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AppleがiPhoneに搭載されている基本ソフト(OS)を新しい機器に搭載するためのチームリーダーの募集を始めたことで、Appleが手がける次の機器に関心が高まっている。
3月末発売予定のタブレット型パソコンiPadにもiPhone OSが搭載されているのだが、AppleはiPhone OSで次にどんな機器を作ろうとしているのだろうか。パソコン向けOSよりも小型で、タッチパネル機能がついていて、ゲームなどのアプリが豊富に揃っているiPhone OSを使って、どんな機器の開発の可能性が高いのだろうか。
前回の記事「AppleがiPhoneの基本ソフトで家電業界に本格参入か」に対してTwitter経由などでたくさんの意見が寄せられた。「Apple TVじゃないか」という推測から「こんな機器を作ってほしい」という要望まで、その内容はさまざま。「既に家電メーカーになっている」という意見もあれば、「集中戦略を取っているので家電業界本格参入はありえない」という意見もあった。ちょうど偶然にもAppleのナンバー2のTim Cook氏が米サンフランシスコで開催されたカンファレンスに登壇し、Appleの戦略について語っている。読者の意見とCook氏の意見を照らし合わせてAppleの次の戦略をあぶり出してみたい。
▼「固定電話」「カーナビ」「注文パネル」「AppleTV」?
具体的なデバイスについて読者の意見を幾つかピックアップしてみよう。
Daisuke1972 says: 非常にベタで恐縮ですが「固定電話機」というのが一番しっくりきます。
makotaka says: カーナビが先かと読んでますた…
keng32 says: Appleの家電かぁ。。ファンタジックな掃除機とかクリエイティブな炊飯器とか??
KATOPAPA says: 冷蔵庫内を映すモニターや家族への電子伝言板があってもおかしくないよね.
_Noilly_ says: 居酒屋の注文端末がiPadだと行く
masmt says: 同じこと考えてる人いたw RT @kokubucamera: ファミレスの注文パネルがiPhoneOSとか夢広がる!
Pachi613 says: ホームコックピットみたいなコンセプトなんか良さそう。壁がタッチパネルになってて、冷蔵庫の中身から郵便着信まで一元的に把握・管理できるとか。
migno デジタルフォトフレーム
a_yoshii says: ギター用マルチエフェクターやスイッチングシステムに搭載してほしい。
okc37 says: Appleが家電業界に、ってことはやはり…iPadでエアコン操作とか出来る日がくるのか!?テレビ番組表+リモコンが一番需要ありそう。
chikura_jp says: 出てくるとしたら「TV」側じゃなくて「リモコン」側だろう。
希望的観測も多く含まれているようだが、僕が注目したのは最後の意見。新しいタイプのリモコンって面白そうかもしれない。確かにAppleはテレビの領域には非常に関心を持っているようだ。Cook氏の意見を紹介しよう。
“Apple TV is still a hobby. The reality is that Apple TV is in a market that is very small today….But we’re going to continue to invest in it because our gut tells us there’s something there….We have no interest in the TV market.”
Apple TVは今のところは趣味みたいなものさ。本当のところAppleTVの市場って今日ではそんなに大きくない。でも第六感っていうのか、何か非常に大きな可能性を感じるんだ。だからこれからもApple TVに対しては投資を続けて行くつもり。でもテレビを作るつもりはない。
いずれ機が熟したときに、Appleは映像メディアの領域で何か新しい機器を開発してくるのではなかろうか。既存のテレビとかではなく、何か新しいタイプの機器を。
コメント欄にsqrさんは次のように意見を寄せてくれた。
素人の安易な想像としてはやはり家庭内においてテレビ・音楽等のメディアコンテンツを統合したサービスを提供できるプラットフォームかと思います。
今は何かするにも結局PCを経由しなければ管理が面倒なのと、どうもAppleTV単体では「帯に短し襷に流し」な感が、いまいち普及しない理由なのかなぁと考えています。
HDD内臓でダイレクトに音楽を高音質で楽しめるオーディオ、管理はテレビモニタを使ってリモコンで。iPodは無線で本体と同期可能とか。テレビでのネットブラウズを可能にし、音楽/映画等のコンテンツもiTunesで今より簡単に入手できるように。
リモコンはtouch、iPhoneのアプリや、wiiのようなものも良いですね。
要するに仕事以外の時にはPCは立ち上げなくても良い、と。
▼家電業界への本格参入
今回の人材募集が家電業界への本格参入になるのかどうかについては、次のような意見があった。
urasimadoctor Macintosh(厳密にはLisa)以降,Appleが作ってきたものは”家電”に他なりません。IBM互換機のように,複雑なコマンドやハードウェアに関する知識を必要としない,だれでも使えるパソコンというものは,パソコンという敷居の高い製品を家電の領域にまで下げたということができます。元々,Appleがやってきたことは今やっていることと変わらないのです。
hoshi_ak says: 日本の家電メーカーはandroidで対抗すると思う。
enot says: 絶対にない。それにCEという意味の家電大国は日本じゃなく韓国…
syuu1228 says: 無いな。必ずターゲットを絞ってくるし、他社にライセンスはしない。
確かにApple Computerという名前からAppleに社名を変更した時点で、既にコンピューターメーカーから脱皮していたわけで、そういう意味では既に家電メーカーと呼べるのかもしれない。
Cook氏はAppleをどういう形容詞で呼ぶのだろうか。Business Insiderが質疑応答の詳細なメモを取っていた。
4:10 Q&A begins. Steve Jobs was very clear about leadership in mobile devices. Is that how we should think about Apple at this point? Tim Cook: Yes. Let me elaborate. If you look at Dec. quarter results, which included revenues of almost $15.7 billion, as we compared ourselves to every other company in the world, including Sony and Nokia and Samsung, which now have huge mobile device businesses, we found out we were the largest in the world, measured by revenues.
4:11 How are you channeling resources differently? Transition to mobile devices began in 1991 with first introduction of portable product for Apple with introduction of the TFT screen. During that time, the Mac business has become a predominantly mobile device business. Huge difference between us and the balance of the industry in portable share.
4:12 Ah, a history lesson. Going through all the mobile devices Apple has ever launched. Vast majority of Apple’s revenue now comes from mobile devices and content purchased for those devices. Believe we’re well positioned to do extremely well because we can seamlessly offer software and hardware.
「スティーブ・ジョブズはモバイル領域でAppleが一番だと考えているようですが、Appleをモバイルの会社と考えるべきですか」という質問に対し、Cook氏は「イエス」と答え、そして次のように続けている。
1991年に最初のTFTスクリーン搭載のポータブル製品を発売して以来、Macビジネスは主にモバイル機器のビジネスになった。ポータブルのシェアが大きいということが、コンピューター業界の競合他社と大きく異なる点だ。Appleの売上のかなりの部分はモバイル機器とその上で売買されるコンテンツで占めている。
Appleは自分たちをモバイル機器のメーカーだと考えているわけだ。では、アップルは今後、あらゆる家電機器に手を伸ばしてくるのだろうか。これに関しては、Cook氏の次のような意見が関係してくるかもしれない。
We are the most focused company that I know of or have read of or have any knowledge of. We say no to good ideas every day. We say no to great ideas in order to keep the amount of things we focus on very small in number so that we can put enormous energy behind the ones we do choose.
僕が知っている企業の中でAppleは最もフォーカスした戦略を取っている会社だと思う。「いいアイデア」を不採用にすることは日常茶飯事。「ずば抜けて素晴らしいアイデア」であっても、限られた数の製品に全精力を集中するために不採用にすることがある。
ということで総合家電メーカーのようにはならずに、モバイルや映像に近い領域で何か新しいものを作ってくるのかもしれない。
最後に、Cook氏の発言の中で、iPod touchとiPadに関係する部分がおもしろいと思ったので紹介しておこう。Cook氏は、iPod touchを大成功と呼ぶ。日本ではiPhoneの成功の陰にかくれている感のあるiPod Touchだが、僕自身シリコンバレーの友人からシリコンバレーでは無線LANが自宅、会社、学校で整備されているのでiPhoneよりもiPod touchのほうが普及しているくらいだ、という話を聞いたことがある。
iPod touch has been a runaway hit, and it helps the platform that you’re talking about. If you look at the iPod touch, it grew 100% last fiscal year. 55% y/y last quarter. Each fuels more app sales, more developers. iPad? Haven’t sold one yet. A lot of interest in it. I’ve been using one for 6 months or so, I’ll tell you the experience is just absolutely incredible. Can’t wait to start shipping it.
iPhone, I feel we’ve just gotten started.
iPod touchは大成功だ。前会計年度には100%売上を伸ばした。前四半期は前年同期比55%増だ。
iPadは半年ほど使ってみて思うのだけど、これは本当に信じられないくらい素晴らしいものだ。早く売り出したいと思う。
iPhoneは、まだ始まったばかりだと思っている。
iPhoneはまだ始まったばかり。いいねえ。これからの進化に期待したい。