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WISH2010優勝者ブクログのパブー=さすがのスピード感と今後の課題【湯川】

 前回の優勝はブクログのパブー、TechWave賞はtogetter=WISH 2010プレゼンテーション大会という記事で、優勝者のブクログのパブーに関して、ほとんど何の論評もしないのはあまりにアレなんで、エントリーを一本あげることにします。

 ブクログのパブーは株式会社paperboy&co.がリリースしたサービス。ペーパーボーイなんで「ペパボ」と略される(つい「パペポ」と言ってしまうんだけど)。どんなサービスかは、WISH2010のサイトから完全コピペします。

電子書籍作成・販売プラットフォーム「ブクログのパブー」は、個人が出版社や印刷会社を通さず安価で手軽に電子書籍を作れるサービスとしてリリースされました。

電子書籍の作成・公開・販売はすべて「パブー」上で行うことができます。また、作業もブラウザ上の「パブー」管理者画面から行うため、特別なソフトや専門知識などは必要ありません。ブログを更新する感覚で操作できる本の作成画面や、難しい手続きなしでオンライン販売が始められる決済機能など、初心者にも扱いやすいインターフェイスで電子書籍出版をサポートします。

今後は複数人での編集機能や「ブクログ」とのクチコミ連携などを予定しております。

 何ヶ月か前に、ワープロを書く感覚で電子書籍を執筆できるサービスを探していたときに、Twitterのフォロワーさんから「こんなサービスできてますよ」と教えてもらったのが「パブー」だった。その場で「e-pub」と呼ばれる電子書籍の標準ファイル形式で原稿が書けるだけでなく、本の販売までできるプラットフォームになっていた。完璧だった。軽い衝撃を覚えた。なんなんだこのスピード感。さすがペパボだと思った。

 本当に心から、そのスピード感とビジネスセンスに敬意を表したいと思います。ペパボすごいよ、ほんと!


 同じような思いを抱いた人が多かったので、WISH2010で優勝したのだと思う。

 でも審査員の間での雑談の中で、みたいもんさんが「でも電子書籍のサービスっていっぱいあるからなあ」と一言つぶやいていた。そうなんです。そこなんだよね、いしたにさん。

 もしろんパブーは現時点において日本市場では最先端を走っている。ダントツの一位だと思う。でもそう遠くない未来に、同じようなビジネスモデルで日本市場に参入しようとしている社が何社かいる。しかもすごい会社ばかり。しかもお互いにものすごい勢いで開発競争を繰り広げている。

 そう、Amazon、Google、Apple、みんなここを狙っているんだ(日本の大手のおじさんたちで作っている仲良し連合のことは、ほとんど気にしなくてもいいと思う。本気出しそうにないから)。

 日本のネットベンチャーは世界とどう戦うべきか=WISH2010に見るトップ経営者の考え方という記事の中でグリーの田中さんが言っているように、世界を狙うベンチャーには資金が集まるので、非常に優れたサービスを無料、もしくは低価格で提供してくる。積極的に世界戦略を打ち出して資金を集めない限り、英語圏のグローバル企業には絶対に勝てない。プラットフォーム事業は世界を狙って資金を集めない限り勝てないんだと思う。技術や能力の話をしているんじゃない。単純に資金力の話をしているんだ。だってAmazonの電子書籍リーダーアプリを見ても分かるけど、すごい勢いで進化を続けているんだよ。

 パブーはいずれこうした世界のプラットフォーム上に乗るサービスに形を変えていかざるを得ないんだと思う。

 その数カ月か1年後に迫っている未来に対して、どのような戦略で待ち受けているのか、というような話をもう少し聞きたいと思いました。

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お知らせ:
第2期ソーシャルメディア講座9/22に開講します
・TechWaveの理念、目標である「世界との架け橋になって変革を起こす」に沿って、電子書籍、紙の書籍の両方で英語の勉強法に関する本を出しました。電子書籍のほうは「TechWave英語学習法」、紙の書籍のほうは「iPad英語学習法」というタイトルになりました。

蛇足:オレはこう思う

 去年のWISHでは僕は受け付けだったんだけど、今年は審査員になりました。なんで?ていうか今年の審査員ってメディア関係者多くね。

 メディア関係者って自分たちで「偉大なる素人」ってよく言うんだけど、ほんと実はよく分かっていないんだよ。それを分かったふりして書いているだけ。メディア関係者の意見って、自分で実際に体験してるわけじゃないので、ほとんどがだれかの受け売りなんだ。だから僕を含めて、そうした人が現場の人のやっていることを偉そうに審査するのってオコガマシイと思う。

 僕たちブロガーやメディア関係者は評論という名の素人意見をオモシロおかしく述べることはできても、審査なんて偉そうなことはできないし、すべきじゃないと思う。

 来年のWISHの審査員は業務経験のある人にしてもらって、メディア関係者は一般参加者と同じように「投票」するだけでいいんじゃないのかなあ

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