できるサイト、既に自分の個人情報を持っているサイトから買う人が多くなるのではないだろうか。だってほとんどのユーザーは、できれば自分の個人情報をあまり拡散したくないと思っているから。
 アマゾン、楽天、Yahoo!などの大手以外のECサイトは、やがて独立系としては運営できなくなるだろう。といって競合であるECサイトの傘下に入るわけにもいかない。そういった中小のECサイト、通販業者は、日本郵便に続いてどんどんミクシィとの提携を模索し始めるのではなかろうか。

 

ミクシィは、広告を超える新たな巨大収入源を得る可能性があるわけである。


 ビジネスモデルの変化に気付かない既存メディアを尻目に、新興メディアであるmixiは新しいステージに進んだのである。「コンテンツとともに表示する広告を収入源にする」というビジネスモデルから「コンテンツを核にコミュニティを形成し、その上でのマーケティング、流通を収入源にする」というビジネスモデルに、メディアビジネスが変化し始めたのだ。
既存メディアの中のほとんどの人は、mixiがメディアであることにもまだ気付いていないんだろうなあ。

 さてこのスキームを企画した博報堂DYメディアパートナーズの担当者って、目のつけどころがなかなかシャープだなと感心。ミクシィは日本郵便という既存大手と組むことでステータスを向上できるし、日本郵便のほうは若者の年賀状離れを食い止めることが期待できるとあって、話を持っていけば簡単にまとまることが分かっていたんだろうな。Good Job!

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