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Facebookが開くポストGoogle時代【まとめ記事】

 約15年のこれまでのウェブの歴史を見ると、人が集まるメディアとそれをマネタイズする仕組みがカップリングされたときに1つの時代が形成されてきた。

 ウェブが誕生してまもないころユーザーはポータルに集まった。「ポータル」はメディアとなり、それをマネタイズする仕組みである「バナー広告」とカップリングされポータルの時代を築いた。その時代の覇者になったのが米Yahoo!だった。

 次に人々は検索エンジンに集まった。中でもGoogleはその使い勝手のよさから人気となったが、そのトップページに広告を載せないことに人々は首をかしげた。「Googleはどうやって収益化するつもりなんだろう」・・・。Googleにユーザーが集まりメディア化していたにも関わらずマネタイズの手法がなかったので、Googleの時代と考える人はほとんどいなかった。

 人々がGoogleの時代を認識し始めたのは、Googleが検索連動型広告で大きな収益を上げ始めてからである。「検索」はメディアになり「検索連動型広告」とカップリングされて新しい時代を築き、Googleはその時代の覇者になったのだった。

 そしてユーザーは今、ソーシャルメディアに集まり始めた。ユーザーの滞在時間を比較しても、検索に費やす時間の何倍もの時間を人々はソーシャルメディア内で過ごしている。だがまだ「ソーシャルメディア」とカップリングされるような新しいマネタイズ手法は確立していない。なので多くの人がまだGoogleの時代だと考えている。

 しかし世界最大のソーシャルメディアであるFacebookは、マネタイズ手法確立の一歩手前まで駒を進めている。Facebookが4月22日に発表した新戦略で、Facebookがウェブ全体をFacebookの人間関係で覆い、その人間関係を通じて情報、広告が流れる仕組みを作ろうとしていることが明らかになったのだ。


▼Facebook内の仕組みを外にも公開

 Facebookのユーザ数は4億人を超えた。もしFacebookが国家であったなら、中国、インドについで人口の多い国家になる。それぐらいすごい規模だ。

 その巨大なFacebookの人間関係や情報共有の仕組みをFacebook内だけではなく、一般のサイトでも利用できるようにしたのが、4月22日に発表になった新戦略の骨子だ。

 具体的には、新戦略は「ソーシャルプラグイン」「オープン・グラフ・プロトコール」「グラフAPI 」の3つのパートからなっている。プラグインとはFacebookから提供されるブログパーツやボタンのようなもので、簡単なコードを貼り付けるだけで「共有」や「Like(いいね)」などのFacebookの機能をサイトやブログに実装できるようになる。(関連記事:ソーシャルプラグインに関する詳しい説明はTech Wave : Facebookソーシャルプラグインまとめ=AISASは時代遅れに?【湯川】、「オープン・グラフ・プロトコール」「グラフAPI 」に関してはTech Wave : 「検索」から「つながり」のウェブへ=Facebook公式ブログが新機能を解説【湯川】

 こうしたプラグインを取り入れるとユーザーが友人を次々と呼び込んでくれる可能性があるため、多くのブログやサイトが採用し始めている。このことにより、Facebookの人間関係がウェブ全体を覆うようになる可能性がある。そうなればより多くの情報が人間関係を通じて流れるようになり、メディア、広告、マーケティング、物販も大きく形を変えることになるだろう。(関連記事:Tech Wave : 【解説】Google時代の終焉宣言するFacebook新戦略【湯川】Tech Wave : Facebookのツールでウェブ解析が次のレベルへ【湯川】

 米Levi’sが早速、Facebookプラグインを取り入れている。

 Facebookの友人の中で、どの商品が人気なのかも分かるようになっている。同じ商品を話題に盛り上がる可能性もある。ショッピングがソーシャル化するわけだ。

 ソーシャル化することで売り上げが増加すれば、少なくとも米国では一気にこの仕組が広まることだろう。
(関連記事:Tech Wave:米Levi’sのサイトに見るソーシャルショッピングの近未来

▼日本でもFacebookは力をつけるのだろうか

 日本ではまだFacebookが広く普及していないため大きく取り上げられることはないが、米メディアやブログはこの時代の変化を認識し始めた。(関連記事:Tech Wave : 米メディアが指摘するFacebook時代=ソーシャル広告でGoogle直撃【今週のピックアップ】

 MixiやGree、モバゲータウン、はてなといった日本勢は、このソーシャルメディア時代の波にどう対処していくのだろうか。(関連記事:Tech Wave : Facebookは日本でも覇権を握れるのか【湯川】

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