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起業するならソーシャルの次の波に乗れ【湯川】

[読了時間:5分]
 ソーシャルの次の時代と通貨になる個人データ : TechWaveという原稿で、僕が漠然と考える情報社会の未来像について書いた。ただ自分自身考えがはっきりしていない部分があって、分かりにくい不親切な原稿になっている思う。

 それなのに意外と多くの人がこの原稿に同意してくれた。ここまで多くの人に賛同されるとは思っていないかったので正直ビックリした。情報社会学の権威、公文俊平先生が上の記事をTwitterで紹介されていることを僕の元同僚がびっくりしてRTしていたけれど、僕の未来感はかなり公文先生に影響を受けているから公文先生の考えにそったものになるのは当たり前の話。

 そうしたRTを除いても、評価してくれる人が意外と多かった。なかでも有力ベンチャーの社長さんが、はっきりとこの未来を見通して僕の原稿に同意した上で「ソーシャルの次のプラットフォームの覇者になりたい」とつぶやいているのにはびっくりした。

 ソーシャルの次の時代を見通している人がいる。動き出している人がこの日本にいる、ということに驚いた。非常にうれしかった。

 検索の時代の次にソーシャルの時代がくるということは、ここ半年ほどで多くの人の共通認識になった。

 ソーシャルがあらゆる業界を変えるー。それはそうなんだと思う。ソーシャルゲームがゲーム業界を激変させたように、これから映画、音楽、テレビ、ニュースなどの業界を激変させるのだと思う。(関連記事:業界勢力図を塗り替える「基礎からソーシャルなサービス」とは : TechWave

 ただ日本国内市場を基盤に成功し、その上で海外へも進出したいのであれば、今はやはりゲームくらいしか可能性のある領域はないように思う。なぜなら日本ではゲームぐらいしか、ソーシャルのパワーを利用できるほど1つのターゲット層に広く普及している領域がないからだ。

 もう少し詳しく説明しよう。

 FacebookのMark Zuckerberg氏によると、ユーザーの7割から8割がFacebookユーザーというサイトが、ここ1,2年で米国内で増えてきているという。そしてそこまでFacebookユーザーが多いサイトだと、Facebookの仕組みと連携させることで、ソーシャルの力を使ってサイトを大きく活性化することが可能。なので多くのサイトが競うようにFacebookとの連携を進めている。

 しかし逆に言うと、そこまでFacebookユーザーが多くないのであれば、Facebookと連携してもそれほど大きな効果を期待できない。Zuckerberg氏も1、2年前なら連携しても意味がなかったというような発言をしている。

 今の日本ではどうなんだろう。今の日本には米国におけるFacebookのように広く普及しているソーシャルメディアは存在しない。このTechWaveはアーリーアダプター層を読者に持つサイトの1つだとは思うが、Facebookの「いいね!」ボタンの数とTwitterの「RT」の数を比較すれば、まずTwitterのほうが多い。現時点ではTwitterのほうが普及しているということだ。そのTwitterもアクセス流入元ということでは、ライブドアニュースにかなわない。まったくかなわない。つまりTechWaveで、Twitterを核にしたソーシャルメディア施策を打っても、米国のサイトのような効果は得られない。

 ユーザーの7割、8割が1つのソーシャルメディアのユーザーになるサイトやサービスが登場するのはまだまだ先のような気がする。そこまでソーシャルメディアが日本で普及するのは、かなり先の話だと思う。なので世界に通用するようなビジネスを、まだ日本で完成していないソーシャルなプラットフォーム上で展開するのは非常に困難だと思う。

 例外は、モバゲータウンやGree。モバゲー、Greeは、中学生のほとんどがユーザーだと聞いている。なのでこの領域でソーシャルのパワーが十分に発揮できているし、日本で培ったノウハウを持って世界に展開するのもありだと思う。

 ソーシャルで世界を狙えないのなら、その次の段階で世界を目指そう。ソーシャルの次は、ソーシャルの次の時代と通貨になる個人データ : TechWaveに書いたように、リアルとの連携のプラットフォーム、個人データの銀行、取引所といったビジネスに大きなチャンスがある。その中で、モバイルが核になるのは間違いなく、しかもそこは日本が強いところ。

 そう。起業するなら、新規ビジネスを狙うのなら、ソーシャルの次の時代のプラットフォームを狙うべきだ。TechWaveは、そうした起業家、ビジネスマンを支援したいと思います。国光さん、がんばって!!

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