1990年代初頭から記者としてまた起業家としてITスタートアップ業界のハードウェアからソフトウェアの事業創出に関わる。シリコンバレーやEU等でのスタートアップを経験。日本ではネットエイジ等に所属、大手企業の新規事業創出に協力。ブログやSNS、LINEなどの誕生から普及成長までを最前線で見てきた生き字引として注目される。通信キャリアのニュースポータルの創業デスクとして数億PV事業に。世界最大IT系メディア(スペイン)の元日本編集長、World Innovation Lab(WiL)などを経て、現在、スタートアップ支援側の取り組みに注力中。
いわゆるマス広告が崩壊し、その代わりに次世代マーケティングプラットフォームとでも呼ぶべきマネタイズ手法が確立したときに、メディアはどのような形になっているのか。
マーケティングプラットフォームを可能にするのは各種データである。検索エンジンへの検索キーワードから始まって、行動ターゲティング、ウェブ解析、
ソーシャルグラフ(人間関係)などなど。こうした自動マーケティングを可能にするデータを最も多く持つであろうサイト形態は、コミュニティーである。ソー
シャルメディア、参加型メディアである。
つまり参加型メディアが現在のマスメディアの進化形であり、既存メディアが参加型メディアに進化することができれば、広告市場の縮小に伴い窮地に陥りつつあるメディアビジネスは、マーケティングプラットフォームが確立するころには再び収益率の高いビジネスになる可能性があるわけだ。
ただマーケティングプラットフォームがいつ確立するのかは分からない。確立するまでの間は収益性の低い、現状のオンライン広告で、コミュニティを運営し続けなければならない。経営者が、マーケティングプラットフォームというビジョンをどれだけ強く信じることができるかのか、マーケティングプラットフォームが確立するまで収益性の低いビジネスを続けるだけの体力がその企業にあるのかのかどうか。こうしたことがメディア企業の今後の明暗を分けるのだろう。
収益性の低い時期に学ぶべきことは2つ。1つは、データ解析。どのようなデータとどのようなデータを組み合わせることで、ユーザーが求めるような情報、サービス、商品を提供できるのか、というノウハウを蓄積させるべきだろう。
もう1つは、コミュニティ運営のノウハウ。ユーザー同士の対話、企業とユーザーの対話をどのように促進し、意義のある対話をどのように増やしていくのか、というようなノウハウだ。
この2つのノウハウを確立したメディア企業は、マーケティングプラットフォームが確立した時代においても成功することだろう。
もし従来型メディア企業が、こうした方向に進まなかったり、進んでも成功しないのであれば、mixiなどの新興メディア企業が影響力を拡大させることだろう。一般企業が自社サイトを参加型メディアに進化させることだろう。
こうしたメッセージを従来型メディア企業関係者に訴え続けているのだが、残念ながらなかなか伝わらない。「次世代マーケティングプラットフォーム
」を読んだ従来型メディア企業関係者は何を感じたのだろうか。そもそも読んでくれているのだろうか。
自分でもコマーシャルを作ってみました。ホントだ、簡単に作れる。結構おもしろいかも。