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Googleの戦略全容明らかに=Appleどう出る?【湯川】

 2010年のIT業界の最大のライバル関係といえば、Google対Appleだろう。ともに情報社会の未来を切り開くフロンティア的な企業でありながら、その基本姿勢は大きく異なる。

 Googleはいろいろな技術革新の領域に積極的に挑戦する。テクノロジーで解決できそうなところには、とりあえず挑戦するわけだ。一方でAppleは、自分たちが進むべき領域をできるだけ絞る。「いいアイデアぐらいでは動かない。少数のGreatなアイデアにリソースを集中する」というのが基本姿勢だ。

 Googleはオープンである。いろいろな考えや技術が互いに切磋琢磨し、うまくいかない考えや技術は自然淘汰されればいいという考えである。なので突然変異的に優れたサービスが登場することがある一方で、失敗するサービスも多い。

 Appleは完璧主義である。大衆に迎合することなく自分たちが考える正しくテクノロジーの方向に一直線で進む。なので統一感のある優れたユーザーエクスペリエンスを提供できる一方で、クローズドだと批判されることも多い。

 一方が他方より優れているというわけではないと思う。2つの異なる考え方が存在していいのだと思う。

 さてこのIT業界の両巨頭がますます正面衝突の方向に進み始めた。5月19日、20日に開催されたGoogleの開発者向けイベントGoogle I/Oで行われた発表のほとんどは、Appleと激しく競合しそうなものばかりだ。


・Google TV
 言うまでもなくAppleにはApple TVという製品がある。Google TVに関してはGoogle TV:よくある質問(FAQ)【湯川】という記事に書いた通り。米国のIT関連メディアやブログを見ると、Google TVの評価は高く、Apple TVに差をつけたようなイメージがある。

・モバイル広告
 今回のイベントGoogle I/Oでは、Google Mobile Adsという仕組みが発表された。

 モバイル広告大手AdMobの買収も米政府によって承認されたし、これでGoogleは全速力でモバイル広告の領域に進んでいくことだろう。

 AppleのiAdは大手企業向けに表現力豊かな広告の仕組みを比較的高額な料金を提供するが、Google Mobile Adsはまず小さな広告主を取り込んでいく方針のようだ。クリエイティブなリッチ広告も手がけるようだが、Appleの比ではない。

 Appleは、ロングテール理論でいうところのヘッドをベースにテールへと向かい、Googleはテールをベースにヘッドへと向かうわけだ。いずれ真ん中の当たりで衝突することになる。(関連記事:Appleがモバイル広告のベンチャー買収?対Google戦の最前線はここだ!

・ケータイとタブレット
 GoogleはAndroidの最新バージョンである2.2(コード名Froyo)のリリースを始めたようだ。(TechCrunchの関連記事)。これでNexus Oneと同等クラスのスマートフォンが次々と登場することになる。タブレットに対する詳細な言及はなかったが、GoogleがiPadに対抗するようなタブレット型パソコンを準備しているのはほぼ間違いない。

 そしてこれらのデバイスはFlashに対応している。そこがAppleのiPhone、iPadと大きく異なるところだ。

・音楽
 GoogleはAndroid Marketplaceで音楽を取り扱うことを明らかにした。詳細は未発表だが、AppleのiTunesと真っ向から衝突することになる。(関連記事:Um, Did Google Just Quietly Launch A Web-Based iTunes Competitor? Yep.

・テザリング
 iPhone経由でポータブルゲーム機やiPadなどのデバイスがインターネット通信できれば、どれだけいいか。それぞれのデバイスごとに電話会社と通信契約を結ぶ必要がなくなる。iPhoneには実はこうした使い方を実現できるテザリング機能が搭載されているのだが、米AT&Tも日本のソフトバンクもこの機能の使用を認めていない。

 Googleは、Androidケータイにテザリング機能を搭載した。もちろんそれが機能するのかどうかは携帯電話会社次第なんだけれど。

・クラウドからのメッセージングAPI
 この機能を使うと、PCを使ってAndroid Marketplaceから楽曲やアプリを購入するとデータはクラウド上で管理され、PCからの操作でその楽曲やアプリをAndroidケータイに送信できるのだという。パソコンで見ていたウェブページや地図なども、簡単にAndroidケータイに送ることができるのだそうだ。(情報ソースDaring Fireball)

 個人的には今回の一連の発表の中でこのメッセージングAPIに興味を持った。iPhone、iPadって基本的に母艦となるパソコンが必要な場合が多く、データはUSBで同期しなければならない。Googleの仕組みならデータはすべてクラウド上に蓄積でき、PCでもGoogle TVでもAndroidケータイでも簡単にデータにアクセスできるようになるもよう。これって便利だと思う。

 さてGoogleはある意味、Appleに挑戦状を叩きつけたわけだ。

 Appleはこれにどう応えるのだろうか。

 その答えは、Appleが6月7日から11日までサンフランシスコで開催する開発者向けイベントWorldwide Developpers Conference(WWDC)で明らかになるだろう。

 Appleファンとしては、Googleの一連の発表に対抗し、それを上回る大型発表を期待しているのだろう。MacRumorsの読者がスティーブ・ジョブズに「Googleをぶっ飛ばすぐらいの発表を期待していますよ」というメールを送った。そうしたら、次のような返事が返ってきたという。

You won’t be disappointed(がっかりすることはないと思うよ)

 6月7日が待ち遠しい限りだ。

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