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ロイター通信は、今年のクリスマス商戦にAppleとGoogleが音楽配信事業で衝突すると報じている。
それによると、GoogleはAppleのiTunesに対抗するような音楽配信ストア、購買した楽曲のストレージサービスをクリスマス商戦前に開始すべくレコード会社と交渉を続けているという。
まだ契約を結ぶまでにはいっていないようだが、あるレコード会社の幹部は次のように語ったという。
“Finally here’s an entity with the reach, resources and wherewithal to take on iTunes as a formidable competitor by tying it into search and Android mobile platform,” “What you’ll have is a very powerful player in the market that’s good for the music business.”
ようやくiTunesに対抗できるようなリーチ、リソースをもったところが出てきてくれた。検索やAndroidといったプラットフォームに音楽ビジネスを絡めることも可能だし。音楽業界にとっていいことだと思う。
Appleによる1社支配の現状を打破してくれるのではないか、と音楽業界は期待しているようだ。
メディア業界の人は自分たちの業界内を見渡して、「未来が見えない」と嘆く。米国視察団を組んでアメリカにいっても見て回るのは、同業他社だけ。それじゃあ未来は見えないと思う。
メディアの未来を形作るのは、GoogleとAppleで決まりだと思う。音楽、新聞、テレビ、出版、ラジオ、すべてのメディアの未来だ。すべてのメディアの未来は、両社の競争の結果、形作られつつあるということは、ここまで事態が進行してくればもうだれの目にも明らかだと思うんだけど、そう思わない人が日本の業界関係者には多いようだ。
テレビに関しても、GoogleTVとAppleTVの構想は似ているところもあり、異なるところもある。両社がぶつかり合う中で、未来のテレビ視聴の形が作られていくんだろう。(関連記事:テレビはのんびり見るモノじゃない?=GoogleとAppleの発想の違い【湯川】)
奇抜な視聴形態が突然現れることもあるだろう。でもそれは大きくなれば大手に飲み込まれていく。GoogleがYouTubeを飲み込んだように。
音楽も同じ。ネット上に楽曲を保管しストリーミング配信するという新しい方法も出てきたけれど、それをいち早く成功させたLala Media社は昨年12月にAppleによって買収され、今年4月にサービスを中止している。Googleは同様にSimplify Media社を買収し、サービスを中止している。クリスマス商戦前には、Appleブランド、Googleブランドで同様の音楽配信サービスが始まるのだろう。
同様に本も新聞もラジオも、メディアの未来は両社とその周辺の企業が形作ろうとしている。
もうそこにしか未来はない。そこで描かれる未来の中にどう自分たちを当てはめていくかということこそ、メディア企業にとっての最大の課題で、メディア企業はそこに知恵を絞るべきだろう。もちろん音楽業界のようにそうしている企業が多い業界もあるが、一方で出版業界のように、2周遅れであるにも関わらず、連合体を作ってGoogle、Appleに対抗していこうというところもある。その姿は滑稽以外のなにものでもない。
なぜ僕がそこまで自信を持って国内の一部メディア業界の仲良しクラブ的動きに未来がないと断言できるかというと、消費者はGoogle、Appleに既についているからだ。いつの時代も消費者の圧倒的支持を得た勢力が強いのは当たり前の話。保身の本音がみえみえの動きを消費者が支持しないのも当たり前の話だ。