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GoogleがiTunes対抗音楽サービスを年内に開始か【ループス斉藤徹】

 Googleの音楽配信サービスが年内にもスタートする可能性が出てきた。Fortuneイスラエルからの報道として伝えたところによると、GoogleのAndroidプロダクトマネージャーのGaurav Jain氏が、Androidの次期バージョンであるGingerbreadは年内にもリリースされ、そのバージョンのAndroidは音楽が主要な要素になると語ったという。

 Googleの音楽配信サービスは5月に開催されたGoogle主催の開発者向けイベントGoogleI/Oの中で簡単に紹介された。ウェブページのボタンを押すだけでAndroidケータイに瞬時に楽曲が転送されるというクラウドベースのサービスで、同イベントの出席者を驚愕させたという。

 AndroidはGoogleTVにも採用されることから、当然GoogleTVでも利用可能になるとみられる。音楽ネット配信はこれまでAppleのiTunesの独壇場だったが、強力なライバルが登場することになる。しかもクラウドベースのストリーミングならば著作権がらみのデバイス台数の制限もない。一度購入すればあらゆるデバイスで利用が可能になるだろう。AppleもiTuneのクラウド化の準備を進めているとみられており、今後GoogleとAppleは音楽配信のプラットフォームをめぐっても激しく対立することになりそうだ。

 このことに関し、株式会社ループス・コミュニケーションズの斉藤徹さんが詳しいレポートをあげてくれた。【湯川鶴章】

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
斉藤 徹

ジョブスが怒り狂うであろうiTunes対抗サービス「Google Music」の登場がいよいよ近づいてきたようだ。


【出所; Fortune Tech,ただしGoogle Musicは仮称】

今までも「Google Music」ローンチに関する噂はいくつかあったが,今回はGoogleのAndroid Product ManagerであるGaurav Jain氏がイスラエルを訪問したときに語ったことなので,信憑性が高そうだ。

【元記事】
Google will launch a music store next winter (ヘブライ語のGoogle翻訳)
Google Music, Android 3 to launch before the holidays (Furtune Tech)
 
これらの記事によると,Google Musicは,これまた噂のAndroid3.0(Gingerbread)と同時登場を予定しており,タイミングはホリデーシーズンの前(11月上旬から中旬あたりか)になりそうだ。

Android2.2リリースではAndroid Marketの機能強化(PCからアプリ選択するとAndroid端末へ自動インストールされる等)が行われる予定だが,Android3.0ではこれをさらに音楽コンテンツまで拡張するということだろう。

つまり,iTunesと同等の機能をクラウドで実現するサービスだ。そしてこれはジョブスの虎の子である垂直型サービスに大いなるライバルが登場することを意味している。

Android3.0の噂をGoogle社員が否定(記事)するなど不確かな点も多いが,GoogleがAppleの垂直統合型サービスへの対抗戦略をとることは間違いないと思う。
 
では,Google MusicはiTunesと同等のクラウドサービスにとどまるのか?


 
仮説だが,YouTubeで行われているMusic Discovery Project(YouTube DISCO)がGoogle Musicの可能性を示唆しているのではないか。

【参考記事】
YouTubeの実験的機能DISCOがとんでもなく凄い件 (1/25) 

このYouTube DISCO,体感してもらえればわかるが,アーティストを選択すると,アーティスト自身,それに類似したアーティストのビデオが次々に再生される驚くよう なサービスになっている。今までもPandraなどの自動リコメンドサービスはあったが,指定アーティストの曲をいくらでも聞ける点,プレイリストを自在に編集,保存できる点など根本的なところが異なっている。

そしてこのYouTube動画の下にある「この曲をダウンロード: iTunes」となっているところがAndroid Marketになるのだろう。もしくはストリーミングサービス自体をAndrid Marketに組み込んで有料にするのかも知れない。

いずれにしてもGoogleはYouTubeを持つメリットを最大に活用するだろうし,Appleが昨年末に音楽ストリーミングサイトLalaを買収したのは,音楽や映画,テレビ番組などを配信するクラウド・ストリーミング・サービスに大きなマネタイズ・チャンスを見込んでいるからだろう。

【参考記事】
アップルのLala買収で「iTunes」が向かう先–Lala創設者の役割とは

そして,それらがスマートフォンだけでなく,タブレット,さらにはテレビ(Google TV,Apple TV)が主戦場になってくるのは間違いないところだろう。未来のお茶の間を巡るGoogleとAppleの覇権争いは,今後さらに熾烈なものになりそうだ。
 
【Google関連】
テレビとウェブの最適融合 ~ Google TVのインパクトと市場予測 (5/21) 
Google,3DデスクトップベンチャーBumpTop買収。モバイルUIでApple対抗か (5/3) 
「印刷はクラウドにおまかせ」,GoogleがCloud Print構想を発表 (4/17) 
Googleは20%ルールによってイノベーションのジレンマを回避している (12/21) 


著者プロフィール:斉藤 徹 (さいとう とおる)
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
2005年が創業。国内での企業向けSNS構築分野でトップシェアです。
(ミック経済研究所,アイティーアール社 2008年調査にて)
現在は,企業コミュニティを単体で捉えるのではなく,多様なソーシャルメディアと有機的に結びつけ「クチコミ動線」を設計・構築・運用するコンサルティング・ファームとしての色合いを強めています。

書籍・コラム・ブログは個人活動ですが,ビジョンとノウハウは,ループス社員一同で共有しています。創業テーマである Socialmedia Dynamics を見つめながら,ソーシャルメディアやクラウドソーシングの分野で高い専門性を磨き続けたいと日々励んでいます。(といっても全く堅い人間ではないです。 特に夜は柔らか過ぎと定評です)

Twitterアカウント toru_saito
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