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lang-8で日記を海外ユーザーに添削してもらう【殿内誠司さんの英語学習法】

 TechWaveの理念、目標である「世界との架け橋になって変革を起こす」に沿って、電子書籍、紙の書籍の両方で英語の勉強法に関する本を出しました。(関連記事:TechWaveは世界との架け橋を目指します : TechWave

 電子書籍のほうは「TechWave英語学習法」、紙の書籍のほうは「iPad英語学習法」というタイトルになりました。

 タイトルは違いますが、中身はほぼ同じです。本のコンテンツの一部をTechWave上で公開していきます。今回は、システム・エンジニアの殿内誠司さんの勉強法です。

殿内誠司さん(32)システムエンジニア

 IT系の情報は、英語圏で発信される、そうでなくても英語で発信する事が多い。日本語への翻訳を待ってもいいのだけど、そうすると、タイミングが遅くなる、訳し方によっては意味が通じ辛くなってしまう、何より日本語に訳されない情報に触れることが出来ないのがもったいない、そう思うようになり、一昨年ぐらいから英語の勉強を始めました。

 まずは英語を使うことに対する抵抗を解消したいな、と思ったので英会話学校に通うことにしました。ジオスという学校です。1年ちょっとぐらい通ったかなあ。当初は料金に足踏みしたのですが、政府の助成金制度があったので、2クラス取りました。授業料は年間で40万円から50万円ぐらいだったと思います。その後助成金が支給される期間も終了したので、1クラスに減らしたのですが、週に一度、一時間程度の英語学週は、上達するよりも忘れるペースが早く、残念ながら上達しませんでした。

 国内でなかなか上達しないでいる位ならいっそ海外に住んでみよう、そうすれば一気に上達するのではないか、と思ったこと、そして、ワーキングホリデービザ発給がギリギリの年であったこともあり、会社を休職してオーストラリアに1年間滞在しました。

 結果は、自分でも驚くほど上達していました。海外にいくと、まず日本語に頼ることができなくなる、どんなに酷くても英語で話すしかない、ということで伸びがいいのかなって思います。とはいえ、滞在中は英語学校に行きましたし、毎日自分で英語のテキストで勉強もしました。

 帰国後はLang-8とESLPodcastというサービスを主に使って英語を練習しています。どちらも10~20分程度で終了するので、朝の通勤電車の中でやるには丁度いい長さです。

 Lang-8は、まず、簡単な日記を書きます。すると、その日記が公開されるので、それをみた英語ネイティブの人が添削をしてくれます。前置詞の間違いや冠詞の間違いは相変わらずあります。この他に「こう表現したほうがもっと自然な感じがする」と言うアドバイスももらえたりします。もちろん添削してもらったお返しに日本語を学習している人の日記の添削も行います。書く内容は普通のブログとあまり変わりません。日本語で書いているか、英語で書いているか、と言うだけの違いです。基本的に天気とか、日本の生活スタイルとかそういった他愛もないことを書くのですが、ネタが思いつかないときはその日覚えた単語を使って文章を考えて書きます。後者の方が間違いが多いですね。何らかの縛りを加えると難易度が上がるのかもしれません。

 英語を勉強していて悩んだら、それについて書くこともあります。例えば、「リスニングを伸ばしたいんだけど、みなさんどうやって勉強してますか」って書くと、「オレはこうやってるよ」とか「こういう風にするといいんじゃないかな」というアドバイスをコメント欄に書き込んでくれる人がいたりします。

 長文を書く事は滅多にありません。電車に乗っている15分程度で書いていますから、出来るだけささっと書いてしまいます。添削されやすい文章の傾向というものがあるようで、例えば文章がものすごい長いと、添削されにくいようです。長すぎると添削が面倒なので敬遠されるのかもしれません。ただ、出来るだけシンプルな英語を書く、ということを心がけるのもいいテーマだと思います。

 最近は短い日記でも添削されることが少し減ってきたように思います。僕は無料で使い続けているんですが、有料会員制度が出来て、有料会員の日記が優先されてトップページに表示されるようになったんです。それで僕の日記のように無料会員の日記は目立たなくなり、あまり添削されなくなってきた感じがします。

 Lang-8を使っていておもしろいのは、第2言語を学ぶ人はみんな同じような間違いをするということですね。同じ国の人で、日本語を勉強している人はみんな大体同じような間違いをしています。日本人が英語書くとやはり日本語っぽい英語になります。なので、日本人のほかのブログを読むことで、その添削のされ方が勉強になることがあります。自分でブログを書かなくても、勉強出来るわけです。

 また英語の人が日本語を学んでいる場合、「ああ、この日本語の表現はこう英語で表現するんだ」とか分かることがあるので、おもしろいです。勉強を始めたばかりの人は、添削の制度を上げるためだと思うのですが、母国語で書きたいことを書いて、それに対応して日本語を書いたりしていますから。

 Lang-8にはモバイル版があって、僕はモバイル版を主に使っているんですが、モバイル版は機能が制限されていて、コメントを書いたり他の人の日記を添削することができません。ケータイでやるときは、フルキーボードつきのケータイを使うと、ケータイでも日記を書くことが億劫ではなくなるのでおすすめです。

 Lang-8のほかに力を入れているのが、ESLPodcastです。これは英語学習者向けにアメリカの人がやってるPodcastです。これを iPodにダウンロードして聞いています。毎回テーマに基づいた会話をベースに話が進んでいきます。最初に会話がゆっくりとしたテンポで流れて、その後内容の解説、英語のボキャブラリーの解説があって、そのあと普通の速度の会話が流れる、という流れになっています。Podcastのダウンロードについては無料です。

 お金を払うと、毎回のエピソードのテキストをダウンロードできます。会話の全文が載っているテキストで、Podcast内では話されない追加の情報なども載っています。追加情報が欲しい場合や、英語をあまり聞き取れない人は買うといいとおもいます。月に10米ドルです。過去のデータも全部見たい人は最初に60ドルを支払えばいいようです。更新は何日かに1回という感じで結構頻度が高いです。1回分の長さは大体20分弱といったところです。ただし、何回かに1回English cafeと言うのをやっており、それは小一時間程度の長さです。

 勉強用のPodcastなので、普通のPodcastよりも分かりやすいです。あまり難しい表現を使わないので、理解しやすいですし、勉強になると思います。もう1年半以上やっています。

 そのほかは、CNN news updateや、BBCのニュースGlobal NewsのPodcastなんかも時間がある時は聞いています。ただこちらは、非常に難易度が高くて、僕もあまり聞き取れていません。

 僕の英語学習は、Lang-8とESLPodcastを中心にしているんですが、そのほかに単語を覚える目的でSmart.fmをやってるのと、以前に任天堂DSの「えいご漬け」をやったこともあります。「えいご漬け」は、単なるゲームと侮ることは出来ない内容だと思っています。

 英単語の勉強は、自分の性格上、同じ方法でばかりやっているとどうしても飽きがくるので、色々な方法を定期的に切り替えて実践することで、飽きがくるのを防ぐようにしています。例えば、先程のSmart.fmもそうですし、単語学習用の書籍を読むこともありますし、単語カードを作ることもあります。

 こうした英語の勉強方法を続けていることで、今のほうが、オーストラリアにいたときよりも英語は聞けるようになったと思います。つい先日、技術系の勉強会があってイギリスの人がスピーカーとして登壇してたんですが、講演後にその人と英語で議論ができたんです。ああ、上達しているんだなって、うれしかったです。

 英文法やリーディングについてはアナログ的な英語の勉強も併せてやっています。英文法の本であるとか、英語のボキャブラリーの本であるとかを購入して自習します。これらの書籍は英語でかかれたものを使うのがおすすめです。英語で書かれた本というと尻込みする方も多いのですが、学習者向けのテキストなので、難しい表現は使われていません。

 英語を勉強している中で気をつけていることは、僕の専門であるITのことよりも、むしろ日常会話に焦点を絞って勉強しています。IT分野の英語は単語とか知っている表現が多いので、なんとなく言っていることの見当がつくんです。英語力がなくても専門知識で乗り越えられちゃうと思っているので、あまり英語の勉強にならないと思うんです。日常的な会話の方が使い道もありますし。

 日常会話を勉強するには、英語のドラマがいいと思います。DVDをレンタルしてきて、英字幕で観るようにしています。映画のDVDをレンタルしてた時期もあったのですが、映画って2時間位あって長いので時間の確保が難しいことがありますから、ドラマのほうがいいと思います。ドラマは1話で長くても小一時間ですから。

 そういえば、Lang-8でアドバイスしてもらったリスニングの勉強法なんですが、まず字幕なしで見て、次に字幕つきで見て、最後にもう一度字幕なしで見る、と言うのを教わったことがあります。1回目は自分が聞き取れなかった場所のチェック、聞き取れそうなら何度か早戻しして頑張って聞き取ってみる。次に英字幕つきでみて、自分の聞き取りが正しかったのか、聞き取れなかった部分は何といっていたのか、ということをチェックします。3回目はもう一度字幕なしで見て、2回目の後できちんと聞き取れているかどうかのチェックをします。近所のレンタルビデオ店はレンタル料金が水曜日だけ190円と割安になるんで、そのときに借りて来て時間のある時に見てます。最近はさすがに時間もないので、一つの話を3回見る、ということはしなくなってしまいました。

 英語でTwitterもやってたんですが、あまりリプライがこないので、あきちゃいました。DM(ダイレクトメッセージ)がきて、やり取りしたこともありますが、海外の人とだったら時差もあるし、難しいかもしれませんね。

 Facebookはアカウントは持っているんですが、あまりログインしていないですね。

 実は今、ゲストハウスというタイプの家に住んでいます。いま風の下宿、という感じですかね。全員で8人くらいで共同生活っぽく住んでいるのですが、そのうち2人が外国人なんです。コロンビア人とアメリカ人。身の周りに英語ネイティブがいるので、生の英語に触れることが出来ていいですね。彼らとも英語で会話したり、彼らの分からない日本語を英語で説明したりしますので、結構実践の機会は多いですね。

 もしもマンツーマンの英会話教室に通うのが難しいのであれば、こういったタイプの住居に住んでしまうのも手だと思います。こういった他の人と生活の一部を共有するスタイルの住居はあまり一般的ではなく抵抗を感じる人も多い様ですが、海外ではこういった生活スタイルは決して珍しいものではなく、僕もオーストラリアで生活している内に、むしろこちらのスタイルの方が好きになったという経緯があります。

 英語の勉強を始める人へのアドバイスとしては、本当にゼロから始めるのであれば、まずは日本の中学校卒業程度のレベルを目指すといいと思います。日本の英語教育のレベルはとても高いと思っています。中学校卒業レベルの英語の知識があれば、会話で困ることはあまりないのではないでしょうか。そこからさらに勉強するときは英語だけで勉強するのがいい。日本語で書かれた英語の教本を読むより、英語で書かれた英語の教本を読むのがいいと思います。ほとんどの英語の教本は、中学英語のレベルで理解できます。

 僕自身、意志が強いほうでもないのですが、それでも勉強を継続出来ているのは上達しているという実感を得られてるからだと思います。ですから、聞き取れるようになるという実感、英語が上達している実感を得られるような形の勉強法を実践すれば、だれでも長続き出来ると思いますよ。

 例えばLang-8なら、日記を書いてもネイティブの人に添削される量が減っていくのが分かる。これが励みになるんです。

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