- 雨を降らせる機械からiPhone電脳メガネまで「自分が欲しいから作った」Mashup Awardめっちゃ楽しい12作品【鈴木まなみ】 - 2013-11-19
- スマホアプリは大手有利の時代【湯川】 - 2013-07-05
- そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】 - 2013-06-14
近未来のテレビ視聴の形を提案する新製品として注目を集めているGoogleTVとAppleTV。テレビ業界や家電業界が提案する放送と通信の融合とはまったく異なる発想で、両社が新製品を開発してくるであろうことは十分予測できた。ただGoogleとAppleの間でも製品作りの発想がまったく異なっているようだ。
「テレビを積極的に見るものに変えたい。それがわれわれの戦略だ」。ドイツのベルリンで開催中の家電業界の見本市IFA2010で7日に基調講演したGoogleのCEO、Eric Schmidt氏はそう語った。一方で1日に米サンフランシスコで開催されたAppleの新商品発表会で大幅刷新したAppleTVを発表したスティーブ・ジョブズ氏は「われわれの友達はテレビをコンピューターにしたいようだが、消費者はテレビのコンピューター化を求めていない」と語った。われわれの友達とはGoogleのことを指している。
「テレビとパソコンではユーザーの姿勢が違う。テレビを見るときはうしろにもたれかかり、パソコンを使うときは前かがみになる」ー。テレビとパソコンの違いを示すために、古くから使われる表現だ。ところがGoogleは、テレビ視聴までも前かがみの体験に変えるつもりだ。テレビというデバイスが今以上に楽しく便利なものになれば、消費者は積極的に前かがみでテレビに関わるようになる、と考えるGoogle。一方で、視聴者の態度は変わらない、テレビ視聴は受け身の体験でありつづける、と考えるApple。果たして近未来テレビで、われわれのテレビ視聴の姿は変わるのだろうか。
Schmidt氏の講演の中でGoogleの社員がGoogleTVの機能を実演した。(動画)GoogleTVの簡単に説明すると、検索窓にキーワードを入力するとキーワードに関連する放送中のテレビ番組、放送予定の番組、録画済みの番組、映画、YouTube動画、ウェブページなどのリストが表示されるというもの。ユーザーはその映像が、現在放送中のものなのか、録画されたものなのか、ネット上にあるものなのかを、まったく意識しないで、楽しめるようになる。またアンドロイドケータイをリモコンにし、音声でテレビを操作できるようにもなる。Androidケータイのアプリ市場であるAndroid MarketもGoogleTVで利用できるようになるという。米国では年内発売を予定しており、米国以外では発売は来年になるという。恐らく日本でも来年、ソニーから発売になるのだろう。(関連記事:Google TVデモビデオ発見【湯川】、PC、モバイル一発連携はGoogle TVへの布石(Chrome to Phone解説)【湯川】、白のGoogle TV、月産40万台の強気の生産開始【湯川】)
テレビを始め、CATVセットトップボックス、DVDレコーダー、HDDレコーダー、衛星放送、音楽機器など、ありとあらゆるAV機器の上に立ち、すべてのAV機器をコントロールする立場になろうというのがGoogleTVである。
一方のAppleTVは、テレビ番組や映画をレンタル視聴できるというだけのデバイス。すべてのコンテンツはAppleの大規模データーセンターのサーバー群に記憶されていて、そこからほしいときにほしいコンテンツをストリーミングで受け取ることができるという仕組みだ。手元にデータを置いておく必要がないので、AppleTVは99ドルという低価格を実現した。この低価格を武器に一気に普及させようという考えだ。
既にユーザーが所有しているCATVやHDDレコーダーに取って代わろうというものではなく、あくまでも追加デバイスの1つを目指している。iPhoneのアプリ市場であるAppStoreも当面は利用できないようだ。いつもは強気のAppleだが、AppleTVに関してはかなり消極的に見える。ジョブズ氏は「前のバージョンのAppleTVのユーザーの声を聞いて作った製品。ユーザーはリビングルームにコンピューターを求めていない。ユーザーが求めているのは、テレビ番組や映画を見たいときに低価格で見ることのできる低価格デバイスだ」と語っている。
確かに現時点でユーザーが求めているものを形にすれば新型AppleTVのようなデバイスになるだろう。しかしIT機器は、これまでもユーザーに新しい利用方法を提案し、ユーザーのライフスタイルを変えてきたはず。ただそれができた機器はごく一部で、ユーザーニーズを無視するとほとんどの製品は失敗に終わる。
近未来テレビはGoogleTVのように新しいライフスタイルを提案すべきなのだろうか、AppleTVのように現時点のユーザーニーズに応えるべきなのだろうか。
みなさんはどちらの近未来テレビが成功すると思いますか?