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ご存知の通り、シー・シェパードは暴力行為で日本船を困らせ続けてきた環境保護団体だ。連日のように日本のメディアに“危ない団体”と報道されてきた、その創設者の写真が、ファッション誌のように首都圏電車の中吊り広告や新聞広告として公の場に現れたとなれば、怒りや驚き、複雑な気持ちを隠せなかった人もいて当然だろう。
実際、編集部も発売初日だった4月6日、攻撃を受けた日本船の家族から抗議の電話が入るなど、ただ事ではなかったようだ。偶然にもその号(No.131)からソトコトは初めてTwitterによる読者連動企画をスタートしており、そこでの反響もすさまじい勢いがあった。
大半がバッシング…当然かもしれない。しかし、時折入る記事を読んだ読者からのコメントには、意外な言葉があった。
「読んでよかった」「興味深かった」「価値観の相違を理解できた」
筆者は、暴力行為を認めるつもりもない。コメントもそこを評価したものはない。彼らの話をきけたことが自分にとってよかったという意見だ。なぜあんな無謀なことをし続けるのだろう? しかし、報道では「シー・シェパード」は暴力的テロ組織として危険だとしか伝えられてこなかった。
ポール・ワトソンが表紙となったソトコト 2010年5月号(131号)の特集は「グリーンファイター100」。シー・シェパードはその中の一つの例として取り上げられている。
グリーンファイターとは、社会をよりよくしようとする人のこと。貧しい人のため、美しい森のため、おいしい食事のため、忙しく動き回る彼らの手法はユニークでさまざま。
なるほどとは思うものの、シー・シェパードは社会をよりよくしようとする団体なのか?まさか、では、私たち日本人は社会をよりよくしようとしていないのか?… 答えの無い問い掛けが頭をよぎる。
この特集と連動したTwitter上のコメント・タグ「#greenfighters」は、大半が記事すら読んで無いツィートのようだが、痛烈な批判から、ソトコトの取材に対する英断を賞賛するコメント、中には「批判するためには、相手のことも知らなければ」というものもあったのが印象的だ。知ることができる権利の重みを改めて実感することとなった。
ソトコト編集部のTwitter担当のE氏は、この特集のTwitter上の反響がここまで大きくなるとは思いもよらなかったとしつつも「結果として、いい反響(ツィート)を頂くことができた」とコメントしている。シー・シェパードがどうか、ソトコトがどうか、という以前に、さまざまな見方を持つ生の声が寄せられることで、メディアとして前進できるのではないか、という意見に受け止められた。
湯川鶴章TechWave編集長のエントリー「TechWaveはジャーナリズムではありません【今週のピックアップ】一般医薬品ネット販売禁止訴訟」にこんな一節がある
記事を起点に、ソーシャルメディア上で活発な議論を起こしていくことこそが、21世紀型のジャーナリズムの一端を担う作業になるのだと思う。
今回のソトコト事件は結果として「紙による提言」→「リアルタイムウェブによる世論受け止める」というスタイルの構築に成功したと考えている。編集部は予期しなかったとのことだが、もしかすると、新しいメディアとしての試金石となるのではと感じている。
なぜなら、批判とはいえ、紙の媒体発の反響が大量にネットに流れてきているのは事実だからだ。
さて、この記事は序章に過ぎない。続きは、ソトコト編集トップの独占インタビュー。少々お待ちください。
[公式] 最新号 2010年5月号[特集]グリーンファイター100! | ソトコト
(増田(maskin)真樹)
1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。
週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連雑誌で活躍。
独立系R&D企業のマーケティング部責任者の後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの立ち上げに参画。
ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。ニフティやソニーなどブログ&SNS国内展開に広く関与。
現在、複数のメディア系ベンチャー企業にアドバイザー・開発ディレクターとして関与。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。
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