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[読了時間:7分、「蛇足」あり]
後発のFacebookにユーザーを奪われ先行きが心配されていたMyspaceだが、今後は音楽を中心としたエンタテイメント専門のコミュニティーサイトを目指す考えのようだ。Facebookのプラットフォームを利用する衛星サイト戦略を取ったわけで、事実上Facebookの軍門に下ったことを意味する。
Myspaceのサイトにアクセスすると「プロフィール登録をスムーズに開始するために、Facebookからあなたの基本情報と興味をインポートします」という表示が現れる。ここで「Facebookに接続」ボタンをクリックすれば、FacebookとMyspace間で具体的にどのようなデータ連携が行われるのかが表示される。
データ連携は次の5つ。
- 基本情報へのアクセス 名前、プロフィール写真、性別、ネットワーク、ユーザーID、友達リストなど、公開設定で「すべてのユーザーに公開」を選んでいる情報へのアクセス
- メールの送信 Facebookに登録してある自分の電子メールアドレスがMyspace側にも通知される。これでMyspaceから電子メールが送られてくることになる。
- 「ウォール」への投稿 Facebookにはプロフィールのページに「ウォール」というコーナーがある。自分自身の投稿を核にした掲示板のようなもので、友人が投稿に対してコメントを書き込めるようになっている。Myspace上で書き込んだ近況アップデートやノート、写真、動画などの情報が「ウォール」に自動的に書き込まれることになる。
- データへのアクセスを常に許可 Myspaceを利用していないときでも、MyspaceがFacebook上のユーザーの情報へのアクセスができるようになる。
- プロフィール情報へのアクセス 名前や友達リストなどの基本情報に加え、プロフィールの「基本データ」コーナーに記載した好きな音楽、テレビ番組、映画、本、好きな言葉、自己紹介、これまで「いいね!」ボタンを押した事象などの情報へのアクセス
これで「許可する」ボタンをクリックすれば、FacebookとMyspace間のデータ連携が確立する。
データ連携を許可すれば、Facebookの情報を基に有名人や、映画、音楽アーチスト、テレビ番組などを推薦してくる。この中から実際のお気に入りを選び、Myspace上で同じものが好きなファン同士で交流できたりする。
日頃はFacebook上でリアルな友人たちと交流し、音楽に関してはネMyspace上のファン同士で交流する、という住み分けを狙ったデータ連携だ。真っ向から対立するのではなく、Facebookという全体コミュニティーの中の音楽コミュニティーの座を確保しようという動きだ。
Myspaceは2003年創業。それまでのSNSが男女の出会いを狙ったものが多かった中で、音楽をテーマにしたSNSとしてスタート。カップルが成立すれば活動を休止するユーザーが多い他のSNSとは異なり、音楽好きの若者を中心に急速にユーザー数を伸ばし、2006年にはGoogle検索やYahooメールを抜き、米国で最もアクセスの多いサイトになっている。(Mashableの記事、MySpace, America’s Number One)。ユーザー数も2006年8月9日に1億人を越えている。
その将来性に目をつけたルパート・マードック氏率いるNews Corporationが2006年7月に推計3億2700万ドルで買収している。日本ではNews Corporation傘下の運営会社とソフトバンクが共同でマイスペース株式会社を設立し、日本語版が2007年に正式スタートしている。わたしも当時、マイスペース日本法人の香山誠氏にインタビューしている。(関連記事:日記文化とは違う自己表現SNS-マイスペース香山誠氏 : TechWave、目指すはエンタメ系次世代ポータル-マイスペース香山誠氏 : TechWave、SNSの将来は-マイスペース香山誠氏 : TechWave)
しかし買収後、News Corporationが経営に乗り出してからは人気が落ち始めている。
一方でFacebookが台頭、2008年1月の時点でFacebookのアクティブユーザー数は6000万人で、1日平均25万人が新規加入しており、半年ごとに会員数が倍々ゲームで増えている。同じ時点で、Myspaceには1億1000万人とFacebookの倍のアクティブユーザーが存在し1日平均30万人が新規加入していたものの、1日当たりの成長率で見るとFacebookの0.4%に比べ、Myspaceは0.27%と負けており、米調査会社Forrester ResearchはいずれFacebookに抜かれるであろと予測している。(参考情報:Facebook,Myspace Statistics « TechRadar)
このままではジリ貧ー。
背に腹は代えられないので、プライドを捨てFacebookの軍門に下ることを決めたのだろう。英断だと思う。Myspaceの経営者に敬意を表したい。
ただそうであっても、Myspaceの生き残りは保証されていない。Facebookの中にも多くのアーチストや芸能人のファンページが既にできているからだ。
決断の時期が少し遅すぎたかもしれない。ソーシャル化の波を読み間違えると、取り返しのつかないことになるのだと思う。Myspaceの今後の健闘に期待したい。