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楽天の世界戦略【今週のピックアップ】

過去7日間のIT関連ニュースの中で自分にとって最大の関心事は、楽天の世界へ向けての動きだ。実はTechWaveでは記事にしなかったのだが、20日に米Wall Street Journalが楽天による米ネット通販大手バイ・ドット・コムの買収を報じている。買収金額は2億5000万ドル(約225億円)。全額現金での買収。楽天は、ネット通販ならびにネットで世界のトップ企業になるのが目標だという。

 楽天はこれまでにも2005年にアフィリエイト大手の米リンクシェアを買収したり、今年1月には中国の百度(バイドゥ)と仮想商店街を構築するため合弁事業を立ち上げる計画を明らかにしている。一歩一歩、世界に向けて駒を進めている。

 ネット通販での世界的な競合といえばeBayやAmazon.comになるが、こうした先行企業と楽天の一番の違いは楽天は出店企業に権限を与えていることだろう。これまでのネット企業は、経済合理性の追求を旗印に邁進してきたところが多かった。その結果中抜きされ市場から退場を余儀なくされる企業が増えた。それは変革という意味では正しいことなのかもしれないが、大きな痛みを伴なう変革だ。

 何かが間違っているんじゃないか。もちろん消費者という人々が力を持つことはすばらしいのだが、生産者や流通業者もまた人間である。インターネットが人々に力を与えるものであるのなら、消費者だけではなく生産者や流通業者にも力を与えるべきじゃないのか。楽天の動きは、eBayやAmazonとは異なるこうした考え方をベースに進もうとしているのではないだろうか。


 そしてこうした楽天の考え方のほうが、ソーシャルメディア時代にはふさわしいのではないか。わたしはそんなふうに考えている。楽天の動向に関するわたし自身の考え方は、リンクシェア合併の背景に楽天のソーシャルメディア戦略という記事に書いた。

 ということで楽天は要注目企業である。

 またまだ記事にはしていないが、TSUTAYAを運営するカルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)株式会社にも注目している。同社はまだそれほどソーシャルメディアには力を入れていないが、ソーシャルメディアに注力することでさらに躍進する可能性が高い企業だと思うからだ。

 一方でマスメディア的には過去7日間の大きなニュースといえば、GoogleTV。このニュースが大きく取り上げられた理由は、Googleとソニーというビッグネームが関与しているからだろう。それだけのことだ。大企業が動いたのだから社会に大きな影響を与えるだろうという考え方から、このニュースの価値を決める。それって20世紀的というか、工業社会的なニュースバリューの決め方だと思う。大手企業が関係しなくても社会に大きな影響を与えることがあるのが、21世紀、情報社会だと思う。GoogleTVが、特に日本では社会に影響を与えることはないとわたしは思うし、その理由は19日発表のソニー、Google、Intelの「スマートTV」は前途多難という記事に書いた。

 過去7日間のはてなブックマークのトップ5は以下の通り。

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