Appleがテレビ番組99セント視聴でテレビ局と最終協議＝米Bloomberg通信【湯川】

蛇足：オレはこう思う

「iPad、コンテンツなければただの板」。
タブレット型パソコンと考えれば、iPadの魅力はそれほど大きいものではない。パソコンの機能が欲しいのであれば、パソコンを買うのが一番だ。iPadはタブレット型パソコンというより、タブレット型メディアである。もともとはそういったコンセプトで開発が進められてきたのだと思う。

　テレビ番組を99セントで視聴できるようにスティーブ・ジョブズ氏が米テレビ局と交渉しているといううわさはiPad発売前からあった。今回のBloomberg通信の記事は、そういう意味では新しい話ではない。やはりまだあきらめずに交渉し続けてたのか、という感じだ。そうだよな。あきらめるわけにはいかないよな。ただの板になっちゃうから。

　AppleTVあらためiTVも発表されるとすれば、なおさらのことだろう。

　今回の報道で目新しいところといえば、複数の関係者の証言を得ているということ。9月7日のイベントで発表されるかもしれないということだろうか。

　ABCを傘下に持つWalt Disney Co.はこのサービスに乗るかもしれない。だってToy Storyなんかの映画を作っているPixarってジョブズ氏が作った会社だし、PixarをDisneyに売ったことでジョブズ氏はDisneyの最大の株主になった。Disneyの取締役にもなっている。

　ほかのテレビ局はどうだろう。大きな決断だからなあ。テレビ局にすれば追加の収入になればいいかな、というところなんだろうけど、その一方で屋台骨である放送事業が崩壊しかねない。究極の選択だから時間がかかるんだろう。見逃し視聴需要とかいうちっちゃや話ではない。今後のテレビ視聴の形を変えるくらい大きな話だと思う。（関連記事：業界も視聴者も「iTVがすべてを変える」＝Digg創業者【湯川】 : TechWave）

　テレビ局にとっては、本当に究極の選択だと思う。

　でも情報革命と呼ばれるくらいなんだから、情報を扱う企業や業界に革命的変化が及ぶのは当たり前のことなんだと思う。

　革命的変化を受けいれなければならない人間にはどのような選択肢があるのか。市民革命を思い浮かべてほしい。王室にはどのような選択肢があったのか。１つは、権力をすべて手放すという選択だ。平民になるのだ。栄華の日々は過去のものになる。しかもそれはいいほうの選択の結末だ。生き延びることができるのだから。

　悪いほうの選択の結末はギロチンである。権力の座から引きずりおろされ、消滅する運命である。

　自ら平民になるのか、ギロチンにかかるのか。革命時の選択は、常に究極の選択になる。

　メディア企業には既得権益にしがみつくことなく、ユーザーメリットを最優先した対応を期待したい。事業規模は大幅に縮小するだろうが、そうすることがメディア企業存続の唯一の選択肢だと思うから。